スヴェア (海防戦艦)
スヴェア (Svea) はスウェーデン海軍の海防戦艦。スヴェア級。艦名はスヴェア人に由来する[1]。
イェーテボリのリンドホルメン造船所で建造[2]。1884年3月起工[1]。1885年12月12日進水[1]。ただ、進水式は行われなかった[1]。1886年9月20日竣工[1]。
基準排水量2931トン、満載排水量3273トン、全長77.6m、最大幅14.84m、計画吃水5.18m[3]。衝角は有さなかった[3]。
主砲はアームストロング34口径25.4cmM/85型後装施条砲2門で、連装砲塔に搭載した[4]。最大射程8300mで、発射速度は1門当り5分に1発であった[4]。副砲はアームストロング28口径15.2cmM/83型後装施条砲4門で、両舷に2門ずつ搭載した[5]。他にはノルデンフェルト45口径38mmM/84型単装速射砲2基、パルムクランツ25mmM/77型機銃4挺、パルムクランツ12mmM/75型10銃身機銃1挺を搭載した[4]。2隻の艦載艇はノルデンフェルト25mmM/84型機銃1挺や外装水雷を搭載した[4]。艦首には38.1cmM/89型水中魚雷発射管1門を装備[5]。魚雷の射程は400mであった[4]。
1890年、マキシム・ノルデンフェルト48口径57mmM/89型砲4門と38mmM/84型砲2門を追加搭載[6]。1897年、15.2cm砲をボフォース45口径12cmM/94型砲に、38mm砲と57mm砲をフィンスポング55口径57mmM/89B型速射砲6門に換装[6]。1900年以降、スヴェア級3隻は順次近代化改装を受け、主砲はボフォース44口径21cmM/98型砲1門となった[7]。この砲の射程は10925m、発射速度は毎分1発であった[6]。また12cm砲が撤去され、かわってボフォース44口径15.2cmM/98型砲7門を単装砲塔に搭載[8]。57mm砲がM/89B型11門となり、25mm砲搭載箇所は撤去された[8]。他、艦載艇の機銃がヴィッカース・マキシム39口径37mmM/98B型砲に換えられた[8]。
主機は水平2気筒2段膨張式蒸気往復動機関2基、主缶は円缶6基で、出力3100指示馬力[3]。2軸推進で速力14.7ノット[3]。航続距離は12ノットで800浬、10ノットで2240浬[9]。
装甲鈑はフランスのシュネデール社製[3]。鋼鉄製の水線装甲帯は厚さが前部293mm、中央部147mm[3]。後部は197mm、222mmとなっていたとも[3]。シタデル隔壁は293mm、主砲前楯と司令塔は268mm[3]。近代化改装後の砲塔は前楯190mm、側楯140mm[6]。
1915年に宿泊艦となり、15cm砲4門を撤去[8]。次いで、兵装を撤去し甲板室を設けるという改装がなされて1921年から潜水母艦として運用された[10]。1941年12月30日に除籍され、1943年から1944年にかけて解体された[11]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e 『海防戦艦』110ページ
- ^ 『海防戦艦』109-110ページ
- ^ a b c d e f g h 『海防戦艦』107ページ
- ^ a b c d e 『海防戦艦』108ページ
- ^ a b 『海防戦艦』108、113ページ
- ^ a b c d 『海防戦艦』111ページ
- ^ 『海防戦艦』111-112ページ
- ^ a b c d 『海防戦艦』112ページ
- ^ 『海防戦艦』107-108ページ
- ^ 『海防戦艦』112ページ、"The Swedish Armoured Coastal Defence Ships", p. 11, "SCANDINAVIAN COAST DEFENSE SHIPS: PART I –SWEDEN", p. 132
- ^ 『海防戦艦』113ページ
参考文献
[編集]- 橋本若路『海防戦艦 設計・建造・運用 1872~1938』イカロス出版、2022年、ISBN 978-4-8022-1172-7
- Daniel G Harris, "The Swedish Armoured Coastal Defence Ships", Warship 1996, Conway Maritime Press, 1996, ISBN 0-85177-685-X, pp. 9-24
- Bertil Gard, "SCANDINAVIAN COAST DEFENSE SHIPS: PART I –SWEDEN", Warship International, Vol. 3, No. 2, 1966, pp. 130-139