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セトミノカサゴ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
セトミノカサゴ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Scorpaeniformes
亜目 : カサゴ亜目 Scorpaenoidei
: フサカサゴ科 Scorpaenidae
亜科 : ミノカサゴ亜科 Pteroinae
: セトミノカサゴ属 Parapterois
: セトミノカサゴ P. heterura
学名
Parapterois heterura[2]
Bleeker, 1856
シノニム

Ebosia pavo Schmidt 1931
Ebosia starksi Franz, 1910
Parapterois heterurus (Bleeker, 1856)
Pterois heterurus Bleeker, 1856
Pterois jordani Regan, 1905
Pterois natalensis von Bonde, 1923
Pterois nigripinnis Gilchrist, 1904
Pterois tanabensis Tanaka 1918
(Motomura[3]とFishbase[4]による)

和名
セトミノカサゴ
英名
Blackfoot firefish

セトミノカサゴ(学名:Parapterois heterura)は、フサカサゴ科に属する魚類。アフリカ南岸から日本の沖、インドネシアに分布し、通常粒の細かい砂や泥などの柔らかい海底をもつ湾でみられる。水深40メートルから300メートルの水深において見つかる。ふつうほとんど体を動かさないで生活し、時として砂中に潜ることもある。本種は明るい色をした胸びれを見せつけることによって、捕食者を驚かしたり、獲物を追いつめたりする。この行動は、他のミノカサゴにおいてもみられる。観賞魚として流通することもある[4]

形態

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セトミノカサゴは最大で全長38cmまで成長するが[4]、ほとんどの標本はそれよりずっと小さく、成魚の全長はたいてい11cmほどである[3]。本種の背鰭は9本の軟条と、13本の棘があり棘のそれぞれの先端はフィラメント状になっている。尻びれには2本の棘と7から8本の軟条がある。尾びれの両端の鰭条にもフィラメント状の伸長がある[4]。棘には毒があり、刺されると危険である[5]

セトミノカサゴは同属種のParapterois macruraと外見がとてもよく似ている。この二種の違いはセトミノカサゴのみがふたつの後外鼻孔間のくぼみに鱗をもつことである(ただし、セトミノカサゴのインド西部、南アフリカ、モザンビークの沖でみられる個体群においては例外が認められ、これらは別種である可能性もある。)。また成魚において目の上端が、セトミノカサゴにおいては第一背鰭の鰭条の基底部よりも下部にあるが、P.macruraにおいては上部にあるという違いもある(未成魚においては、両種ともに下部にある可能性がある。)。このように、二種を区別するのは頭部の形状におけるささいな違いであり、鰭条や軟条、鰓篩の数や、頭部以外の形状においては大きな違いは無い[3]

分布

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本種は二つの分離された分布域をもつとみられる。ひとつは南アフリカナタール沖の海域で、もうひとつは日本、インドネシア、ニューギニア島オーストラリアを含むインド太平洋の中央海域である[4]。日本においては相模湾以南の各地でみられる[6]

生態

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胸びれを広げた様子

セトミノカサゴは夜行性で、日中は砂の中に体の一部を埋めていることがあり見つけるのは難しい。明るい色をした胸びれは、本種が捕食者を驚かす際などにも広げられるが、その主な目的は獲物を追いつめることだとみられる。本種は小魚や底生の無脊椎動物を捕食する[4]

人間との関係

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本種は観賞魚として流通することがあるほか、底引き網によってまれに漁獲されるが、食用魚としての価値はもたない[4][6]

出典

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  1. ^ Motomura, H., Matsuura, K. & Khan, M. 2018. Parapterois heterura. The IUCN Red List of Threatened Species 2018: e.T114177614A115022647. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2018-2.RLTS.T114177614A115022647.en. Accessed on 29 October 2023.
  2. ^ Bailly, Nicolas (2013). "Parapterois heterura (Bleeker, 1856)". World Register of Marine Species. 2013年12月21日閲覧
  3. ^ a b c Motomura, Hiroyuki (2004). “Morphological Comparison of a Poorly Known Scorpionfish, Parapterois macrura, with a Related Species, P. heterura (Scorpaenidae: Pteroinae)” (PDF). Zoological Studies 43: 1–7. http://zoolstud.sinica.edu.tw/Journals/43.1/1.pdf. 
  4. ^ a b c d e f g Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2012). "Parapterois heterura" in FishBase. December 2012 version.
  5. ^ 瀬能宏監修『日本の海水魚』 山と渓谷社、2008年、83頁 ISBN 4635070255
  6. ^ a b 日本大百科全書”. コトバンク. 朝日新聞社 Voyage Group. 2015年3月6日閲覧。