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セレンテラジン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
セレンテラジン
識別情報
CAS登録番号 55779-48-1 ×
PubChem 2830
ChemSpider 2728 チェック
ChEBI
特性
化学式 C26H21N3O3
モル質量 423.463
外観 橙黄色結晶
融点

175–178 °C (448–451 K)

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

セレンテラジン (Coelenterazine) は、発光分子として知られるルシフェリンの1つである。7つのにまたがる多くの水生生物に見られる[1]Renilla reniformis ルシフェラーゼ (Rluc)、Gaussia ルシフェラーゼ (Gluc) など多くのルシフェラーゼや、イクオリンオベリンといった発光タンパク質英語版基質となり、化学反応を起こすと同時に発光する。ただし、必ずしも発光する水生生物だけに見られる化合物ではなく、発光しない水生生物の体内に含まれている場合もある。

歴史

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セレンテラジンは、それぞれ発光生物ウミシイタケ英語版 (Renilla reniformis) と、腔腸動物 (coelenterata) のオワンクラゲを研究していた2つのグループによって、同時期に独立に、分離され、同定された[2][3]。両グループは知らないうちに両発光システムにおいて同一の化合物が使われることを発見したが、分子の名前は腔腸動物 (coelenterata) に因んでいる。また、2つの主要な代謝産物のセレンテラミドセレンテラミン英語版の名もそれぞれの官能基に基いて名づけられた。

セレンテラジンはオワンクラゲで発見されたものの、その後オワンクラゲ自身はセレンテラジンを生合成しておらず、主に甲殻類、カイアシ類の摂食を通じて獲得することが示された[4]

所在

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セレンテラジンは次のような海洋生物に広く見られる。

なお、セレンテラジンはタイセイヨウニシンや、ホッコクアカエビおよび Pandalus platyuros英語版 を含むエビ類など、発光しない生物からも分離されている。

性質

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イクオリン触媒によりセレンテラジン(左)は酸化されセレンテラミドとなる。この酸化過程で生じる高エネルギーで不安定な中間体が、エネルギーの低い安定な状態状態になる際に、差分のエネルギーを光として放出することによって発光する[6]

セレンテラジンは橙黄色の結晶を生じる。メタノール中のセレンテラジンは、波長 435 nm をピークとして紫外光および可視光を吸収し、黄色を呈する。好気性条件下もしくはジメチルホルムアミドDMSO など有機溶媒の一部の中では自発的に酸化されるため、メタノール不活性気体中で保存することが望ましい。

セレンテラジン誘導体の合成

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生物物理学的性質を向上させるため、セレンテラジンの誘導体が、多成分戦略など様々な方法で合成されている[7]

参考文献

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  1. ^ Shimomura, O. (2006). Bioluminescence: Chemical Principles and Methods. World Scientific Publishing. pp. 159–165. ISBN 978-981-256-801-4 
  2. ^ “Structure of native Renilla reinformis luciferin”. Proceedings of the National Academy of Sciences 74 (10): 4285–4287. (1977). doi:10.1073/pnas.74.10.4285. PMC 431924. PMID 16592444. http://www.pnas.org/content/74/10/4285.abstract. 
  3. ^ “Chemical nature of bioluminescence systems in coelenterates”. Proceedings of the National Academy of Sciences 72 (4): 1546–1549. (1975). doi:10.1073/pnas.72.4.1546. PMC 432574. PMID 236561. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC432574/. 
  4. ^ Haddock, SH (2001). “Can coelenterates make coelenterazine? Dietary requirement for luciferin in cnidarian bioluminescence”. Proceedings of the National Academy of Sciences 98 (20): 11148–51. doi:10.1073/pnas.201329798. PMC 58698. PMID 11572972. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC58698/. 
  5. ^ “A bioluminescent chaetognath”. Nature 367 (6460): 225–226. (1994). doi:10.1038/367225a0. オリジナルの2005年10月26日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20051026180353/http://www.lifesci.ucsb.edu/~haddock/abstracts/haddock_chaeto.pdf. 
  6. ^ 近江谷克裕、「発光クラゲの生物発光機構を探る カルシウム結合型発光蛋白質の生物発光メカニズム」 『化学と生物』 1997年 35巻 6号 p.422-432
  7. ^ Vece V. (2015). “Multicomponent Synthesis of Novel Coelenterazine Derivatives Substituted at the C-3 Position”. Tetrahedron 71: 8781–8785. doi:10.1016/j.tet.2015.09.048. 

外部リンク

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