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秘密基地

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
セーフハウスから転送)
スウェーデンのムスコ海軍基地英語版に入港する駆逐艦HSwMSスンツヴァル
ロシアのバンカー GO-42。アパートに偽装されているが中身は対核攻撃用のコンクリートで出来ており、地下防空壕の入り口となっている。
ベトナム戦争でゲリラが使用したクチの地下道の入り口

秘密基地(ひみつきち)とは、一般には秘密となるように建設または設置された基地のことを指す。

概要

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地形を利用したり、カモフラージュを施したりして建設する大掛かりなものから、アパートの一室にそれとなく入ってしまうものまで、さまざまな規模のものがある。

反政府組織などが、ひそかに扇動活動を行う拠点をアジテーティング・ポイント(Agitating point) と呼び、これを日本語ではアジトと略して使用される[1]

また、子供の間で、部外者に知られたくない秘密の遊び場意味でこの語を使うことがある。

現実世界における秘密基地

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現実世界では、軍事組織、諜報機関過激派等の秘密の活動拠点という意味で通俗的に用いられる。ここでは、当事者が広く知られたくない活動が行われる。具体的には極秘技術の開発、民兵組織、スパイの育成及び活動、長期間にわたる監視・諜報活動(諜報機関が置く“隠れ家”に関しては特に「セーフハウス」と呼ばれる)、外部からの逃亡者・犯罪者を匿うなどであるとされる。有名なものとしては、高度経済成長期の日本において極左暴力集団テロ活動の拠点としたいわゆる「非公然アジト」がある。

これらの形態は、資金力等に左右され、大は巨額の資金をかけ大掛かりに建設しているものから、小はアパートの一室に設置しているものまで多種多様である。

衛星画像分析
Googleデジタルグローブなどの情報提供、リモートセンシング会社の運用する商用衛星の普及から軍の衛星でなくとも地球上のあらゆる場所の情報が得られるようになったため、秘密基地を発見する例が増えている。

現実にある秘密にされた軍事基地

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アメリカ
アルバニア
イギリス
  • ポートンダウン - 100年以上にわたり最機密とされてきた施設。人体実験や、グリュナード島の炭疽菌実験に関わったとされる。
  • メンウィズヒル基地 - 通信傍受システム「エシュロン」の基地だとされるアメリカが管理する基地
  • 戦時中央政府本部英語版 - 「バーリントン」など数々のコードネームで呼ばれた核戦争を想定した基地
  • ロンドン、パルマー通りの建物(売却済) - 諜報機関政府通信本部の秘密基地で1953年から66年間秘密にされた[3]
イラン
ウクライナ
オーストラリア
カナダ
クロアチア
スウェーデン
中国
ドイツ
ペーネミュンデ陸軍兵器実験場がイギリスのハイドラ作戦によって甚大な損害を被った後、天然のトンネル、鉱山、鉄道のトンネルなどを活用、新規に強制収容所の人員を強制労働させて地下トンネルを作り、敵から隠蔽された軍事基地を建設する計画(U-Verlagerung)を進めた。
ノルウェー
フランス
ベトナム
  • クチの地下道 - 全長200kmの地下トンネルネットワークでゲリラ戦の拠点とされ、入り口は巧妙に隠されていた。
リトアニア
  • en:Plokštinė missile base - ソ連の核ミサイルサイロ。ソ連崩壊後、放棄されて物取りの被害で色々流出した。現在は冷戦博物館
ロシア
  • ヤマンタウ山コスビンスキー山 - アメリカ政府の調査でロシアの地下秘密基地があると考えられている。
  • サロフ(別名:アルザマス16)- 核兵器研究・製造に関わった閉鎖都市
  • ヴォズロジデニヤ島 - ソ連時代、生物兵器の研究所があった。ソ連崩壊後に閉鎖したが、閉鎖前から危険物が漏洩していたと考えられている。現在も保管状態は良好ではない。
  • カプースチン・ヤール(Zhitkur) - ロケット、核開発に関わった施設。情報が漏れないよう周辺の村などは強制移住された。エイリアンとの関わりも示唆されている。
  • オブイェークト221ロシア語版 (別名:Алсу-2) - 黒海艦隊の核シェルター司令部。
  • タガンスキー防衛司令部英語版 - モスクワの地下鉄タガンスカヤ駅のそばにある通信施設で、2000年に機密指定を解除、2006年公売、博物館・レストラン複合施設に改修されている。
  • ブンケル・スタリナロシア語版 - 「スターリンの防空壕」の意。第二次世界大戦中の代替司令部、1990年に機密解除。その後、民間防衛博物館となっている。

秘密基地があるという噂

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アメリカ
ドイツ
日本

フィクションにおける秘密基地

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スーパーヒーローが登場するフィクションにおいては、ヒーローに分類される側の秘密の活動拠点、あるいは逆に悪役(ヒール)に分類される側のそれを指す言葉として用いられる。基地の形態としては、カモフラージュされた巨大な地下施設であったり、外部からそれとわからないように一般のオフィスなどが改造されていたりするものも多い。世界的に著名な作品における「秘密基地」には以下がある。

フィクションにおける秘密基地は子供心に強く訴える魅力があり、日本では一般家庭にまでテレビが普及した1960年代頃から模型化されてヒット作となった。ただし、最上級の大型キットは子供にとっては高額なため、実際に購入した者は比較的少数で、どちらかと言えば「高嶺の花だが、いつか入手したい憧れの模型」として語られる存在でもあった。代表的な物としては「サンダーバード秘密基地」「スペクトラム基地」等のSF作品が多いが、中には永大の「ドイツ軍秘密基地」の様な、ジオラマ基調のミリタリースケールモデルも存在した。

子供の遊び場としての秘密基地

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ブランケット・フォート英語版
スノー・フォート英語版

本項目の「秘密基地」は、上記に掲げるものを模して子供たちが作る秘密の遊び場を指す。子供たちは、隠れることにより生存能力を鍛えている[6]。こういった行動は、11歳以下ごろまでで、二人以上のメンバーで多く見られる[7]

仲間内では大人や部外者(友達でも仲間という約束を交わしていない者)へは、その存在や場所を秘密にする約束が交されることも少なくないが、必ずしも「秘密」であることにこだわらず、大人からみれば単に彼らが集まる場所に過ぎないことも多い。

このような秘密基地となりえる場所は、公園の隅や空き地などであるが、「秘密基地」という、周囲には知られたくない気持ちをより昇華すべく、廃墟となった建物、工事現場、資材置き場などといった、いわゆる危険な場所に作ることもある。これは危険な場所に立ち入ってはならないという禁忌を犯すことで快感を得るという意味もある。
地域によっては若衆宿のごとく子供を社会的に成長させるため、子供に察せられない様に大人が管理するものもある。

また、屋内(多くは自宅内)の狭隘な場所、例えば押入れ納戸倉庫土蔵などに1人又は兄弟で作ることもある。

アメリカの少年の冒険と仲間たちの友情をテーマにした映画『スタンド・バイ・ミー』では、木の上に秘密基地があり、カードゲームに興じたりする場面が描写されている。また、同じく『トム・ソーヤーの冒険』では、洞窟の中に秘密基地を作る設定になっており、内部には金貨や武器弾薬や子供の玩具があり、誘拐した人質幽閉するトムの未来の夢もある。

また『20世紀少年』『ライチ☆光クラブ』など秘密基地自体がキーワード、舞台として登場する作品もあるが、この二作品は秘密基地が作った本人達に悲惨な結果をもたらしてしまう特徴がある。

探偵!ナイトスクープ2011年1月28日放送分では、大阪の男子小学生から届いた「秘密基地を作りたい」という依頼が採用された。高槻森林観光センター内の敷地に、桂小枝探偵や工務店の職人らの協力のもと、現実に秘密基地を作った。

脚注

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  1. ^ アジト コトバンク
  2. ^ Alvarez, Lizette (October 1, 2011). “JFK fallout shelter a beachside Camelot”. Tampa Bay Times. オリジナルの2017年2月20日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170220171536/http://www.tampabay.com/incoming/jfk-fallout-shelter-a-beachside-camelot/1194872 February 19, 2017閲覧。 
  3. ^ Drab London office block was GCHQ spy base(BBC 更新日:5 April 2019、参照日:14 may 2019)
  4. ^ Secret sanya: China's new nuclear naval base revealed - Jane's Intelligence Review p50-53 May 2008
  5. ^ Secret Nazi nuclear bunker discovered in Austria by filmmaker 出版:インデペンデント 著:Ben Tufft Monday 29 December 2014 20:19)
  6. ^ 苅田, 知則 (2000年3月10日). “子どもの「隠れる行為」 : 文献研究を通した解釈論・空間論・変遷論”. 九州大学大学院人間環境学研究院. doi:10.15017/834. 2022年5月8日閲覧。
  7. ^ 子どもと秘密基地-子ども文化的視点から- - 論文・レポート”. CRN 子どもは未来である. 2022年5月8日閲覧。

出典

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  • 「秘密基地の作り方」 - 尾方孝弘(著)、影山裕樹(編集)
  • 「大人が作る秘密基地」 - 影山裕樹(著、編集)

関連項目

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