タイワンモクゲンジ
タイワンモクゲンジ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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タイワンモクゲンジの実
(2024年10月 沖縄県本部町 熱帯・亜熱帯都市緑化植物園) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Koelreuteria henryi Dümmer | ||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
Koelreuteria elegans (Seem.) A.C.Sm. subsp. formosana (Hayata) F.G.Mey. | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
タイワンモクゲンジ |
タイワンモクゲンジ(別名タイワンセンダンボダイジュ、学名:Koelreuteria henryi[1])はムクロジ科モクゲンジ属の落葉高木。
特徴
[編集]高さ5–15 m。樹皮は縦に裂けて剥がれる。2回偶数羽状複葉は羽片3–5対、はセンダンに似て、互生する。頂羽片や頂小葉は普通無いが、ときに奇数羽状複葉になることもある。小葉は長卵形で長さ5–8 cm、葉縁に粗い鋸歯がある。9–10月に枝先に花茎を出し、黄色の小さい花を多数つけ円錐花序を形成する。花は径5–10 mmほど。雄花と雌花があり、同じ株につく。花弁は5枚で後方に反り返る。花弁の基部に赤い斑点がある。雄しべは7–8本。花後すぐに長さ4 cmで桃色~赤茶色の袋状の(ホオズキ状、風船状とも称される)よく目立つ実を多数つけ、観賞価値が高い。実の中に黒い種がある。種は径5 mmほどの球形で、表面は平滑で艶がある[2][3][4][5][6]。
分布と生育環境、利用
[編集]台湾や中国の原産とされ、沖縄へは昭和50年代後半に台湾から導入された。南西諸島では都市部の街路に多く植栽、公園樹としても利用される。植栽地周辺では林縁などに逸出した個体がしばしばみられる[3][4][5][6][7]。土質は特に選ばないが日当たりの良い場所を好み、肥沃で排水の良い場所では生育が良い。強健な性質で生育旺盛だが、耐潮風性がやや弱い。病虫害は少ない。繁殖は実生による[2]。
モクゲンジ属の分類と他の種
[編集]モクゲンジ属は小さな属で、本種の他には1回奇数羽状複葉のモクゲンジK. paniculataが本州と九州に点在し、朝鮮半島沿岸と中国に分布。2回羽状複葉のオオモクゲンジK. bipinnataが中国や台湾に分布。東アジアから遠く離れたフィジーにもK. elegansが分布しており、これを本種K. henryiと別種とする見解[5][8][1]と、亜種の関係とする見解[9][7][10](フィジー産は基準亜種K. elegans subsp. elegans、台湾産の本種はK. elegans subsp. formosana)がある。モクゲンジ属は前者に従うと4種、後者なら3種で構成されることになる。本項における学名の表記は、前者の別種扱いに従った。
脚注
[編集]- ^ a b “タイワンモクゲンジ Koelreuteria henryi Dummer”. YList 植物和名-学名インデックス. ylist.info. 2024年11月16日閲覧。
- ^ a b (海洋博記念公園管理財団 1997, p. 131)
- ^ a b (屋比久 2006, p. 171)
- ^ a b (平良ほか 2009, pp. 62–63)
- ^ a b c (大川 & 林 2016, p. 249)
- ^ a b (沖田原 2021, p. 268)
- ^ a b (林 & 名嘉 2022, p. 290)
- ^ (大橋 2021, p. 107)
- ^ (堀田 1997, p. 294)
- ^ “Koelreuteria elegans subsp. formosana (Hayata) F.G.Mey. | Plants of the World Online | Kew Science” (英語). Plants of the World Online. 2024年11月16日閲覧。
参考文献
[編集]- 堀田満 著「モクゲンジ属」、岩槻邦男ら監修 編『朝日百科 植物の世界』 3巻、朝日新聞社、東京、1997年、294頁。ISBN 9784023800106。 ※ タイワンモクゲンジ 学名K. elegans ssp. formosanaとしている
- 海洋博記念公園管理財団「タイワンモクゲンジ」『沖縄の都市緑化植物図鑑』新星出版、那覇市、1997年。ISBN 9784902193732。 ※ 学名K. elegans var. formosanaとしている
- 屋比久壮実「タイワンモクゲンジ」『花ごよみ 亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画、2006年。ISBN 4990191730。 ※ 学名K. elegansとしている
- 平良一男; 新里隆一・仲村康和・松田正則「タイワンモクゲンジ」『沖縄 花めぐり』沖縄都市環境研究会、2009年。
- 大川智史; 林将之「タイワンモクゲンジ」『ネイチャーガイド 琉球の樹木 奄美・沖縄~八重山の亜熱帯植物図鑑』文一総合出版、東京都新宿区、2016年。ISBN 9784829984024。 ※ 学名K. henryiとしている
- 沖田原耕作「タイワンモクゲンジ」『おきなわの園芸図鑑 園芸植物とその名前』新星出版、那覇市、2021年。ISBN 9784909366832。 ※ 学名K. elegansとしている
- 大橋広好 著「モクゲンジ属」、大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司 編『フィールド版改訂新版 日本の野生植物』 2巻、平凡社、2021年、107頁。ISBN 9784582535396。 ※ モクゲンジ属4種を東アジア3種とフィジー産1種と記している
- 林将之; 名嘉初美「タイワンモクゲンジ」『沖縄の身近な植物図鑑』ボーダーインク、2022年。ISBN 9784899824350。 ※ 学名K. elegans subsp. formosanaとしている
外部リンク
[編集]- タイワンモクゲンジ おきなわ緑と花のひろば 沖縄県環境部環境再生課
- タイワンモクゲンジ フラワーパークかごしま
- タイワンモクゲンジ 藤沢市長久保公園
- タイワンモクゲンジ GKZ植物事典
- タイワンモクゲンジ 小笠原植物誌
- タイワンモクゲンジ 樹木検索 沖縄県緑化種苗協同組合
- 台北市の秋の風物詩、タイワンモクゲンジ TAIWAN TODAY日本語ウェブサイト 中華民国(台湾)外交部
- タイワンモクゲンジの花が満開です 今帰仁グスクを学ぶ会