タデ科
タデ科 | ||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
分類(APG III) | ||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||
Polygonaceae Juss., 1789 | ||||||||||||||||||
タイプ属 | ||||||||||||||||||
ミチヤナギ属 Polygonum L. [1] | ||||||||||||||||||
亜科 | ||||||||||||||||||
タデ科(タデか、Polygonaceae)は双子葉植物の科の1つである。
種数の多い属としては、約250種のエリオゴヌム属 Eriogonum、約200種のギシギシ属 Rumex、約130種のハマベブドウ属 Coccoloba、約100種のイヌタデ属 Persicaria がある[2]。かつては300種を有すタデ属 Polygonum s.l. があったが、約8属に分割された[4][5]。
日本には3-12属約70種が自生または帰化する。
特徴
[編集]草本または低木(つる性もある)で、北半球の温帯を中心に世界的に分布する。
花は子房上位で放射相称、萼と花弁の区別はなく花被片は4から6個で、花後も宿存して果実を包むものが多い。総状または穂状花序をなす。果実は偏平または3稜形で種子を1個含む。托葉があり、鞘状に茎を抱くものが多いが、広がって本物の葉と同じくらい大きくなるものもある。
系統
[編集]タデ科は、葉鞘のあるタデ亜科と葉鞘のない Eriogonoideae の2亜科に分かれ、亜科はそれぞれ数連に分かれる[4][5]。
ただし、より基底的かもしれないが詳細な系統位置は未確定な数属があり[3][2]、新亜科 Symmerioideae が提唱されている[2]。
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
タデ科全体は、イソマツ科と姉妹群である[6]。かつてのクロンキスト体系では単独でタデ目としていたが、新しいAPG植物分類体系ではナデシコ目に入れている。
主な属と種
[編集]- タデ亜科 Polygonoideae
- Polygoneae
- ミューレンベッキア属 Muehlenbeckia - カンキチク など。
- ソバカズラ属 Fallopia
- イタドリ属 Reynoutria : ツルドクダミ、イタドリ など。
- Atraphaxis
- ミチヤナギ属 Polygonum
- Duma
- Knorringia
- Rumiceae
- Calligoneae
- Fagopyreae
- Persicarieae
- Polygoneae
- Eriogonoideae
- Eriogoneae
- Pterostegieae
- Gymnopodieae
- Triplarieae
- Leptogoneae
- Coccolobeae
- Brunnichieae
- Symmerioideae
古い説などで唱えられていた属
- タデ属 Polygonum s.l. - ソバカズラ属 Fallopia ・イタドリ属 Reynoutria ・ミチヤナギ属 Polygonum (s.s.) ・ソバ属 Fagopyrum ・チシマミチヤナギ属 Koenigia の一部・オンタデ属 Aconogonon ・イブキトラノオ属 Bistorta ・イヌタデ属 Persicaria に相当していた属。多系統であり分割された。
- ミズヒキ属 Antenoron - タデ属ミズヒキ節 sect. Tovara を分割する説。系統的にイヌタデ属内に位置する[7]。
- ツルドクダミ属 Pleuropterus - タデ属ツルドクダミ節 sect. Pleuropterus を分離する節。イタドリ節 sect. Reynoutria と近縁であり、合わせてイタドリ属となる[5]。
- カンキチク属 Homalocladium - カンキチクの単型属。系統的にミューレンベッキア属内に位置する[5]。
利用
[編集]最も経済的に重要なものは、穀物のソバである。また野菜・香辛料とされるルバーブやヤナギタデ(普通タデと呼ばれる)、また漢方薬などの薬用にされるダイオウ(大黄)やツルドクダミ(何首烏)がある。
雑草とされるものの中にも、ヨーロッパで野菜とされるスイバや、山菜のイタドリがある。アイは染料として使われている。またミズヒキやタデ類の一部などが観賞用に栽培される。
中華人民共和国漸江省では、老麺法による伝統製法の発酵のスターターとして利用される[8]。
出典
[編集]- ^ Polygonum Tropicos
- ^ a b c d Burke, Janelle M.; Sanchez, Adriana (2011), “Revised subfamily classification for Polygonaceae, with a tribal classification for Eriogonoideae”, Brittonia 64 (4): 510–520
- ^ a b Sanchez, Adriana, Evolutionary Relationships in Polygonaceae with Emphasis on Triplaris, Wake Forest University
- ^ a b c d Galasso, G.; Banfi, E.; et al. (2009), “Molecular phylogeny of Polygonum L. s.l. (Polygonoideae, Polygonaceae), focusing on European taxa: preliminary results and systematic considerations based on rbcL plastidial sequence data”, Atti della Società Italiana di Scienze Naturali e del Museo Civico di Storia Naturale di Milano 150: 113–148
- ^ a b c d Schuster, Tanja M.; Setaro, Sabrina D.; Kron, Kathleen A. (2013), “Age Estimates for the Buckwheat Family Polygonaceae Based on Sequence Data Calibrated by Fossils and with a Focus on the Amphi-Pacific Muehlenbeckia”, PLOS ONE 8 (4): 1, doi:10.1371/journal.pone.0061261
- ^ Missouri Botanical Garden: Caryophyllales
- ^ Kim, Sang-Tae; Donoghue, Michael J. (2008), “Molecular phylogeny of Persicaria (Persicarieae, Polygonaceae)”, Systematic Botany 33 (1): 77-86
- ^ 堀光代, 長野宏子「タデ科植物の中国伝統食品への利用」『日本調理科学会誌』第38巻第1号、2005年、51-56頁、doi:10.11402/cookeryscience1995.38.1_51。
参考文献
[編集]- 佐竹義輔、大井次三郎 著、北村四郎他 編『日本の野生植物 草本II離弁花類』平凡社、東京都千代田区〈日本の野生植物〉、1982年3月。ISBN 978-4582535020。