ダグラス・デッジ
ダグラス・デッジ(Douglas Dedge、1966年6月18日 - 1998年3月18日)は、アメリカ合衆国の男性総合格闘家。フロリダ州出身。
近代総合格闘技で、試合中の負傷が原因で死亡した初めての選手である[1]。1998年にウクライナの大会に出場、試合に敗れた後昏睡し、2日後に深刻な脳損傷が原因で死亡した[2]
来歴
[編集]フロリダ州のチップリー市に生まれたデッジはアラバマ州のエンタープライズ市で総合格闘技のジムを作った[3]。
リング禍
[編集]1998年3月16日、ウクライナのキエフで行われたInternational Super Challengeという大会に出場。ノールールでは無かったこの大会は「ウクライナ対世界」と銘打たれ、約4000人の観客を動員した[4]。(興行元である地元の柔術クラブ)ミナモトは「世界チーム」の選手を集めるために、ファイトマネー2000ドル・勝利ボーナス3000ドルに加えて旅費・滞在費を保証すると、インターネットで出場者募集の告知を行っていた[5]。デッジは集まったアメリカ人選手3人のうちの1人であった[6]。
試合中デッジはテイクダウンを試みるが、対戦相手のエフゲニー・ゾロタレフにマウントポジションを奪われ、鉄槌とパウンドを頭部に15発浴び、まだ「きちんと防御ができていた」ものの[3]5分をまたずにギブアップして試合は終了した[7]。試合後デッジは一度は立ち上がるが直ぐに倒れ、2日後に深刻な脳損傷が原因でキエフ脳神経外科研究所で死亡した[3]。デッジの友人はこの試合のトレーニング中にデッジが失神したことがあったと後に述べている。
デッジの死後、UFCを1997年に解雇されていたUFCの元共同創立者兼マッチメーカーのアート・デイビーは、UFCオーナーのボブ・マイロビッツへ総合格闘技をプロモーションすることを考え直すよう手紙を書いている。また、デイビーは総合格闘技反対派の上院議員ジョン・マケインにも手紙を書いている。しかし、デイビーはK-1と契約しK-1USAの副社長に就任していたため、デイビーが手紙を書いた動機を疑う記者もいた。
UFCを代表して、ボブ・マイロビッツは「このようなリング禍が起きないために、我々はアメリカ国内や国際的にアスレチック・コミッションによる管理を求めている」とコメントした。
戦績
[編集]総合格闘技 戦績 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
1 試合 | (T)KO | 一本 | 判定 | その他 | 引き分け | 無効試合 |
0 勝 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
1 敗 | 0 | 1 | 0 | 0 |
勝敗 | 対戦相手 | 試合結果 | 大会名 | 開催年月日 |
× | エフゲニー・ゾロタレフ | 1R 3:49 ギブアップ(マウントパンチ) | International Super Challenge 1998 | 1998年3月16日 |
脚注
[編集]- ^ これ以前では1981年4月、15歳のアルフレッド・カストロ・ヘレイラ (Alfredo Castro Herrera) が柔道と空手とボクシングを合わせた試合で死亡している。対戦相手は16歳のアンヘル・ルイス・ロドリゲス (Angel Luis Rodriguez) で、場所はメキシコ・ティフアナの市営公会堂だった。出典はSt. Louis Globe-Democrat, April 15, 1981, p. 16D。
- ^ Iole, Kevin (2006年8月20日). “Pain, lots of blood symbols of MMA”. Las Vegas Review-Journal: pp. 4J 2008年9月21日閲覧。
- ^ a b c “American dies from injuries in 'ultimate fight': Bout in Ukrainian capital lasted less than five minutes”. The Ottawa Citizen: pp. B8. (1998年3月19日)
- ^ “ARENA: SPORTS BRIEFING”. Rocky Mountain News (Denver Publishing Company): pp. 2C. (1998年3月19日)
- ^ The Death of Douglas Dedge SHERDOG 2007年12月7日
- ^ “American dies in fight”. Pittsburgh Post-Gazette (P.G. Publishing Co.): pp. A-4. (1998年3月19日)
- ^ ウクライナNHB大会における死亡事故 〜その波紋、そしてUFCはどこへ行くのか〜 バウトレビュー
関連項目
[編集]- 男子総合格闘家一覧
- en:Sam Vasquez サム・バスケス(2007年、北米大会では初めて、試合中の負傷が原因で死亡している選手)
- リング禍