ダフニスとクロエ (ロンゴス)
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『ダフニスとクロエ』(古代ギリシア語: Ποιμενικὰ κατὰ Δάφνιν καὶ Χλόην、もしくは Δάφνις καὶ Χλόη)は、2世紀末から3世紀初頭にローマ帝国で書かれた古代ギリシアの小説、物語。ロンゴス(Λόγγος ; ラテン語表記では Longus、生没年不詳)が作者とされるがその人生はほとんどわかっていない。(ローマ帝国領土図参照)
全4巻がほぼ完全な形で現存しており、ローマ帝国領内のエーゲ海に位置するレスボス島の牧歌的な情景を舞台に、少年と少女に芽生えた純真な恋とその成就が、恋敵との諍い・海賊の襲撃・都市国家間の戦争などの逸話を絡めて、抒情豊かに描かれている[1]。
何度か映画化されているが、日本では、1963年ニコス・コンドゥロス監督によるギリシアの映画が『春のめざめ』の題で公開されている。
登場人物
[編集]- ダフニス
- クロエ
- ラモン - 山羊飼い。 ダフニスの養父
- ドリュアース - クロエの養父
- ドルコン - 牛飼いの青年。ダフニスの恋敵
- フィレータス - 老人
- リュカイニオン - 年増女
- ディオニュソファネス - ミュティレネの富豪。ダフニスらの住む村一帯の持ち主
- クレアリステ - その妻
- アステュロス - その息子
- グナトーン - ディオニュソファネスの雇い人で男色家
- ランピス - 牛飼い。クロエの求婚者
- メガクレス - ミュティレネの富豪
など
文献
[編集]- ロンゴス『ダフニスとクロエー』 松平千秋訳、岩波文庫、1987年。ISBN 4003211219
- ロンゴス/呉茂一訳 『ダフニスとクロエ』 グーテンベルク21(電子出版)2015年。旧版は角川文庫ほか
- 中谷彩一郎『『ダフニスとクロエー』の世界像 古代ギリシアの恋物語』慶應義塾大学教養研究センター選書、2022年。新書判での作品論
- クーリエ『ダフニスとクロエ』 川路柳虹訳、日本教文社「世界文庫」[注 1]、1949年
注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 小林頼子『花と果実の美術館 名画の中の植物』八坂書房、2010年、34頁。ISBN 978-4-89694-967-4。
- ^ 川路.1949.
関連項目
[編集]- ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ - この作品を賞賛していたことが知られている。
- 三島由紀夫 - この作品に想を得て小説『潮騒』(1954年)を執筆している。
- 呉茂一- 三島の蔵書は養徳社版訳書である。のち角川文庫で再刊
- マルク・シャガール - この物語に着想を得た作品あり。
- ピエール・ボナール - 同上。
- モーリス・ラヴェル - この物語にもとづくバレエ音楽『ダフニスとクロエ』を作曲。
- 北杜夫 - 太平洋戦争末期の日本を舞台にした『神々の消えた土地』でこの物語が重要なモチーフとなっている。