コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ダブリン・ヒューストン駅

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヒューストン駅
ダブリン・ヒューストン駅舎(2018年5月)
Heuston
地図
所在地 アイルランドの旗 アイルランド
ダブリン8区
所属事業者 アイルランド国鉄駅詳細
ルアス駅詳細
テンプレートを表示

ダブリン・ヒューストン駅(ダブリン・ヒューストンえき、: Baile Átha Cliath Stáisiún Heuston: Dublin Heuston Station)は、アイルランドの首都ダブリン8区セント・ジョンズ通り西にある、アイルランド国鉄ルアスの駅である。通称ヒューストン駅: Stáisiún Heuston: Heuston Station)であり、単に「ヒューストン」と呼ばれる場合もある。

概要

[編集]

ダブリンの主要ターミナル駅のひとつである。1846年にキングスブリッジ駅として開業した。1966年イースター蜂起50周年を記念して、犠牲者の一人であるショーン・ヒューストンの名前に駅名を変更した。1日平均乗降者数は22,296人(2017年のアイルランド国鉄)である。主に、コークウォーターフォードゴールウェイなど、アイルランド西部、および南西部へ向かう列車が発着している。路面電車ライトレール)のルアスの乗り場が駅の正面にあり、もうひとつのターミナル駅であるコノリー駅と連絡している。

2004年からは、ルアスのレッドラインの終着停留場が開業した[1]

歴史

[編集]
ショーン・ヒューストン

1846年8月4日、グレート・サザン&ウエスタン鉄道(GS&WR)の終着駅兼本社として開業した。当初はリフィー川に架かるキングスブリッジにちなんでキングスブリッジ駅と呼ばれていた[2][3]1966年イースター蜂起50周年を記念して、1916年のイースター蜂起で近くのポストを指揮した若い鉄道員、ショーン・ヒューストンに敬意を表して「ヒューストン駅」と改名された。ヒューストンは、イースター蜂起後にイギリス軍に処刑された16人のうちのひとりで、以前は駅の事務所で勤務していた[2]

旅客ターミナルや建物はロンドン生まれの建築家サンクトン・ウッドが設計し、列車の上屋やインフラはアイルランド生まれの鉄道技師ジョン・マクニールが設計した[4]

最初に建設されたときは、5本の客車線で区切られた2つのホームしかなかった。その後、そのうちの2本は2面式ホームに置き換えられ、残りの客車線も取り除かれた。1872年に駅の南側、駅の屋根の向こう側に作られた追加のホームは、「軍用ホーム」として知られていた[5]。需要の増加に対応し、遅延を減らす必要があったため、2002年8月には3つの新しいホームが1億7,000万ユーロの開発の一環として、改良された信号機とアプローチ軌道を組み込んだものとなった[6]

駅の改装と近代化(クイン・サベージ・スミス建築とエンジニアリングのビューロー・ハッポルド社による[7])以来、商業施設には、イーゾン(本屋)の2つの支店、マークス&スペンサー、スーパーマック(ファーストフード店)の支店、数軒のカフェキオスク、大型パブなどの飲食施設が含まれている[8]

インチコア鉄道事業所のメンテナンスデポは、約3kmの距離にあり、ヒューストン駅と同様に1846年にも開業している[9]

駅構造

[編集]

アイルランド国鉄

[編集]
アイルランド国鉄 ヒューストン駅
ダブリン・ヒューストン駅切符売り場(2018年)
Stáisiún Uí Heuston
Heuston Station
所在地 ダブリン8区セント・ジョンズ通り西
北緯53度20分47.23秒 西経6度17分33.58秒 / 北緯53.3464528度 西経6.2926611度 / 53.3464528; -6.2926611 (アイルランド国鉄 ヒューストン駅)座標: 北緯53度20分47.23秒 西経6度17分33.58秒 / 北緯53.3464528度 西経6.2926611度 / 53.3464528; -6.2926611 (アイルランド国鉄 ヒューストン駅)
所属事業者 アイルランド国鉄
電報略号 HSTON
駅構造 地上駅
ホーム 5面9線
乗車人員
-統計年度-
11,427人/日(降車客含まず)
-2018年-
乗降人員
-統計年度-
23,087人/日
-2018年-
開業年月日 1846年8月4日
乗入路線 8 路線
所属路線 IC コーク線(特急)
パーク・ウェスト&チェリー・オーチャード
所属路線 IC ゴールウェイ線
ヘーゼルハッチ&セルブリッジ
所属路線 IC リムリック&エニス線
ヘーゼルハッチ&セルブリッジ
所属路線 IC リムリック&ネナ線
ニューブリッジ
所属路線 IC ウォーターフォード線
パーク・ウェスト&チェリー・オーチャード
所属路線 IC ウェストポート&バリナ線
ニューブリッジ
所属路線 IC ポート・レーイシュ線
パーク・ウェスト&チェリー・オーチャード
所属路線 コミューター 南西部線
パーク・ウェスト&チェリー・オーチャード
備考 1966年 キングスブリッジ駅から本駅名に改称
テンプレートを表示

終端ホームが島式4面8線、中間ホームが単式1面1線の計5面9線のホームを持つ地上駅である。1番線は2番線の延長線上にあり、通過をしなければならない。2002年から2004年までの改修工事前には、5つのホームがあった[10][11]。10番線はダブリン・コノリー駅に接続するフェニックス・パーク・トンネル線に位置しており、唯一中間ホームとして機能しているが、駅舎および他のホームから離れており、定期列車には使用されていない[12]。9番線は存在しない[12]

ダブリンとアイルランドの南西部、南西部、西部を結ぶアイルランド国鉄の最大の鉄道駅である。また、駅付近には当駅を発着する現代ロテム製のIÉ22000系列車専用の整備場がある。

トイレ車椅子対応)はメインコンコースにあり、無料のWi-Fiスポットも利用できる[13]発車標はメインコンコースに設置されているほか、各プラットホームにも設置されている[14]

駅構内にはカフェが3店、レストランが4店、新聞販売店本屋が1店、コンビニエンスストアが1店、ATM自動販売機が設置されている。また、メインコンコースにはピアノも設置されており、NHK BS1の「駅ピアノ・空港ピアノ・街角ピアノ」にて放送されているダブリン・コノリー駅のピアノと同じである[15][16]

路線

[編集]

ダブリン・ヒューストン駅からのインターシティ(IC)は、コークリムリックウォーターフォードゴールウェイメイヨーケリーを発着している。

コミューター(ダブリン通勤列車)は、月曜日から土曜日はポート・レーイシュ行きの全駅に停車し、日曜日はキルデア行きの全駅に停車する。

ヒューストン駅はコークへの本線の終着駅で、コーク・ケント駅行きの主要なサービスポイントや乗り換えポイントは以下の通り。

  • キルデア駅(ウォーターフォード線)
  • ポーターリントン駅(タラモアとアスローンを経由して西へ向かう路線)
  • ポート・レーイシュ駅(ヒューストン駅からのコミューターの終着駅)
  • バリーブロフィー駅(リムリック - バルブロフィー線の駅の分岐点)
  • リムリック・ジャンクション駅(リムリックとアニスへの乗り換え、クロンメルを経由してウォーターフォードへ向かう路線)
  • マロウ(キラーニーとトラリーへの分岐点、コークへのコミューター路線の発着駅)

他の主要鉄道駅への乗り換え

[編集]

2016年以前は、フェニックス・パーク・トンネルを経由してダブリン・コノリー駅とダブリン・ヒューストン駅を結ぶ路線は、貨物と鉄道車両の移動にのみ使用されていた。年に1 - 2回、特別列車が運行され、通常はクローク・パークで行われるゲーリック体育協会の試合のためにコーク・ケント駅からコノリー駅まで運行されていた。2016年11月21日には、この路線に沿ったより定期的な運行が開始された[17]

路面電車ルアス・レッドラインが2つの駅を結んでいる(オフピークの土日とバンク・ホリデーを除く)。

ルアス

[編集]
ルアス ヒューストン停留場
ヒューストン停留場(2006年3月)
Heuston
ジェイムズ
ミュージアム
所在地 ダブリン8区セント・ジョンズ通り西
所属事業者 ルアス
所属路線 レッドライン
駅構造 地上駅
ホーム 2面4線
開業年月日 2004年9月26日
テンプレートを表示

2004年に開通したヒューストン・ルアス停留場は、アイルランド国鉄の駅舎の前(東)に位置している[1]。停留場の北側では、路面電車はルアスの建設の一環として改修されたショーン・ヒューストン橋でリフィー川を渡っている。南側では、路面電車はスティーブンズ・レーンを上っていくが、セント・パトリック大学病院(ダブリン大学トリニティ・カレッジ附属)以外への一般車両の通行は禁止されている[18]

相対式ホーム2面と終端島式ホーム2面ホームと計4つのホームがあり、ルアスで最も多い停留場となっている。駅に最も近い2つのホームは、コノリーまたはザ・ポイント方面に向かう北方面に使用されている同じ線路の区間を利用している。セント・ジョンズ通り西に最も近いホームは、タラやサガート方面に向かう南方面用に使用されている。島式ホームの東側は終点ホームで、特定のピーク時にのみ、市内中心部で臨時列車が運行されている。

のりば

[編集]
プラットホーム 路線 方向 行先
レッドライン 南行 タラ方面
サガート方面
レッドライン
西 レッドライン 北行 コノリー方面
ザ・ポイント方面

利用状況

[編集]

早朝は、ダブリン近郊からの通勤・通学客の利用が多い。夕方になると、ダブリン近郊への通勤・通学客の利用が多くなる。当駅でアイルランド国鉄路線からダブリンバスの路線でアイルランド国立大学ダブリン校(UCD)[19]ダブリン工科大学(グランジゴーマンキャンパス)、アート・デザイン国立大学(NCAD)などへの通学生やダブリンのもうひとつのターミナル駅であるダブリン・コノリー駅へ向かうため、ルアスのレッドラインに乗り換える乗客もいる。

  • アイルランド国鉄 - 2018年度の1日平均乗降人員23,087人である[20]

年度別1日平均乗降人員

[編集]

各年度の1日平均乗降人員は下表の通りである(アイルランド国鉄のみ)。

年度 1日平均

乗者人員

1日平均

降車人員

1日平均

乗降人員

増加率 出典
2012 8,650 8,098 16,748 - [21]
2013 8,662 8,919 17,581 4.7% [22]
2014 9,394 9,273 18,667 5.8% [23]
2015 9,639 9,680 19,319 3.3% [24]
2016 9,537 10,007 19,544 1.2% [25]
2017 10,700 11,596 22,296 12.3% [26]
2018 11,427 11,660 23,087 3.4% [20]

駅周辺

[編集]

駅周辺には、ギネスビール博物館、ダブリン動物園フェニックス・パーク、アイルランド国立博物館、複数の病院などがある。

今後の計画

[編集]

2018年に提案されたメトロリンクの諮問文書には、フェニックス・パーク・トンネルを経由してカブラに接続するヒューストン西駅(仮称)への言及が含まれいた[27]

1970年代に最初に発表された他の計画では、DARTの「地下トンネル計画」がヒューストン駅とダブリン・ピアース駅を結ぶことを示唆していた[28][29]。2015年現在、この計画は審査の対象となっており[30][31]、2018年半ば現在、「DART地下トンネル計画」には資金が投入されていない[32]

隣の駅

[編集]
アイルランド国鉄
インターシティ
コーク線
パーク・ウェスト&チェリー・オーチャード駅 - ダブリン・ヒューストン駅
ゴールウェイ線
ヘーゼルハッチ&セルブリッジ - ダブリン・ヒューストン駅
リムリック&エニス線
ヘーゼルハッチ&セルブリッジ - ダブリン・ヒューストン駅
リムリック&ネナ線
ニューブリッジ - ダブリン・ヒューストン駅
ウォーターフォード線
パーク・ウェスト&チェリー・オーチャード駅 - ダブリン・ヒューストン駅
ウェストポート&バリナ線
ニューブリッジ駅 - ダブリン・ヒューストン駅
ポート・レーイシュ線
パーク・ウェスト&チェリー・オーチャード駅 - ダブリン・ヒューストン駅
コミューター(ダブリン通勤列車)
南西部線
パーク・ウェスト&チェリー・オーチャード駅 - ダブリン・ヒューストン駅
ルアス
レッドライン
ジェイムズ停留場 - ヒューストン停留場 - ミュージアム停留場

脚注

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ a b Luas - Public Transport Integrated Ticketing System, RPA Railway Procurement Agency Ireland LUAS”. www.rpa.ie. 2008年2月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月17日閲覧。
  2. ^ a b How The Railways Remembered Ireland’s 1916 Easter Rising”. Railway Magazine (14 August 2017). 15 April 2018時点のオリジナルよりアーカイブ15 April 2018閲覧。
  3. ^ Dublin Kingsbridge station” (PDF). Railscot - Irish Railways. 2007年8月31日閲覧。
  4. ^ 1846 – Heuston Station, Dublin” (英語). Archiseek - Irish Architecture (2010年2月2日). 2021年1月17日閲覧。
  5. ^ Murray, K. A. (1976). The Great Southern & Western Railway. McNeill, D. B. (Donald Burgess), 1911-. Dublin: Irish Railway Record Society. pp. 170, 171. ISBN 0-904078-05-1. OCLC 3069424. https://www.worldcat.org/oclc/3069424 
  6. ^ Heuston Station Redevelopment” (英語). RTÉ Archives. 2017年11月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月17日閲覧。
  7. ^ Heuston Station”. quinnarchitects.ie. Quinn Architects. 29 November 2018閲覧。
  8. ^ M&S Simply Food Opens in Heuston Station”. 98fm.ie. 98FM (3 March 2017). 29 November 2018閲覧。
  9. ^ Inchicore Railway Works, Dublin 8, Dublin City”. buildingsofireland.ie. National Inventory of Architectural Heritage. 29 November 2018閲覧。
  10. ^ Heuston to have four new platforms”. irishtimes.com. Irish Times (15 February 2002). 29 November 2018閲覧。 “Iarnrod Éireann is planning four new platforms for Heuston Station [..] The four new platforms will be added to the existing five
  11. ^ Heuston Re-development”. irrs.ie. Irish Railway Record Society (2002年). 2017年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月17日閲覧。
  12. ^ a b Heuston Re-development”. irrs.ie. Irish Railway Record Society (2002年). 2017年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月17日閲覧。
  13. ^ Rail, Irish. “Dublin Heuston” (英語). Irish Rail. 2021年1月17日閲覧。
  14. ^ Rail, Irish. “Dublin Connolly” (英語). Irish Rail. 2020年5月19日閲覧。
  15. ^ 日本放送協会『「アイルランド・ダブリン」 - 駅ピアノ - NHKhttps://www.nhk.jp/p/ts/9981L8QX2N/episode/te/3696KVQP9R/2020年5月19日閲覧 
  16. ^ 日本放送協会『「アイルランド・ダブリン vol.2」 - 駅ピアノ - NHKhttps://www.nhk.jp/p/ts/9981L8QX2N/episode/te/GQ7RZY5YRP/2020年5月18日閲覧 
  17. ^ Plans for four trains an hour in Phoenix Park tunnel next year”. The Herald (9 March 2015). 18 March 2015閲覧。
  18. ^ Heuston” (英語). Heuston. 2021年1月17日閲覧。
  19. ^ Transport Links” (英語). UCD Undergraduate Courses. 2020年5月19日閲覧。
  20. ^ a b National Heavy Rail Census Report 2018”. アイルランド国鉄. 2021年1月17日閲覧。
  21. ^ National Heavy Rail Census 2012. 2020年7月3日閲覧。
  22. ^ National Heavy Rail Census 2013. 2020年7月3日閲覧。
  23. ^ National Heavy Rail Census 2014. 2020年7月3日閲覧。
  24. ^ National Heavy Rail Census 2015
  25. ^ National Heavy Rail Census Report 2016
  26. ^ National Heavy Rail Census Report 2017
  27. ^ Metrolink Public Consultation Document”. Transport Infrastructure Ireland. 2021年1月17日閲覧。
  28. ^ Staff, Fora. “Whatever happened to... An underground rail line through Dublin's city centre?” (英語). TheJournal.ie. 2021年1月17日閲覧。
  29. ^ TD, Catherine Murphy. “Could an underground Dart solve Dublin's traffic gridlock? It's being considered” (英語). TheJournal.ie. 2021年1月17日閲覧。
  30. ^ DART Underground Webpage”. アイルランド国鉄. 2015年3月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月17日閲覧。
  31. ^ DART Expansion Programme Business Case”. アイルランド国鉄. p. 46. 2021年1月17日閲覧。
  32. ^ Kelly, Olivia. “Office plan scrapped to facilitate shelved Dart Underground” (英語). The Irish Times. 2021年1月17日閲覧。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]