ダメンズ
ダメンズとは、「ダメ(駄目)」と「メンズ(男性)」の合成語であり、「ダメな男性」のことである[1]。だめんず、ダメ男ともいう[2][3]。
具体的には、すぐに浮気する、金遣いが荒い、暴力的になる、などの特徴を持つ。ただし、単なるトラブルメーカーというわけではなく何らかの魅力を持っていることも多く、ダメンズに惹かれる女性も少なくない[1][4]。ダメンズとばかり付き合う女性のことをダメンズウォーカーという[5]。
概要
[編集]ダメンズという用語は、倉田真由美の漫画『だめんず・うぉ〜か〜』が語源となっている[1][6]。倉田は、1990年代後半の雑誌『MEN'S WALKER』にひっかけてダメンズという言葉を考案したという[7]。
1,000人以上を取材してきた倉田は、ダメンズと向き合って分析を行うことは自分の恋愛観や人生観を知るきっかけになるとして、「恋愛に失敗した過去を振り返りたくない、嫌いな男のことなんて思い出したくない、という人も多いかもしれません。でも、過去の恋愛と向き合い、振り返りや分析を行えば、自分の人生にとって大切なことを知るきっかけになるんですよ。例えば、私は束縛が嫌だから、自由が一番大事なんだと気がついたのです。近年のコロナ騒動を経て、ますますその思いを強くしました。決して、だめんずと付き合った経験は無駄ではないんだよと、言いたいですね。その経験を生かして、幸せになればいいと思います」と述べている[8]。
2000年代になってから登場した用語ではあるが、乱れた私生活ながら女性にモテた太宰治や、放縦不拘なイメージで知られる在原業平のような、歴史上の人物について言及されることもある[9][10]。江戸時代中期頃には、ダメンズが描かれた浮世絵も人気を博したという。太田記念美術館主幹学芸員の赤木美智は、これを「単純にカッコいいだけではない、さまざまな男性像があらわれるところに、江戸文化の成熟が見えると思います」と評している[11][12]。
特徴
[編集]ダメンズの特徴としては以下のものが挙げられている。
- 対人関係
- 金銭面
- その他
有識者の見解
[編集]- 精神科医の和田秀樹は、ダメンズについて、浮気をするということは「そこそこモテる男」ではあって、したがって女性が惹かれる「何か」を持っていると推察している[1]。また、ダメンズと付き合う女性は、ダメンズを「息子」のように感じていて、多少のヤンチャも「母親」として受け入れているのではないかと考察している。
- 僧侶の小池龍之介は、ダメンズはダメな自分を正当化するために崇高な哲学を語ると指摘している[16]。
- 同志社大学嘱託研究員の松並知子は、ダメンズの特徴を分析し、アメリカ精神医学会が定めた自己愛性パーソナリティ障害の「誇大タイプ」に該当すると考察している[17]。
- 社会心理学者の渋谷昌三は、ダメンズにハマってしまう女性の特徴を2つ挙げている[6]。「ダメな私にはダメな彼がふさわしい」と考える「自己評価が非常に低い女性」と、「私が面倒を見てあげなければ」と考える「助けたい症候群の優秀な女性」である。
- 心理学者の浮谷秀一は、ダメンズにつかまる女性の共通点について、頑張り屋さんで、負けず嫌いで責任感も強く、困っている人を放っておけない性格だと述べている[2]。
- 社会学者の伊田広行は、自分と他者・集団の区別が不明確な「プレ自立」段階にある人は共依存関係に陥りやすく、ダメンズになったりダメンズに惹きつけられたりしやすいと述べている[18]。
関連制作物
[編集]- 書籍
- 映画
-
- 『もっと超越した所へ。』(根本宗子、2022年)
- 『ダメ男に復讐する方法』(ニック・カサヴェテス、2014年)
- 『WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々』(トム・マッカーシー、2011年)
- 『ザッツ★マジックアワー ダメ男ハワードのステキな人生』(ショーン・マッギンリー、2008年)
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d 和田秀樹「第6章 男女の心理はもともと「違う」」『精神科医が教える自分のままで幸せになる恋愛術』海竜社、2016年。ISBN 978-4759315110。
- ^ a b 浮谷秀一『「人間関係の心理学」すぐに使える!人づきあい改善のポイント コツがわかる本』メイツ出版、2020年、126頁。ISBN 978-4780423532。
- ^ “INTERVIEW:インタビュー2013年3月号”. LIBRA ON LINE. 2023年1月9日閲覧。
- ^ “ダメンズウォーカーとは?ダメ男からの脱却法と対等な恋に必要なこと”. tapple (2021年11月30日). 2023年1月9日閲覧。
- ^ a b 渋谷昌三『いちばんやさしい 他人の心理学の本』西東社、2013年、156-157頁。ISBN 978-4791621910。
- ^ “「70、80まで働くことも想定済み」50歳目前の漫画家・倉田真由美が語る“フリーランスの究極の夢””. 文春オンライン (2021年6月13日). 2023年1月10日閲覧。
- ^ “倉田真由美「だめんずは鏡」自分の恋愛の価値観がはっきり見えてくる”. Real Sound (2021年10月14日). 2023年1月10日閲覧。
- ^ “ダメ男「太宰治」ずば抜けて身勝手なのにモテた訳 間抜けなことをするけど、放っておけない魅力”. 東洋経済オンライン (2023年1月3日). 2023年1月10日閲覧。
- ^ “ダメンズ確定!在原業平の破天荒すぎる恋愛 平安のゴシップ誌「伊勢物語」の和歌は強烈だ”. 東洋経済オンライン (2016年5月8日). 2023年1月10日閲覧。
- ^ “江戸時代にも「ダメンズ」 少女相手にニヤけるアラフォー”. AERA (2013年8月31日). 2023年1月10日閲覧。
- ^ “プロフィール”. HMV&BOOKS online. 2023年1月10日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i “ダメ男の特徴と見分け方! ダメ男を好きになる女性の特徴とは?”. pairs (2015年12月1日). 2023年1月9日閲覧。
- ^ a b c “ダメ男の特徴とは?好きになる女性心理やいい男の見分け方を解説”. セキララ ゼクシィ (2021年10月5日). 2023年1月9日閲覧。
- ^ 小池龍之介「お悩み04 曖昧な関係に終止符を打ちたい」『恋愛成就寺』ディスカヴァー・トゥエンティワン、2012年。ISBN 978-4799311561。
- ^ 松並知子「フェミニストはそう言うけれど… 『だめんず・うぉ~か~』が売れる理由(ワケ)--倉田真由美的葛藤と自己愛」『女性学年報』第26巻、日本女性学研究会、2005年11月、79-101頁、NAID 40007044925。
- ^ 伊田広行「新しい人権論へ」『大阪経大論集』第53巻第2号、大阪経大学会、2002年7月、59-93頁、NAID 120005534038。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- ダメ男の特徴って?ダメンズ度診断 - マイナビ学生の窓口