チェコと中華民国の関係
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チェコと中華民国の関係(チェコとちゅうかみんこくのかんけい、繁体字: 捷克-中華民國關係)、あるいはチェコと台湾の関係(チェコとたいわんのかんけい、チェコ語: Česko-tchajwanské vztahy, 繁体字: 捷克-臺灣關係、英語: Czech Republic–Taiwan relations)とは、チェコと中華民国の間における国際関係について記述する。1949年以来、両国間の国交はない。
歴史
[編集]国交樹立から断交まで(1930年~1949年)
[編集]1930年2月12日、中華民国とチェコスロバキアの間で国交が樹立され、1931年、中華民国駐チェコスロバキア公使館をチェコスロバキアの首都プラハに開設。当初は、ポーランドが兼任していた。
1939年、ナチス・ドイツがチェコスロバキアを占領(ズデーテン併合)。公使派遣が中止され、プラハの中華民国公使はルーマニアに転任することになり、両国の外交関係は一時中断されることとなった。この間、チェコスロバキアは満州国を承認し公使を派遣した。
1941年8月26日、中華民国はロンドンのチェコスロバキア亡命政府を承認。公使館が開設され、オランダ公使が兼任した。
1944年7月25日、中華民国駐チェコスロバキア公使館が大使館に格上げ。当初は、オランダ大使が兼任。終戦後の1945年7月30日、正式に大使館が復館した。
1949年10月1日、毛沢東が中華人民共和国の建国を宣言すると、同月3日、チェコスロバキア社会主義共和国は中華人民共和国と国交を樹立し、中華民国と断交。
断交からビロード離婚まで(1949年~1993年)
[編集]1950年代~90年代の冷戦期において、西側諸国であった中華民国は東側諸国の国々との交流は、ほとんど行われることはなかった。
1971年10月25日、アルバニア決議においてソ連の衛星国であったチェコスロバキアは、中華人民共和国の国連参加に賛成票を投じた。
1989年11月、ビロード革命で共産党政権が崩壊し、民主化が促進。国名も、チェコスロバキア社会主義共和国からチェコおよびスロバキア連邦共和国に変更された。1993年1月1日、チェコとスロバキアが分離(ビロード離婚)しチェコ共和国が成立。その後、両国の往来が再開された。
ビロード離婚以後(1993年~)
[編集]1997年7月に発生した1997年の中央ヨーロッパ洪水に際しては、中華民国政府が2万ドルを寄付した[1]。
2019年1月14日、プラハ市のズデニェク・フジブ市長がTwitterで、「2016年3月に北京市との間に締結された姉妹都市協定書において、1つの中国政策に関する項目について北京市と再交渉するつもりである。」と述べた。3月18日、「プラハ市が北京市と締結した姉妹都市協定書では「1つの中国原則」は、当初北京側が出した条件だが、北京市と他の姉妹都市間にはそのような項目はないため、受け入れる必要はない。」とした[2]。同年10月7日、プラハ市は北京市との姉妹都市解消を発表した[3]。12月プラハ市議会と台北市議会が、姉妹都市の締結を承認[4][5]。2020年1月13日、プラハで姉妹都市協定の調印式が行われ、柯文哲台北市長と同市のフジブ市長が協定書に署名した[6]。翌日14日、対抗措置として上海市はプラハ市との友好都市関係を解消し、公的往来も中断すると発表[7]。
2020年4月1日、新型コロナウイルスの流行に対応して、蔡英文総統が感染の深刻な国々の医療従事者向けに1,000万枚のマスクを寄贈することを発表し、アメリカに200万枚、チェコやイギリスなどの欧州11カ国に700万枚、外交関係のある友好国に100万枚をそれぞれ無償提供を行った[8][9]。
2020年5月20日、蔡英文総統が再選されると、チェコ上院副議長のミロシュ・ホルシュカやプラハ市のズデニェク・フジブ市長が祝辞を送った[10]。
2020年9月1日、中国とは国交があり台湾と外交関係がないチェコから訪台中のミロシュ・ビストルチルチェコ共和国上院議長が台湾の立法院で演説して、共産主義と強圧的な政権に反対し、台湾の人々を支持すると演説し、最後は「わたしは台湾人だ」と中国語で締めくくり[11]、民主主義国の団結、台湾との連帯を強く訴えた[12]。これに対して中国は不快感を示した[11]。
2021年7月27日、チェコが新型コロナウイルス感染症対策のCOVID-19ワクチン3万回分を台湾に提供することを決め、 蔡英文総統は深い感謝の意を表した[12]。チェコの台湾支援には、米中の対立が深まる中、民主主義国同士の相互連携をアピールする目的がある[12]。
台湾の国際組織参加支持
[編集]- 1994年10月:チェコが国連総会で、「国籍普遍化原則」を提唱し台湾の参加を間接的に示唆[13]。
- 1995年10月:ヴァーツラフ・ハヴェル大統領が第50回国連総会の記者会見で台湾の国連加盟を支持[14]。
- 1997年,1998年,1999年,2001年:チェコが、国連総会の答弁中に台湾の国連参加について発言[15][16][17][18]。
- 2006年4月:チェコ下院議員の過半数が、台湾の世界保健機関(WHO)のオブザーバー参加に関しての議案に署名[19]。
- 2009年5月:欧州理事会議長のヤン・フィシェルが、第62回世界保健総会(WHA)で台湾のオブザーバー参加を歓迎する声明を発表[20]。
- 2019年5月:チェコ下院議員55名、元老院25名およびズデニェク・フジブプラハ市長が世界保健機関(WHO)に、台湾を世界保健総会に招待するよう求める書簡に署名[21][22]。
- 2020年5月:チェコ議会元老院の外交国防及び安全保障委員会と衛生及び社会政策委員会が、台湾を世界保健機関(WHO)・世界保健総会(WHA)に参与することを支持する決議を可決[23]。
主な要人往来
[編集]- 1995年6月:連戦行政院長(首相)がチェコを訪問。ヴァーツラフ・クラウス首相、ヴァーツラフ・ハヴェル大統領らと会談[24]。
- 2000年10月:李登輝元総統がチェコを訪問[25]。
- 2001年1月:吳淑珍総統夫人がチェコを訪問。ヴァーツラフ・ハヴェル大統領らと面会[26]。
- 2004年11月:ヴァーツラフ・ハヴェル元大統領夫妻が訪台。陳水扁総統、呂秀蓮副総統らと会談[27]。
- 2019年3月:ズデニェク・フジブプラハ市長が訪台。蔡英文総統、呉釗燮外交部長、唐鳳政務委員、柯文哲台北市長らと会談[28]。
- 2020年1月:柯文哲台北市長がチェコを訪問。プラハ市との姉妹都市協定書に署名[6]。
- 2020年8月~9月:チェコ議会上院のミロシュ・ビストルチル議長、ズデニェク・フジブプラハ市長などの89人の訪問団が訪台。蔡英文総統、柯文哲台北市長らと会談(チェコ上院議長の台湾訪問)[29]。
経済
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文化
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二国間協定
[編集]日期 | 協議[30] | 備考 |
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1930年2月12日 | 友好通商条約 | |
1991年5月26日 | 台北国家科学委員会とチェコスロバキア科学アカデミーによる協力協定[31] | |
1991年6月28日 | 中華民国郵政総局とチェコスロバキア郵政の国際スピード郵便協定 | |
1993年9月24日 | 中華民国国家科学委員会とチェコ科学アカデミーによる科学協力協定 | |
1995年10月4日 | 台北経済部投資業務処とチェコインベストによる協定 | |
1995年10月5日 | 台北商品検査局とプラハ標準測定検査局による覚書 | |
1996年9月20日 | 中華民国行政院原子能委員会核能研究所とチェコ核子研究所による協力覚書 | |
1998年3月2日 | 中華民国財政部関務署とチェコ関税局による関税に関する協力覚書 | |
2001年1月31日 | 台湾標準検査局とプラハ標準測定検査局による覚書 | |
2008年11月3日 | 中華民国国家科学委員会とチェコ科学財団による研究協力覚書 | |
2010年5月5日 | 電子政府協力覚書 | |
2010年9月3日 | 中華民国国家科学委員会とチェコ共和国技術庁による情報交換協力に関する覚書 | |
2010年9月13日 | 台湾知的財産局とチェコ工業財産局による情報交換協力に関する覚書 | |
2011年9月6日 | 中華民国国家通訊伝播委員会とチェコ電子通信局による電気通信協力に関する覚書 | |
2012年1月25日 | 中華民国国家科学委員会とチェコ教育・青少年・スポーツ省による科学技術協力に関する覚書 | |
2013年1月18日 | 中華民国行政院原子能委員会核能研究所とチェコ原子力安全庁による原子力協力に関する覚書 | |
2013年6月24日 | イノベーション研究開発協力に関する覚書 | |
2015年12月28日 | 駐チェコ台北経済文化弁事処と駐台北チェコ経済文化弁事処によるワーキングホリデーに関する覚書[32] | |
2016年5月3日 | 駐チェコ台北経済文化弁事処と駐台北チェコ経済文化弁事処による教育協力に関する共同声明[33] | |
2016年6月29日 | 台湾科技部とチェコ科学アカデミーによる科学協力に関する協定 | |
台湾科技部とチェコ科学アカデミーによる科学協力に関する協定の2017年~2018年議定書 | ||
2017年12月12日 | 所得税二重課税回避と脱税防止協定(ADTA)[34] | [註 1] |
2020年4月1日 | 防疫協力に関する共同声明[35] | |
2020年8月31日 | アジア・シリコンバレー計画執行センターとチェコ科学技術先進地域によるスマートシティとAIoT交流に関する協力覚書[36] | |
数位時代媒体集団とチェコ台湾商会イノベーションによる創業に関する協力覚書[36] | ||
精密機械研究発展中心とチェコ台湾商会によるスマート機械に関する協力覚書[36] |
脚注
[編集]註釈
[編集]- ^ 発効:2020年5月12日;施行:2021年1月1日
出典
[編集]- ^ “外交部中華民國八十六年七月份新聞稿”. 2020年9月15日閲覧。
- ^ “| | 經濟日報”. 2020年9月15日閲覧。
- ^ “チェコ・プラハ市政府、北京市との姉妹都市関係を解消へ”. 2020年9月15日閲覧。
- ^ “布拉格市議會無異議通過! 與台北締結姊妹市”. 2020年9月15日閲覧。
- ^ “與布拉格締結姊妹市 議會通過用台灣台北市”. 2020年9月15日閲覧。
- ^ a b “台北市、チェコ首都のプラハ市と姉妹都市に 関係深化目指す/台湾 | 政治 | 中央社フォーカス台湾”. 2020年9月16日閲覧。
- ^ “上海がプラハと友好解消、往来も中断 台北との姉妹都市協定に反発:時事ドットコム”. 2020年9月16日閲覧。
- ^ “台湾がマスク外交 人道支援で海外に1000万枚寄贈:時事ドットコム”. 2020年9月18日閲覧。
- ^ “1000萬片台製口罩捐贈配額曝光 外交部:歐盟700萬、美國200萬、友邦100萬 -- 上報 / 焦點”. 2020年9月18日閲覧。
- ^ “全球政要向我第15任總統、副總統就職祝賀情形”. 2020年9月15日閲覧。
- ^ a b “チェコ議長、台湾の立法院で演説 民主主義防衛へ共闘”. 時事通信. (2020年9月1日). オリジナルの2021年6月17日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b c 杉山祐之 (2021年7月27日). “チェコ、台湾にワクチン3万回分提供へ…日米などに続き5か国目”. 読売新聞. オリジナルの2021年7月27日時点におけるアーカイブ。
- ^ “中華民國(台灣)外交部全球資訊網”. 2020年9月18日閲覧。
- ^ “中華民國(台灣)外交部全球資訊網”. 2020年9月18日閲覧。
- ^ “外交部中華民國八十六年十月份新聞稿”. 2020年9月19日閲覧。
- ^ “聯合國大會第五十三屆常會總辯論自本(八十七)年九月二十一日至十月二日舉行”. 2020年9月19日閲覧。
- ^ “聯合國大會第五十四屆常會總辯論於本(八十八)年九月二十日至十月二日舉行”. 2020年9月19日閲覧。
- ^ “聯合國第五十六屆總辯論”. 2020年9月19日閲覧。
- ^ 外交部. “中華民國(台灣)外交部全球資訊網”. 2020年9月18日閲覧。
- ^ “捷克國情簡介 - 駐在國國情簡介 - 駐捷克台北經濟文化代表處 Taipei Economic and Cultural Office, Prague, Czech Republic”. 2020年9月18日閲覧。
- ^ “不顧北京反對又兩國!捷克秘魯國會議員挺台參與WHA | 國際”. 2020年9月18日閲覧。
- ^ “挺台參與WHA 捷克、斯洛伐克百位國會議員致函WHO -- 上報 / 焦點”. 2020年9月18日閲覧。
- ^ “チェコ上院2委員会が台湾のWHO総会参与支持の決議、外交部は「心から感謝」”. 2020年9月18日閲覧。
- ^ “均正面肯定且評價甚高”. 2020年9月20日閲覧。
- ^ “李登輝捷克之訪招北京抗議”. 2020年9月20日閲覧。
- ^ “【民報】捷克人民的總統,「天鵝絨革命」的靈魂人物──哈維爾”. 2020年9月19日閲覧。
- ^ “中華民國(台灣)外交部全球資訊網”. 2020年9月19日閲覧。
- ^ “「台灣迷」布拉格市長訪台,批中國打壓台灣參與國際「無法接受」”. 2020年9月20日閲覧。
- ^ “チェコ上院議長一行89人、8月30日から台湾訪問”. 2020年9月19日閲覧。
- ^ “條約協定查詢系統”. 2020年9月6日閲覧。
- ^ “台北國家科學委員會與布格拉國家科學院合作協定”. 2020年9月13日閲覧。
- ^ “台湾とチェコのワーキングホリデー、申請受付開始”. 2020年9月19日閲覧。
- ^ “台湾とチェコ、教育協力に関する共同声明”. 2020年9月19日閲覧。
- ^ “台湾・チェコ租税協定は来年1月1日に実施、外交部が歓迎”. 2020年9月19日閲覧。
- ^ “【防疫外交】歐洲合作台灣第一國 台灣與捷克發表抗疫合作聲明 -- 上報 / 焦點”. 2020年9月17日閲覧。
- ^ a b c “台捷友好!官方民間共簽三MOU、三電子業加碼投資 | 聯合新聞網:最懂你的新聞網站”. 2020年9月19日閲覧。