チャイルド・デス・レビュー
チャイルド・デス・レビュー (英語: Child death review、略称CDR、和名は「予防のための子どもの死亡検証」[1])とは、子どもが死亡した後に、多職種の機関、専門家 (医療、警察。行政、福祉関係者など) が子どもの死に至る直接的、間接的な情報を収集し、予防可能な要因について検証し、効果的な予防対策を提言することで、将来の子どもの死亡を減らすことを目的とする取り組み[2]。
子どもの死に至る直接的、間接的な情報とは、死亡した子どもの既往歴、家族背景、当該死亡に至った直接の原因などをいう[3]。
対象となるもの
[編集]既存の検証制度には、「子どもの虐待、重大事例検証」、「教育・保育施設等事故報告検証」、「学校事故検証」、「自殺といじめの関連検証」、「消費者生活用製品に係わる重大製品事故」、「医療事故調査制度」などがある。
既存の検証制度との違いは、特定の死因を対照とするのではなく、全死亡事例を対象とすること。既存の制度から漏れている症例も対象に含めて、継続的に地域で検証していく。
なおイギリスでは、法律の範囲内で行われた死産、後期流産、または妊娠中絶 は含まれない。
- 死産: 妊娠 24 週以降に生命の兆候なしに生まれた赤ちゃん。
- 後期胎児喪失: 妊娠 24 週前に生命の徴候なしに妊娠が終了する場合。
また、法律の範囲内で計画的妊娠中絶を行った後に生児を出産した場合は、子の死亡審査の対象とはならない。[4]
背景
[編集]CDRは、子どもの死亡を減らすことを目的として、アメリカ、イギリスなどの諸外国では既に先行して実施されているもので、我が国では「健やか次世代育成総合研究事業」における「突然の説明困難な小児死亡事例に関する登録・検証システムの確立に向けた実現可能性の検証に関する研究」(2016年~2018年) を始めとして検討がなされてきた。
法的整備としては、2018年に成立の「生育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律」(略称「生育基本法」) と2019年6月6日に成立の「原因究明等推進基本法」により、子どもが死亡した場合のその死亡原因に関する情報の収集、管理、活用等り仕組み、あるべき原因究明等に関する行政組織、法制度等の整備がなされている。
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ “都道府県Child Death Reviewモデル事業の手引(第2版)”. 厚生労働省 (2021年3月). 2022年10月5日閲覧。
- ^ “チャイルド・デス・レビュー CDR研修資料”. 厚生労働省 (2021年1月29日). 2022年10月5日閲覧。
- ^ “都道府県Child Death Reviewモデル事業の手引(第2版)”. 厚生労働省 (2021年3月). 2022年10月5日閲覧。
- ^ “Child Death Review”. Safeguarding Partnership Arrangements. 2022年10月5日閲覧。
外部リンク
[編集]- こども家庭庁CDR - こども家庭庁によるCDRの解説サイト。子どもを事故でなくした母親のインタビューや主催のシンポジウムなど情報が豊富。
- Child Death Review Statutory and Operational Guidance (England) - 英語