ツクバネウツギ
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ツクバネウツギ | |||||||||||||||||||||||||||
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福島県会津地方 2008年5月
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分類(APG III) | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Abelia spathulata Siebold et Zucc. var. spathulata[1] | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
ツクバネウツギ(衝羽根空木) |
ツクバネウツギ(衝羽根空木[4]、学名:Abelia spathulata)はスイカズラ科ツクバネウツギ属の落葉低木。
特徴
[編集]落葉広葉樹の低木。樹高は2メートル (m) になり[4]、密に分枝する。樹皮は灰褐色で薄く剥がれ、若い枝にはわずかに毛があり、褐色か赤褐色[4]。葉は長さ1 - 3ミリメートル (mm) の葉柄をもって対生する。葉身は広卵形から長楕円状卵形で、長さ2 - 5センチメートル (cm) 、幅1 - 3.5 cmになる。葉縁にはあらく不規則な鋸歯があり、葉の両面には短い毛が生えるが、表面には生えない場合がある。
花期は5 - 6月[4]。枝の先端から共通花柄を出し、5個の同じ長さの萼片をつけ、ふつう2つ花をつける。花冠は二唇状の鐘状漏斗形で、白色、黄白色、ときに黄色、まれにピンク色になり、長さは1.5 - 3 cmになる。雄蕊は4本ある。果期は9 - 11月で、果実は長さ8 - 14 mmの線形の痩果になる。
冬芽は対生してつき、卵形で芽鱗は8 - 12枚あり、枝と同色である[4]。枝先には頂芽がつき、しばしば5枚の萼片がついている果実が残っている[4]。葉痕は三角形や倒松形で、維管束痕は3個ついている[4]。
和名は、果実がプロペラ状の萼片をつけ、羽根突きの「衝羽根」に似ること、枝の様子がウツギに似ていることに由来する[5]。
分布と生育環境
[編集]日本の本州の東北地方の太平洋側、関東地方および中部地方以西、四国ならびに九州の北西部に分布し[4]、丘陵地や山地に生育する。
ギャラリー
[編集]品種、変種
[編集]- タキネツクバネウツギ Abelia spathulata Siebold et Zucc. f. colorata (H.Hara et S.Kuros.) H.Hara et S.Kuros. - 花冠は明るい紅赤色で、本州の東北地方南東部および関東地方北東部の標高300-1,000mの山地に分布する。福島県の大滝根山が基準産地。
- ヤエノツクバネウツギ Abelia spathulata Siebold et Zucc. f. duplexa H.Ohba
- ケツクバネウツギ Abelia spathulata Siebold et Zucc. f. pilosa Nakai - 全体に長い白色の毛が生え、本州の東海地方および近畿地方の太平洋側に分布する。
- ベニバナノツクバネウツギ Abelia spathulata Siebold et Zucc. var. sanguinea Makino - 花冠は濃赤色で、主に本州中部の標高1,000-2,000mの山地に分布する。
- ウゴツクバネウツギ Abelia spathulata Siebold et Zucc. var. stenophylla Honda - 葉が、長さ5-10cm、幅1.5-4cmと大型で、厚く光沢があり、本州の東北地方および北陸地方の日本海側に分布する。
- アベリア(=ハナゾノツクバネウツギ)は、街路や公園、マンションなどの植え込みに多用されていて、本種と同属。本来「アベリア」は属の名前であるが、一般的にはハナゾノツクバネウツギを指すようになった[5]。
脚注
[編集]- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Abelia spathulata Siebold et Zucc. var. spathulata”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年8月12日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Linnaea spathulata (Siebold et Zucc.) Graebn.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年8月12日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Diabelia spathulata (Siebold et Zucc.) Landrein”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年8月12日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 23.
- ^ a b “ツクバネウツギ(突羽根空木)”. 庭木図鑑 植木ペディア. 2020年5月22日閲覧。
参考文献
[編集]- 佐竹義輔他編『日本の野生植物 木本Ⅱ』(1989)平凡社
- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、23頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
- 永田芳男『樹木(春夏編) 新装版山渓フィールドブックス12』(2006)山と渓谷社
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)