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コゲラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ツシマコゲラから転送)
コゲラ
木に留まるコゲラ
木に留まるコゲラ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: キツツキ目 Piciformes
: キツツキ科 Picidae
: アカゲラ属 Dendrocopos
: コゲラ D. kizuki
学名
Dendrocopos kizuki
Temminck, 1836[2]
和名
コゲラ
英名
Japanese Pygmy Woodpecker
Pygmy Woodpecker
亜種

 詳細は本文参照

  • エゾコゲラ D. k. ijimae [3]
  • コゲラ D. k. seebohmi [3]
  • ミヤケコゲラ D. k. matsudairai
  • シコクコゲラ D. k. shikokuensis
  • ツシマコゲラ D. k. kotataki
  • キュウシュウコゲラ D. k. kizuki [3]
  • アマミコゲラ D. k. amamii [3]
  • リュウキュウコゲラ D. k. nigrescens
  • オリイコゲラ D. k. orii

コゲラ小啄木鳥学名Dendrocopos kizuki[4]あるいは Yungipicus kizuki[5])はキツツキ目キツツキ科分類される鳥類の1。英名は “Japanese Pygmy Woodpecker” で[5]日本にいる小さなキツツキの意。

形態

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全長15 cm[6][7](13-15 cm[8][9]) で、スズメと同じくらいの大きさ。翼開長は約27 cm[7]。体重18-26 g[8]。日本に生息するキツツキとしては最も小さい。オスよりメスがやや大きい。灰褐色と白のまだら模様の羽色をしている。南方に分布するものほど体色が濃くなる傾向がある。雌雄の羽色の違いは後頭部にある赤い斑の有無(雄にある)程度だが、野外ではほとんど見えないため、羽色で雌雄を区別することは困難なことも多い。足には前指2本と後指2本がある[10]

生態

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天然林から雑木林都市公園内の樹木など、木立のある場所ならば普通に観察される[11]。本来は平地から山地の林に生息する鳥であるが、近年は都市の近郊にも定着しており、市街地に近い街路樹や人家の庭木、公園の樹木などでもよく見られる。1980年代以降、東京などの都市部でも繁殖するようになった[11]

つがいや家族がいっしょにいることが多く、お互いの確認をするため「ギー、ギー」という声を出す。なわばりの主張や、遠方への自分の位置の伝達、巣立ったヒナが親鳥に給餌をねだるときなどには、「キッキッキ」という強い声を出す。嘴で木を強く連続して叩いて音を出すドラミングも行う。ドラミング音は、アカゲラなどの大型のキツツキに比べ小さく短い場合が多い。

小さい体の割には、20ヘクタールほどの広いなわばりを持っており、一度繁殖を始めると同じ場所に生息し続ける。つがいの絆も、片方の鳥が死ぬまで続くことが多いようである。また、単独やつがいでいる場合のほか、シジュウカラなどと混群をつくる場合もある[7]。枯れ木や生きた木の枯れ枝などに巣穴を作り、毎年新しく掘る。

食性は雑食だが、主に昆虫などの節足動物を捕食し、木の実を食べることもある。樹皮につかまり、縦横にこまかく移動しながら、表面からつまみとったり、つついて小さい穴を開け、長い舌を隙間や昆虫の掘った穴に差し入れて捕食する。

分布

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ロシア南東部、樺太島朝鮮半島北部、中国東北部、日本列島など、東アジアの限られた地域に分布している。

日本では佐渡島を除く全国の亜寒(亜高山)帯針葉樹林から亜熱帯照葉樹林まで留鳥として広く分布する。基本的には留鳥だが、寒冷地に生息する個体は、冬季には暖地へ移動するものもいる。東京都小平市の「市の鳥」に指定されている。

亜種

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基亜種のキュウシュウコゲラを含め、下記の 9亜種が記載されている(順序は北から南の順)[12]。体色は地域により異なる。

エゾコゲラ(国立科学博物館の展示)
エゾコゲラ
Dendrocopos kizuki seebohmi (Hargitt, 1884)
北海道南千島に分布する[4]
桜の木に留まるコゲラ
コゲラ
Dendrocopos kizuki nippon (Kuroda, 1922)
本州北・中部、迷鳥として佐渡[4]。ただし分布域が明確ではないため要検討とされる[4]
ミヤケコゲラ
Dendrocopos kizuki matsudairai (Kuroda, 1921)
伊豆諸島(大島、三宅島、御蔵島、八丈島)、屋久島に分布する[4]。ただし分布域が明確ではないため要検討とされる[4]
シコクコゲラ
Dendrocopos kizuki shikokuensis (Kuroda, 1922)
本州西部および四国に分布する[4]。ただし分布域が明確ではないため要検討とされる[4]
ツシマコゲラ
Dendrocopos kizuki kotataki (Kuroda, 1922)
対馬隠岐諸島に分布する[4]
キュウシュウコゲラ
Dendrocopos kizuki kizuki (Temminck, 1836)
九州に分布する[4]
アマミコゲラ
Dendrocopos kizuki amamii (Kuroda, 1922)
奄美群島固有亜種[13]奄美大島加計呂麻島請島与路島徳之島に分布する[4]
リュウキュウコゲラ
Dendrocopos kizuki nigrescens (Seebohm, 1887)
沖縄本島屋我地島に分布する[4]
オリイコゲラ
Dendrocopos kizuki orii (Kuroda, 1923)
八重山諸島西表島)で確認されている[4]

近縁種

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セジロコゲラ

脚注

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  1. ^ IUCN 2011. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.2. (Dendrocopos kizuki)” (英語). IUCN. 2012年2月8日閲覧。
  2. ^ Dendrocopos kizuki (Temminck, 1836)” (英語). ITIS. 2012年2月8日閲覧。
  3. ^ a b c d Clements, James F. (2007). The Clements Checklist of Birds of the World (6th ed.). Ithaca, New York: Cornell University Press. p. 250. ISBN 978-0-8014-4501-9 
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m 日本鳥類目録編集委員会 『日本鳥類目録 改訂第7版』、日本鳥学会、2012年、225-227頁。
  5. ^ a b Clements Checklist: Downloadable Checklist”. The Cornell Lab of Ornithology. Cornell University (2022年). 2023年2月4日閲覧。
  6. ^ 高野伸二 『フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂版』、日本野鳥の会2007年、214頁。ISBN 978-4-931150-41-6
  7. ^ a b c 中川 (2010)、156頁
  8. ^ a b Brazil, Mark (2009). Birds of East Asia. Princeton University Press. p. 282. ISBN 978-0-691-13926-5 
  9. ^ Hans Winkler, David A. Christie, David Nurney, WOODPECKERS an identification guide to the Woodpeckers of the World, (1995) p. 257-258. ISBN 0-395-72043-5.
  10. ^ 高木 (2000)、44-45頁
  11. ^ a b 大橋 (2007)、66-67頁
  12. ^ 日本のレッドデータ検索システム(コゲラ)”. エンビジョン環境保全事務局. 2012年2月8日閲覧。
  13. ^ 鳥類レッドリスト (環境省)2006年版でのランク変更

参考文献

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外部リンク

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