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テルモフィルム・ペンデンス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
テルモフィルム・ペンデンス
分類
ドメイン : 古細菌 Archaea
: クレンアーキオータ界
Crenarchaeota
: クレンアーキオータ門
Crenarchaeota
: テルモプロテウス綱
Thermoprotei
: テルモプロテウス目
Thermoproteales
: テルモフィルム科
Thermofilaceae
: テルモフィルム属
Thermofilum
: T. ペンデンス
T. pendens
学名
Thermofilum pendens Zillig and Gierl 1983

テルモフィルム・ペンデンスThermofilum pendens、サーモフィラム-)は、テルモプロテウス目テルモフィルム科に属する古細菌の一種。嫌気従属栄養性の超好熱菌で、主に陸上の硫黄泉に生息する。学名ラテン語で「(Thermoproteus tenaxに)依存する、好熱性の糸状菌」という意味がある。

1980年代にアイスランドヴルカーノ島イタリア)、イエローストーン国立公園アメリカ合衆国)の硫黄泉より発見、報告された。鞭毛を持たない角ばった桿菌で、長さは時に100μmにも達する。桿菌の片側に小さなふくらみが生じ、出芽により新たな細胞を形成する。後述の栄養要求性と合わせ、これらの特徴は古細菌の中でもやや珍しい。

増殖可能温度は55-100°C、pHは4-6.5。多少複雑な栄養要求性を示し、硫黄、炭素源の他に、硫化水素Thermoproteus tenaxの(未知の)極性脂質が必須である。ただし近縁の未記載種"Thermofilum librum"は極性脂質を要求しない。炭素源としては酵母エキストリプトンゼラチンなどが利用されるほか、スクロースの添加により増殖が促進される。

ゲノム情報

2006年に解析が完了している。1,781,889bpの主ゲノムと、31,504bpのプラスミドを持つ。ORFは1876箇所と推定されている。アミノ酸ヌクレオチド補酵素の合成系をかなり欠損しているが、寄生生物へと進化しているわけではなく、単に栄養豊富な環境に適応しているだけとみられている。

なお16S rRNAによる系統樹では、クレンアーキオータの中でもかなり古い系統に属しているとされる。

参考文献

[編集]
  • Anderson I, et al. (2008). “Genome sequence of Thermofilum pendens reveals an exceptional loss of biosynthetic pathways without genome reduction”. J Bacteriol. 190 (8): 2957-65. PMID 18263724.