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テレコム国際ベートーヴェンコンクール・ボン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

テレコム国際ベートーヴェンコンクール・ボン (International Telekom Beethoven Competition Bonn)は、ドイツボンで行われている国際ピアノコンクール。2011年に現在の名称に切り替わった。

概要[編集]

ベートーヴェンの作品をメインに据えるコンクールは長らくベートーヴェン国際ピアノコンクール・ウィーンが定番で、ベートーヴェン国際コンクールといえばすぐにウィーンを連想する音楽家が多かったが、これとは別にテレコム国際ベートーヴェンコンクール・ボンという名称の大型コンクールがドイツに設立された。

最も大きな違いは、ピアノはハンブルクスタインウェイD一択であること、Telekomが全面的にスポンサーになること、そして要求される課題曲の曲数がウィーンの倍存在することである。ピアニストはベートーヴェンの室内楽のピアノパートも演奏を要求されるばかりか、ベートーヴェンの作品以外の楽曲も演奏しなければならず大変である。本選を含めた総演奏時間はクライバーン国際ピアノコンクールを上回る計算になるが、抽選で何割かが削除されるため、実際の演奏時間はクライバーンよりは若干少なくなる。ヤマハカワイヤンツェ・リヴァーのピアノがなければ予算が成り立たない国際ピアノコンクールが多い中、ハンブルクスタインウェイ以外のピアノを一切認めない硬派のコンクールである。

課題曲が多すぎるためにプレセレクションでせっかく選出されているのに棄権する者が多く、2023年の第1次予選に集うピアニストの数は23人だった。後期のベートーヴェンのピアノソナタの演奏は第1次予選から必修である[注釈 1]

ウィーンで行われているコンクールとは異なり、ライブ演奏が別角度からスクリーンで投影[1]されるなど、外面性の強いピアノコンクールである。

2004年からAAFの助成を受け、2009年にはWFIMCに加盟したため知名度は大きく上昇した。かつては受賞者のライブ演奏を即日ディスク化していたようだが、現在はYoutube上のライブ配信に切り替わった。

なお、スタインウェイアーティスト以外のピアニストも、普通に参加は可能である。ベヒシュタイン社とのつながりが深いHans H. Suh[2]はこのコンクールを制している[3]

優勝者一覧[編集]

  • 2005Henri Sigfridsson
  • 2007Yung Wook Yoo
  • 2009Hinrich Alpers
  • 2011Jingge Yan
  • 2013Soo-Jung Ann
  • 2015Filippo Gorini
  • 2017Alberto Ferro
  • 2019Cunmo Yin
  • 2021Hans H. Suh
  • 2023Caleb Borick

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 後期のベートーヴェンのピアノソナタが第1次予選から弾けるWFIMC加盟国際ピアノコンクールは、2024年現在ではヴィオッティ国際とクライバーン国際くらいしか見当たらない。大抵は第2次予選に置かれることが多く日本音楽コンクール2024はその伝統を守っている。

出典[編集]

  1. ^ International Telekom Beethoven Competition (2024年3月28日). “Orchestra Final: Zhouhui Shen”. www.youtube.com. ITBCB 2023. 2024年5月30日閲覧。
  2. ^ Hans H. Suh”. www.bechstein.com. C.Bechstein. 2024年5月29日閲覧。
  3. ^ Hans H. Suh”. www.telekom-beethoven-competition.de. International Telekom Beethoven Competition. 2024年5月29日閲覧。

外部リンク[編集]