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テレネーム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

テレネームとはDDIポケット(後のウィルコム)向けのPHS端末の一部機種に搭載されていた発信者電話番号表示機能であり[1][2][3]、発信者の電話番号に加えて任意の文字メッセージを着信側端末に送ることができた[1][2][3]。しかし通話せずに文字メッセージだけを無料で送るという想定外の使い方が横行した[1][2][3]ため、このメッセージ機能は廃止された[3]

概要

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本来は着信者のPHS端末に発信者の電話番号と名前を表示させるための機能で[2]、電話番号だけでなく任意の文字列を機種により最大19文字送ることができた[1][2]。発信側と受信側の両方がテレネーム対応機種のPHS端末を使用していることが必要であった[2]

メッセージの送受信は、あくまで通話の便利のための付加的な機能であり、無料で提供されていた[2][3]。しかし通話状態となる前に発信者が電話を切ってしまえば、通話料金は発生せずに文字メッセージだけを無料で送ることができた[2][3]ため、この「裏技[2][3]による無料のメッセージ送信、通称「ただベル」[1][2](無料でポケットベルと同等のサービスを受けられることから[1])が主に若年層利用者の間で横行した[1][2][3]。当時のPHSには正規のメッセージ送信機能としてPメールが存在したものの、Pメールは1通10円[2]と高額であった。

テレネーム機能を持つPHS端末は1995年末から販売されていた[3][4][5]。「ただベル」による無料メッセージ送信が行われるようになったのは1998年の夏頃のことで[3]、ほどなくして日本全国に広まった[3]。通信量増加による大規模な回線のパンクがたびたび発生した[3]にもかかわらず通話料金収入はあまり増えなかった[3]ことから、DDIポケット側も調査に乗り出し、1998年末には事態を把握するに至った[3]。DDIポケットは対策として、1999年1月には文字メッセージ機能を端末新機種に搭載しないようにと端末メーカー各社に要請し[1]、同年7月には文字メッセージ機能の廃止に踏み切った[3]。これによりテレネームは発信者電話番号表示だけのサービスへと変更された[3]

1999年当時、PHS業界全体の加入台数は既に携帯電話に押されて減少傾向にあった[2]。その中でDDIポケットのPHS契約者数は1999年の1月期から5月期の間は横這いから微増で推移していた[6]ものの、1999年5月期から7月期の間に7万人以上減少した[6]

対応機種

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1999年6月の報道によれば、テレネーム対応機種は17機種[3]、台数にして日本全国で20万台[3]存在したという。

DDIポケット

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h “PHS端末メーカー、「タダベル」機能を削除 ―― DDIポケットの要望受け”. 日本経済新聞. (1999年1月9日朝刊) 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 「裏技の「ただベル」流行でPHS弱り目にたたり目」『サンデー毎日』78巻4号、通巻4304号、1999年1月31日、35頁。 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r “通話前の文字表示サービス 「無銭通話」横行 テレメール〔ママ〕やめます 来月からDDIのPHS 全国で回線パンク…悲鳴”. 東京新聞: p. 10. (1999年6月25日朝刊) 
  4. ^ a b “カシオ計算機、相⼿の名前を表⽰するPHS電話機を発売”. 化学工業日報. (1995年11月27日) 
  5. ^ a b “頑張るPHS市場に薄日、基地局を増強 ―― 通話状況改善進む”. 日経産業新聞: p. 29. (1995年11月30日) 
  6. ^ a b 加入者情報: 1999年”. DDIポケット株式会社. 2004年12月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年5月14日閲覧。
  7. ^ PH-350”. DDIポケット株式会社. 1999年4月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年5月29日閲覧。
  8. ^ PH-500”. DDIポケット株式会社. 1999年4月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年5月29日閲覧。
  9. ^ PH-450”. DDIポケット株式会社. 1999年4月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年5月29日閲覧。