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デマ (超自然的存在)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

デマはニューギニア南部、マリンド・アニム族英語版の神話における超自然的存在としての、人間の祖先もしくは精霊を指す[1]デーマとも[2]

部分集団としての氏族はそれぞれ固有のデマの伝承と儀式を持つ[2][3]。ゲブという名のデマが犯され、その頭からバナナが発生する伝承、ヤウィという名のデマが殺され(儀礼的殺害)、その死体からココヤシが発生する伝承などがあり[4]、これらの伝承を再現する一連の儀式がある[5]

デマは人間の起源ともされる。伝承では、デマたちは地上を鏡に写したような地下の世界に住んでいた。ある時、地上の犬が穴を掘ると、そこを通ってデマたちが何人か地上に出て来て、やがて人間の祖先となった[6]

デマ神

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民族学者アドルフ・イェンゼンは1951年の著書『未開民族における神話と祭儀』でマリンド・アニム族の伝承をヒントに、初期栽培民の「デマ神」を論じた[7]。イェンゼンは、自ら死んで人間に作物を与える神の類型を「デマ神」(ドイツ語: Dema-Gottheit)と呼ぶことを提唱し[1]、この構造を持つ神話をハイヌウェレ型神話と呼んだ[8]。イェンゼンはマリンド・アニム族のヤウィの他、南アメリカのウィトト族英語版のモマやフシアニムイポーランド語版などを例として挙げた[9]

出典

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  1. ^ a b 白水社『神の文化史事典』「デマ」の項目
  2. ^ a b 『図説世界神話大系 第2』, 182-183ページ
  3. ^ アルノルト・ゲーレン『原始人と現代文明』、295-299ページ
  4. ^ AD.E.イェンゼン『殺された女神』、27-30ページ
  5. ^ 吉田敦彦『縄文土偶の神話学』、61-63ページ
  6. ^ 大林太良『世界の神話 万物の起源を読む』「31 地下から出た祖先たち」
  7. ^ 弘文堂『文化人類学事典』「イェンゼン」の項目
  8. ^ 東京大学出版会『宗教学辞典』「神話学」の項目
  9. ^ 西村朝日太郎『人類学的文化像 貫削木と聖庇の基礎的研究』第九章 原始文化体の主徴(二) 特に宗教形態について

関連項目

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