デンタルバッテリー構造
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デンタルバッテリー(英: dental battery)とは、小さな歯が何層にも重なっておろし器のような形状をしたもの。絶滅した植物食恐竜の一部に見られる特徴で、最前列の歯が摩耗すると後列に控えていた歯が順次置き換わってゆく構造になっている[1]。トゥースバッテリー(英: tooth battery)ともいう[2]。
デンタルバッテリー構造では、微小な歯が水平方向および上下方向に密集して巨大な1枚の歯のような構造をなす[3][4]。この歯の咬合面は広く平らな形状をなす[5]。植物の摂食により歯が摩耗すると、歯根部に控えていた新しい歯が補充され、生え変わることで咬合面を維持するのである[5][4]。
これは大量の植物を咀嚼するのに適した形質であり[5]、この構造を持つハドロサウルス科の恐竜は特に発達した咀嚼能力を有していた[3]。これは、植物を咀嚼せずにそのまま飲み込んで消化管で発酵させていたと推測される竜脚類と対照的な消化プロセスである[5]。構造や咀嚼様式が異なるものの、ケラトプス科の角竜類もデンタルバッテリーを持つ[6]。
この構造を持つ恐竜は歯の本数が膨大なものとなる。ハドロサウルス科の恐竜の歯は数百本から数千本におよぶことが知られている[4]。
出典
[編集]- ^ 小学館『デジタル大辞泉』. “デンタルバッテリー”. コトバンク. 2021年5月26日閲覧。
- ^ 小学館『デジタル大辞泉』. “トゥースバッテリー”. コトバンク. 2021年5月26日閲覧。
- ^ a b 『カラー版徹底図解 恐竜の世界 恐竜発掘の歴史から、恐竜研究の最前線まで』新星出版社、2010年7月1日、82-83頁。ISBN 978-4-405-10692-5。
- ^ a b c “歯の数が一番多い恐竜は?一番少ない恐竜は?”. 福井県立恐竜博物館. 2021年9月9日閲覧。
- ^ a b c d マーク・A・ノレル『アメリカ自然史博物館 恐竜大図鑑』田中康平(監訳)、久保美代子(訳)、化学同人、2020年12月10日、212-215頁。ISBN 978-4-7598-2051-5。
- ^ 石川弘樹 著「Ceratopsidae」、坂田智佐子 編『恐竜博2023 THE DINOSAUR EXPO 2023』真鍋真 監修、NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社、2023年、99頁。