デ・ハビランド ジャイロン・ジュニア
デ・ハビランド ジャイロン・ジュニア
デ・ハビランド航空博物館(de Havilland Aircraft Heritage Centreに展示されているジャイロン・ジュニア
- 分類:ターボジェットエンジン
- 設計者:Frank Halford
- 製造者:デ・ハビランド
- 運用者:イギリス空軍
- 生産数:89
デ・ハビランド ジャイロン・ジュニア(de Havilland Gyron Junior)は1950年代にデ・ハビランド社が開発した軍用ターボジェットエンジンで、後にはブリストル・シドレーで製造された。ジャイロン・ジュニアはデ・ハビランド ジャイロンの縮小版である。
設計及び開発
[編集]ジャイロンよりは多少多く生産されたに過ぎないが、海軍の双発攻撃機であるブラックバーン バッカニア S.1用のエンジンとして量産された。しかしながら、成功したとは言い難く、アンダーパワーを指摘され、バッカニア S.2ではより強力なロールス・ロイス スペイが採用された。
アフターバーナー付きのジャイロン・ジュニアはまた、マッハ2級の双発超音速実験機であるブリストル 188にも採用された。ロールス・ロイス エイヴォンも考慮されたが、実際にはジャイロン・ジュニアのみが使用された。計画は失敗とは言えないものの満足すべきものではなく、予定した高速高温試験を実施することなく、早期に中止された。問題はジャイロン・ジュニアの燃料消費量であった。マッハ2に到達することは出来たものの、燃料消費率が悪すぎて長時間の飛行が出来ず、予定していた超音速機における長期サーマル・ソーキングの試験は実施できなかった。しかし、ジャイロン・ジュニアのために公正を期すならば、同時期の他のエンジンを用いた場合でも、より良好な結果を出せたかは不明である。
- ジャイロン・ジュニア DGJ.1(P.S.43):ブラックバーン バッカニア S.1
- ジャイロン・ジュニア DGJ.10R (P.S.50)、アフターバーナー付き推力14,000 lb s.t. (62.3 kN):Bristol 188
使用機種
[編集]- ブラックバーン バッカニア S.1
- 40機製造[2]
- 2機製造
- 試験のみ。FAW Mk.1改良[3]
- 採用予定。製造されず
展示
[編集]ジャイロン・ジュニアは現在、デ・ハビランド航空博物館(de Havilland Aircraft Heritage Centre)に展示されている。
仕様(Gyron Junior DGJ.1)
[編集]仕様諸元
- 形式: ターボジェット
- 全長: 102.9 in (2.61 m)
- 直径: 41.1 in (1.04 m)
コンポーネント
- 圧縮機: 7段軸流
- 燃焼器:分割タイプ13基
- タービン: 2段
性能
- 推力: 7,100 lb s. t. (31.6 kN)
- 総圧縮比: 6.4:1
- タービン入り口部温度: 1,200 oC
関連項目
[編集]参考資料
[編集]脚注
[編集]- ^ Gunston, Bill (1989). World Encyclopaedia of Aero Engines. Wellingborough: Patrick Stephens. pp. 52. ISBN 1-85260-163-9
- ^ Jackson, A.J. (1968). Blackburn Aircraft since 1909. London: Putnam Publishing. pp. 494. ISBN 0 370 00053 6
- ^ James, Derek N. (1971). Gloster Aircraft since 1917. London: Putnam Publishing. pp. 322, 326, 370. ISBN 0 370 00084 6