コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

デ・ハビランド ジャイロン・ジュニア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

デ・ハビランド ジャイロン・ジュニア

デ・ハビランド航空博物館(de Havilland Aircraft Heritage Centreに展示されているジャイロン・ジュニア

デ・ハビランド航空博物館(de Havilland Aircraft Heritage Centreに展示されているジャイロン・ジュニア

デ・ハビランド ジャイロン・ジュニア(de Havilland Gyron Junior)は1950年代にデ・ハビランド社が開発した軍用ターボジェットエンジンで、後にはブリストル・シドレーで製造された。ジャイロン・ジュニアはデ・ハビランド ジャイロンの縮小版である。

設計及び開発

[編集]

ジャイロンよりは多少多く生産されたに過ぎないが、海軍の双発攻撃機であるブラックバーン バッカニア S.1用のエンジンとして量産された。しかしながら、成功したとは言い難く、アンダーパワーを指摘され、バッカニア S.2ではより強力なロールス・ロイス スペイが採用された。

アフターバーナー付きのジャイロン・ジュニアはまた、マッハ2級の双発超音速実験機であるブリストル 188にも採用された。ロールス・ロイス エイヴォンも考慮されたが、実際にはジャイロン・ジュニアのみが使用された。計画は失敗とは言えないものの満足すべきものではなく、予定した高速高温試験を実施することなく、早期に中止された。問題はジャイロン・ジュニアの燃料消費量であった。マッハ2に到達することは出来たものの、燃料消費率が悪すぎて長時間の飛行が出来ず、予定していた超音速機における長期サーマル・ソーキングの試験は実施できなかった。しかし、ジャイロン・ジュニアのために公正を期すならば、同時期の他のエンジンを用いた場合でも、より良好な結果を出せたかは不明である。

バリエーション[1]

[編集]
  • ジャイロン・ジュニア DGJ.1(P.S.43):ブラックバーン バッカニア S.1
  • ジャイロン・ジュニア DGJ.10R (P.S.50)、アフターバーナー付き推力14,000 lb s.t. (62.3 kN):Bristol 188

使用機種

[編集]
  • ブラックバーン バッカニア S.1
40機製造[2]
2機製造
試験のみ。FAW Mk.1改良[3]
採用予定。製造されず

展示

[編集]

ジャイロン・ジュニアは現在、デ・ハビランド航空博物館(de Havilland Aircraft Heritage Centre)に展示されている。

仕様(Gyron Junior DGJ.1)

[編集]

仕様諸元

コンポーネント

  • 圧縮機: 7段軸流
  • 燃焼器:分割タイプ13基
  • タービン: 2段

性能

  • 推力: 7,100 lb s. t. (31.6 kN)
  • 総圧縮比: 6.4:1
  • タービン入り口部温度: 1,200 oC

関連項目

[編集]

参考資料

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ Gunston, Bill (1989). World Encyclopaedia of Aero Engines. Wellingborough: Patrick Stephens. pp. 52. ISBN 1-85260-163-9 
  2. ^ Jackson, A.J. (1968). Blackburn Aircraft since 1909. London: Putnam Publishing. pp. 494. ISBN 0 370 00053 6 
  3. ^ James, Derek N. (1971). Gloster Aircraft since 1917. London: Putnam Publishing. pp. 322, 326, 370. ISBN 0 370 00084 6