トゲハムシ亜科
トゲハムシ亜科 Hispinae | ||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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属 | ||||||||||||||||||||||||
トゲハムシ亜科(トゲハムシあか、Subfamilia Hispinae)とは、コウチュウ目(鞘翅目)ハムシ科の亜科である。日本国内では棘(とげ)を具える種が多いことからこの和名があるが、棘の無いトゲハムシ(トゲナシトゲハムシ)も含まれている。
かつては和名としてトゲトゲを使用したが、トゲハムシという別名に置き換えていることもある。下記の和名のトゲハムシをトゲトゲに置き換えるのが古い表記ということになるが(カタビロトゲハムシ:カタビロトゲトゲ)、2000年代以降に出版された図鑑でも「〜トゲトゲ」で掲載していることもある。
なお、かつてカメノコハムシ亜科とされたものは、現在ではほとんどがここに含まれる。
トゲハムシとカメノコハムシの仲間には頭頂部が前方に強く突出し、口が頭頂部の下面に位置するという特徴がある。
日本産
[編集]国内には下記の9属14種が生息する[1]。
- オキナワホソヒラタハムシ Agonita omoro
- ヨナグニトゲハムシ Asamangulia yonakuni
- ナガヒラタハムシ Brontispa longissima(キムネクロナガハムシ)[注 1]
- ヒメキベリトゲハムシ Dactylispa angulosa (Solsky, 1871)
- ヒゴトゲハムシ Dactylispa higoniae
- イッシキトゲハムシ Dactylispa issikii(文献によってはタケトゲトゲと表記[3])
- キベリトゲハムシ Dactylispa masonii Gestro, 1923
- カタビロトゲハムシ Dactylispa subquadrata (Baly, 1874)
- イネトゲハムシ Dicladispa armigera
- クロトゲハムシ Hispellinus moerens (Baly, 1874)
- ミヤモトホソヒラタハムシ Leptispa miyamotoi
- タグチホソヒラタハムシ Leptispa taguchii
- ツシマヘリビロトゲハムシ Platypria melli
- クロルリトゲハムシ Rhadinosa nigrocyanea (Motschulsky, 1861)
トゲナシトゲトゲ
[編集]トゲハムシ亜科に属するハムシにも成虫に棘のない種があり、トゲナシトゲトゲ(トゲナシトゲハムシ)という和名で呼ばれる。しかし、形容矛盾であるとして「ホソヒラタハムシ」という和名も使われている。国内のトゲハムシ類14種のうち4種がこの種である[4]。具体的にはミヤモトホソヒラタハムシ、タグチホソヒラタハムシ、オキナワホソヒラタハムシ、ナガヒラタハムシ(キムネクロナガハムシ)の4種であり[5]、和名が「ホソヒラタハムシ」でないものも含まれる。
これらは棘が無いために外見の印象は異なるが、トゲハムシ亜科の重要な特徴は備えている。
トゲアリトゲナシトゲトゲ
[編集]トゲナシトゲトゲの仲間にもトゲのある種があり、複数の文献でトゲアリトゲナシトゲトゲ(トゲアリトゲナシトゲハムシ)という呼び方で紹介している。その外見は普通のトゲハムシとは異なるものである。具体例が紹介されているのは池田清彦の著書『不思議な生き物─生命38億年の歴史と謎』で[6]、かつてタイで小宮義璋がトゲのあるトゲナシトゲトゲを発見したエピソードのほか、具体的な種名と写真も掲載している[注 2]。別の文献[7]には、東南アジア産種の中にトゲ状の突起を有するように進化したホソヒラタハムシ(トゲナシトゲトゲ)が見られ、それらを日本の愛好者が当時の和名にちなんで、かつてこのように呼んでいたことが記されている。トゲアリトゲナシトゲトゲという和名は2007年の時点では存在せず[4]、国内産のトゲハムシに該当するものはない。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 木元 & 滝沢 (1994).
- ^ 木元 & 滝沢 (1997).
- ^ 森本 (2007).
- ^ a b 鈴木邦雄 20070508.
- ^ 尾園 (2014), p. 89.
- ^ 池田 (2013).
- ^ 青木ほか (2002).
参考文献
[編集]- 青木淳一(編著)、奥谷喬司(編著)、松浦啓一(編著)『虫の名、貝の名、魚の名─和名にまつわる話題』東海大学出版会、2002年11月27日。ISBN 4-486-01592-4、ISBN 978-4-486-01592-5、OCLC 52896192。
- 池田清彦『不思議な生き物─生命38億年の歴史と謎』角川学芸出版、2013年4月25日。ISBN 4-04-653275-0、ISBN 978-4-04-653275-6、OCLC 848053844。
- 尾園暁『ハムシ ハンドブック』文一総合出版、2014年8月11日。ISBN 4-8299-8122-9、ISBN 978-4-8299-8122-1、OCLC 886279177。
- 木元新作、滝沢春雄『日本産ハムシ類 幼虫・成虫分類図説』東海大学出版会、1994年7月1日。ISBN 4-486-01287-9、ISBN 978-4-486-01287-0、OCLC 35298064。
- 木元新作、滝沢春雄『台湾産ハムシ類 幼虫・成虫分類図説』東海大学出版会、1997年7月1日。ISBN 4-486-01401-4、ISBN 978-4-486-01401-0、OCLC 42900286。
- 黒沢良彦(解説)、渡辺泰明(解説)、栗林慧(写真)『甲虫』山と溪谷社〈新装版 山渓フィールドブックス 6〉、2006年5月24日。ISBN 4-635-06063-2、ISBN 978-4-635-06063-9、OCLC 169949124。
- 森本桂 監修 編『新訂 原色昆虫大図鑑 第2巻(甲虫 篇)』北隆館〈原色昆虫大図鑑〉、2007年5月1日。ISBN 978-4-8326-0826-9、OCLC 924824501。
外部リンク
[編集]- 回答者: 鈴木邦雄(富山大学理学部) (2007年05月08日掲載). “トゲアリトゲナシトゲハムシって?”. むしコラ. 一般社団法人 日本応用動物昆虫学会. 2021年3月15日閲覧。
- 平野幸彦: “神奈川県産甲虫類目録”. j4d64. 西川正明 (1998年11月29日). 2021年3月15日閲覧。
- “マメゾウムシ科・ハムシ科”. 東京都本土部昆虫目録作成プロジェクト (TKM) [1] (2016年8月29日更新). 2021年3月15日閲覧。
- “ハムシ科 < 東京都本土部昆虫目録”. 東京都本土部昆虫目録作成プロジェクト (TKM) (2003年10月). 2004年11月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月15日閲覧。