ドクターストップ
ドクターストップとは、医師が患者に対して、病状の悪化、死亡や後遺障害を防ぐために、なんらかの行動を禁止することをいう。
概要
[編集]和製英語であり、英語では「医者の(止めるように言われた)指示」を意味する doctor's orders (to stop) と明確に言う[1]。 この言葉はボクシングの試合で使用され、負傷選手の試合続行不能を医師が判断する[2]。 スポーツ選手などで、それ以上競技を続けたら、生命に危険が及ぶ場合などに出されることが多い。その際には試合中止や試合出場停止を諫言する。
転じて健康面では飲酒や喫煙の中止勧告がなされる[2]。眼科医の場合、オンラインゲームをやめるよう警告する場合もある。
障害者の場合、障害および障害に伴う疾患の悪化を防ぐ目的で、労働を含めた行動の禁止を指導することがある。ミュージシャンのレディー・ガガは、2013年にコンサートツアー中の怪我により車椅子生活を送り、担当医から休養するようにドクターストップがかかった[3]。
アリアナ・グランデは「お医者様から今夜のショーへのOKが出なかったわ」と告知し、ドクターストップにより2017年のベトナム公演を中止せざるを得なかった[4]。
2020年の日本においては、第4次安倍内閣の内閣総理大臣安倍晋三が、持病の潰瘍性大腸炎が悪化し、内閣総理大臣辞任に至ったケースを日本のジャーナリズムが「ドクターストップ」と報じることがあった[5]。2007年の総理大臣辞任の際には、安倍晋三から持病に関する言及はなく、辞任の翌日に入院、翌々日に病院内の記者会見で体調悪化に言及しただけで、ドクターストップが示唆されるにとどまった[6]。
この用語と同じく「ホームドクター(home doctor)」は、かかりつけ医のことをいう和製英語であり、英語では "family doctor" と言う[7]。また、スポーツチーム専属の医師「チームドクター(team doctor)」、ドクターヘリ搭乗の医師「フライトドクター(flight doctor)」なども和製英語である。しかしスポーツ医のことを言う「スポーツドクター(sports doctor)」は和製英語ではなく、英語でも "sports doctor" と表現する。
脚注
[編集]- ^ “【要注意!英語?表現】「ドクターストップ」は要注意の和製英語?表現”. weblio英会話コラム. (2015年12月12日)
- ^ a b 『大辞泉』
- ^ “レディー・ガガ、ドクターストップで車椅子生活”. BARKS. (2013年3月24日)
- ^ “アリアナ・グランデ、ドクター・ストップでベトナム公演をキャンセル。 SNSに謝罪文を投稿”. ロッキング・オン. (2017年8月24日)
- ^ 富家孝 (2020年9月30日). “安倍晋三前首相「病気退任」決断に納得 ストレスと無縁だった細川護煕氏”. iza
- ^ 生田綾 (2020年8月28日). “第一次安倍内閣、どう「終わった」か覚えてる? 突然の辞任表明、当時を振り返る”. ハフポスト
- ^ “ワーク&ライフ【連載】Japanglish、正しく言うならこうでしょう(15) doctor stop(ドクターストップ)”. マイナビニュース. (2012年4月15日)
関連項目
[編集]- 休職
- スポーツ障害
- テクニカルノックアウト
- レフェリーストップ