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ナイロビの蜂

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナイロビの蜂
The Constant Gardener
著者 ジョン・ル・カレ
訳者 加賀山卓朗
発行日 イギリスの旗 2001年1月4日[1]
日本の旗 2003年12月16日
発行元 イギリスの旗 Hodder & Stoughton
日本の旗 集英社
ジャンル スリラー小説
イギリスの旗 イギリス
言語 英語
形態 ハードカバー
ページ数 557
前作 シングル&シングル (1999年)
次作 サラマンダーは炎のなかに (2003年)
コード ISBN 0-340-73337-3
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ナイロビの蜂』(The Constant Gardener)は、イギリスの作家、ジョン・ル・カレが2001年に発表した小説。および小説を原作とする2005年公開の映画。

概要

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執筆の年からさかのぼる20年前、ル・カレがバーゼルのビヤホールにいたとき、黒いひげにベレー帽の男が両開きのドアから自転車ごと入ってきてテーブルのそばに自転車を置いて座った。男は化学者で、対人毒物の研究に参加することを拒絶して今は無政府主義者だと話し始めた。その人物はライン川上流の河岸にひしめく「マルチ」と呼ばれる多国籍製薬会社の悪行をル・カレの脳裏に焼き付けた。ル・カレはいつの日かこの男と「マルチ」のことを書こうと思い、ひげやベレー帽や自転車は捨てても、男の怒りだけは将来のためにとっておこうと思ったという[2]

ル・カレは小説の舞台をアフリカにすることを考えた。まず、国際石油企業に略奪され、汚染されたナイジェリアを舞台にすることを考えたが、どうも平凡に思えた。そんなとき、赴任先のほとんどがアフリカだった元MI6のテッド・ユーニーが製薬業界はどうかと提案した。ル・カレはケニアを取材。そして調査すればするほど、アフリカにおける製薬会社の無法ぶりに憤りを覚えたという[2]

本作品は「イヴェット・ピエルパオリに捧げる」との献辞がある。慈善活動家のピエルパオリはル・カレの古い友人で、登場人物のテッサ・クエイルのモデルとされている。「アフリカの貧しい人々、とくに女性への献身、慣習への軽蔑、断固己の道を行く異常なまでの信念は、かなり意識的にイヴェットに倣った」と彼は述べている[3]

2001年1月に刊行され、イギリスでベストセラー1位になり、13週連続でトップテン入りした。アメリカでは『ニューヨーク・タイムズ』のベストセラーリストの4位になった。フランスでもベストセラー1位に輝いた。ドイツでは最初の週だけで5万部を売った[4]

日本語訳

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映画

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ナイロビの蜂
The Constant Gardener
監督 フェルナンド・メイレレス
脚本 ジェフリー・ケイン
原作 ジョン・ル・カレ
製作 サイモン・チャニング・ウィリアムス
出演者 レイフ・ファインズ
レイチェル・ワイズ
ダニー・ヒューストン
ユベール・クンデ
ピート・ポスルスウェイト
ビル・ナイ
音楽 アルベルト・イグレシアス
撮影 セザール・シャローン
編集 クレア・シンプソン
配給 アメリカ合衆国の旗 フォーカス・フィーチャーズ
日本の旗 ギャガ
公開 アメリカ合衆国の旗 2005年8月31日
日本の旗 2006年5月13日
上映時間 128分
製作国 イギリスの旗 イギリス
ドイツの旗 ドイツ
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
中華人民共和国の旗 中国
言語 英語
イタリア語
スワヒリ語
ドイツ語
製作費 $25,000,000
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2005年公開。ブラジル人監督フェルナンド・メイレレスジョン・ル・カレの同名小説を映画化した。

レイチェル・ワイズが2005年のアカデミー助演女優賞ゴールデングローブ賞の助演女優賞を受賞。

あらすじ

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ケニアナイロビに駐在しているイギリス人外交官のジャスティン・クエイルはある日、製薬会社の不正を暴く活動をしていた妻テッサを殺害される。妻の死の意味を探るうちに、彼は、妻が追っていた事件が、イギリスの製薬会社による非人道的な人体実験であることを知ることとなる。死後もなお絶えることのない妻への深い愛ゆえに、彼が選んだ道とは…

キャスト

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※括弧内は日本語吹替

脚注

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  1. ^ The Constant Gardener by John le Carré - Goodreads
  2. ^ a b アダム・シズマン 著、加賀山卓朗、鈴木和博 訳『ジョン・ル・カレ伝 <下>』早川書房、2018年5月25日、314-318頁。 
  3. ^ 『ジョン・ル・カレ伝 <下>』 前掲書、319頁。
  4. ^ 『ジョン・ル・カレ伝 <下>』 前掲書、321-324頁。

外部リンク

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