ナガニシ
ナガニシ | |||||||||||||||||||||||||||
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ナガニシ Fusinus perplexus
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Fusinus perplexus A. Adams, 1864 | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
ナガニシ(長螺) | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Spindle snail
(中名) 长旋螺 (拼音: ) |
ナガニシ(長螺; 学名Fusinus perplexus)は、イトマキボラ科に属する巻貝の一種で、潮間帯下の砂泥底に生息し、水管溝が伸びた紡錘形の長い貝殻をもつ[2][3][4]。
外観
[編集]殻は中型ないし大型で殻高約13cmに達する。螺層はふくれ、縦肋は高い角状の個体からきわめて低い個体まであり、形態変異が多い。殻は黄褐色をおびた白色で、やや不規則な螺肋が密にはしり、上方では縦肋間が褐色にいろどられる。ビロード状の殻皮におおわれる。殻口内は白く、内壁の螺状のひだは強く、水管溝は長い。蓋は角質で軟体は赤色[3][5]。
生態
[編集]他の軟体動物や死肉を食べる[6]。有性生殖をおこない、グンバイホオズキまたはサカサホオズキと呼ばれる卵嚢を産む[7]。一つの卵嚢に約250個の卵が産みつけられるが、稚貝になるのは20個体程度で、他は栄養卵となる[8]。種の分布域が狭く、生息域による種内変異が認められることから、卵黄食性の直達発生型と考えられる。原殻の螺層が3層以上認められる点について、エゾバイ科の種と同様に卵嚢内での栄養卵の獲得競争を経て巻き数を増やしたのち孵化していると考えられる[9]。
分布
[編集]北海道南部から九州、朝鮮半島。水深約10-100mの砂泥底に生息する。日本海やその他の内海から得られた標本は、太平洋沿岸のものに比べ濃色となる傾向にある。本種よりも小型で橙褐色のコナガニシ Fusinus ferrugineus (Kuroda & Habe, 1960) は陸奥湾から九州の日本海側に分布する[3][5]。
化石
[編集]渥美半島など日本各地の更新世の地層で発見されている[10]。
人との関わり
[編集]江戸時代から長辛螺(ながにし)として知られ、ヨナキ(夜泣き)とも呼ばれる[11]。卵嚢はグンバイホオズキ[要曖昧さ回避]と呼ばれ、江戸から昭和にかけては玩具とされていた。軟体部の外観はグロテスクだが、刺身で食べると美味[12]。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ “Fusinus perplexsus”. WoRMS. 2024年6月16日閲覧。
- ^ 波部 & 小菅 1967, pp. 32, 81.
- ^ a b c 奥谷 2004, pp. 162–163.
- ^ 佐々木 2010, pp. 83, 156.
- ^ a b 華路門 & スナイダ 2019, pp. 8–17, 103–106.
- ^ 奥谷 2004, pp. 23, 160.
- ^ 「ナガニシ」 。コトバンクより2024年6月16日閲覧。
- ^ 奥谷 & 菊池 1997, p. 197.
- ^ 華路門 & スナイダ 2019, p. 100.
- ^ 川瀬ら 2015, p. 91.
- ^ 武蔵 1843, 十六 長辛螺.
- ^ “ナガニシ”. 市場魚貝類図鑑. 藤原昌髙. 2024年6月16日閲覧。
参考文献
[編集]- 武蔵石壽 著、服部雪斎 画『目八譜』 第六巻、1843年。NDLJP:1287301。
- 波部忠重、小菅貞男『貝』保育社〈標準原色図鑑全集 ; 第3巻〉、1967年。ISBN 4586320036。 NCID BN04374609。国立国会図書館サーチ:R100000001-I10111101533407。
- 奥谷喬司 編著、菊池泰二『貝のミラクル』東海大学出版会、1997年。ISBN 4-486-01413-8。全国書誌番号:98059996、国立国会図書館書誌ID:000002649604。
- 奥谷喬司 ほか『貝類』(改訂新版)世界文化社〈世界文化生物大図鑑〉、2004年、162-163頁。ISBN 4418049045。全国書誌番号:20617488。「「生物大図鑑・貝類」 (1986年刊) の改訂新版」
- 佐々木猛智『貝類学』東京大学出版会、2010年。ISBN 9784130601900。 NCID BB02985028。全国書誌番号:21846371、国立国会図書館書誌ID:000010979473。
- 華路門ポール; M. A. スナイダ; 狩野泰則; 長谷川和範; 高野剛史; 清麻桐 (2019). The Genus Fusinus in the Northwestern Pacific『北太平洋産ナガニシ属貝類』. 日本貝類学会. 国立国会図書館書誌ID:029489214
- 鵜飼修司・川瀬基弘ら. “中部更新統渥美層群の軟体動物化石 G160” (PDF). 瑞浪市化石博物館. 2024年6月16日閲覧。