ナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン
種類 | aktiebolaget |
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本社所在地 |
スウェーデン トロルヘッタン Åkerssjövägen 10 461 80 Trollhättan |
設立 | 2012年 |
業種 | 輸送用機器 |
事業内容 | 電気自動車製造 |
主要株主 | ナショナル・モダンエナジー・ホールディングス |
外部リンク | 公式ウェブサイト |
ナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン (National Electric Vehicle Sweden AB ) はスウェーデンの自動車メーカー。
概説
[編集]香港の環境エネルギー開発会社「ナショナル・モダンエナジー・ホールディングス」と日本の投資会社「サン・インベストメント」がそれぞれ51%・49%出資し、ナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン(NEVS)が発足。経営破綻したサーブ・オートモービルの資産を2012年6月13日に買収した[1][2]。この買収には部品子会社やサーブ・9-5モデルの所有権は含まれない。買収後、NEVSは今後サーブ・9-3をベースとした電気自動車を市販し、サーブをEVメーカーに転身させる計画を明らかにした[3]。
2013年12月、スウェーデンのトロルヘッタン工場において、ガソリン車のサーブ9-3の生産を2年ぶりに再開。EV市販までの間サーブブランドを継続させるための措置としていたが、2014年5月20日、NEVSは再び生産と停止したと明らかにした[4]。2014年8月20日、トロルヘッタン工場において、サーブ『9-3 EV』のプロトタイプを初公開した[5]が、8月28日にスウェーデンの裁判所に破産法の適応を申請した[6]。これにより、スウェーデンの裁判所は債権者の保護のために以後生産される車両にサーブのブランド名の使用を禁止する決定を下した[7]。NEVSの再建を巡ってはインドのマヒンドラ&マヒンドラが株の購入を打診したが物別れに終わった[8]。
2015年5月、NEVSは中国企業2社との戦略的提携を発表し、6月には2社からの出資を受け天津で新工場の着工を開始した[9]。天津では電気自動車製造の合弁会社を設立。2016年1月には中国の新興リース会社、パンダ・ニュー・エナジーにEVを15万台供給することで合意した[10]。同年6月21日、2017年度よりブランド名を社名と同じNEVSに変更し、サーブを使用しないことを発表した[11]。 これはサーブのブランド名を保有する親会社の意向を反映したとされる[12]。
2017年1月25日、中国政府からEVの生産許可を取得したと発表[13]。5月31日にNEVSは『9-3 EV』を発表した[14]。2017年12月5日に中国天津工場から、NEVS『9-3 EV』の量産第一号車がラインオフした[15]。
2019年1月に中国の恒大集団傘下の恒大健康産業集団(2020年9月に恒大汽車に社名変更)がNEVSの51%の株式を取得した[16][17]。同年4月にはドイツのソノ・モーターズが2020年後半より、休眠状態にあるNEVSのトロルヘッタン工場で、太陽光発電で電力を補う電気自動車(SEV)の受託生産を開始すると発表[18]。しかしその後恒大集団の経営危機により2021年秋にNEVSはトロルヘッタン工場の職員670人のうち半分近い300人を解雇[19]。同年10月に恒大汽車はNEVSの売却を試みた[20]が、買い手は見つからなかった。また、NEVSでのSEVの受託生産は実現せず、その後ソノ・モーターズは2022年4月にフィンランドのヴァルメト・オートモーティブとの間で受託生産に合意した[21]。
天津工場は恒大汽車に引き継がれ[22]、2021年10月に恒大汽車初の自社開発車であるSUVの「恒馳5」がラインオフ。2022年9月に量産が開始された[23]。
2023年2月23日、NEVSは倒産を避けるため、会社の休眠計画を実行に移すと発表。全社員の9割以上にあたる320人を6カ月以内に解雇する予定とした[24]。4月にはNEVSが開発した電気GTの「Emily」が公開された。同車は約350人の旧サーブのエンジニアにより2019年12月から10ヶ月間で開発され、6台が生産された。NEVSが同車を公開した背景には買収先を引きつけたい狙いがあるとされる[25]。
2023年8月、NEVSはEmilyを元サーブの工場であるスウェーデン・トロルヘッタン工場で生産するために、スイスに関わりがあるとされる秘密の買い手との交渉が進行していると報じられた。[26]
車種
[編集]SAAB 9-3
ほとんどの仕様は従来のサーブ・9-3と同じであるが、NEVSがSAABのロゴとグリフィンのエンブレムの使用を許可されなかったため、従来の物とは異なるロゴとエンブレムを使用している[27]。他にも、ブレーキやインジェクターなどがGM製ではないものに変更されているなどの細かな違いがある。[28]
SAAB 9-3 Turbo edition
2014年に開発されたサーブのターボ40周年記念車。2014年から2015年に販売予定だったが、販売は行われなかった。サーブ99やサーブフェニックスをオマージュしたデザインが特徴。2017年に1台がサーブミュージアムに贈られた。[29][30]
NEVS 9-3 EV
サーブ・9-3の後継車となる電気自動車。1回の充電で、最大300kmを走行可能とされ、スマートフォンアプリを使ったデジタルキーや、スマートフォンによる車両制御など、最新のコネクティビティが搭載される[14]。
Sango
ライドシェア用自動運転車のテストカー。6人乗り。AutoXがソフトウェアを提供している。[31][32]
Emily GT
NEVSの元サーブエンジニアによって開発された電気自動車。合計で480馬力を発生するインホイールモーターと175kWhのバッテリーを搭載し、0-100km/h加速は3.2秒[33]、航続距離は600マイル(約960km)とされている。[34]
Emily GTO
Emily GTのコンバーチブルバージョン。[35]
脚注
[編集]- ^ “経営破綻した「サーブ」を日中企業連合のEV会社が買収”. 不景気.com. (2012年6月14日)
- ^ “日中の企業連合がサーブ買収、当面は中国市場に注力し電気自動車生産へ”. ロイター. (2012年6月14日)
- ^ “新生サーブ、EVメーカーに転身へ…買収企業が公表”. Response. (2012年6月15日) 2023年3月22日閲覧。
- ^ “サーブ、再び生産停止…9-3 の生産再開から半年”. Response. (2014年5月21日) 2023年3月22日閲覧。
- ^ “資金問題で渦中のサーブ、9-3 のEV仕様を初公開”. Response. (2014年8月22日)
- ^ “新生 サーブ の親会社、NEVS 社…破産を申請”. レスポンス. (2014年8月29日)
- ^ “Saab carmaker NEVS granted creditor protection by court but loses right to use Saab name” (英語). Automotive News Europe. (2014年8月29日)
- ^ “Mahindra nears deal to buy Saab maker, report says” (英語). Automotive News Europe. (2014年12月11日)
- ^ “サーブ の親会社、NEVS…中国でEV工場を起工”. Response. (2015年7月1日) 2023年3月22日閲覧。
- ^ “「サーブ」買収のNevs、中国でEV相次ぎ受注”. 日本経済新聞. (2016年1月5日) 2023年3月22日閲覧。
- ^ “「サーブ」70年の歴史に幕 承継企業、ブランド使わず”. 日本経済新聞電子版. (2016年6月22日)
- ^ “Saab name won't be revived under Chinese owners” (英語). Automotive News Europe. (2016年1月30日)
- ^ “旧サーブのNEVSが中国でEVの生産許可を取得。天津工場でEVを生産へ”. clicccar. (2017年1月31日) 2023年3月22日閲覧。
- ^ a b “サーブ 9-3 がEVで復活…最新コネクト搭載”. Response. (2017年6月1日)
- ^ “サーブ 9-3 がEVで復活…量産第一号車がラインオフ、年産22万台目指す”. Response. (2017年12月7日)
- ^ “中国の不動産大手「恒大集団」 サーブ親会社NEVSの株式51%を取得”. JETRO. (2019年6月24日)
- ^ “中国恒大、スウェーデンのEV企業買収 1000億円で”. 日本経済新聞. (2019年1月16日) 2023年3月22日閲覧。
- ^ “SAABの遺産の自動車工場、ドイツのソーラー・セル電気自動車で復活”. JETRO. (2019年4月22日) 2023年3月22日閲覧。
- ^ “中国恒大の危機でスウェーデン電気自動車会社が人員削減”. 中央日報. (2021年10月4日) 2023年3月22日閲覧。
- ^ “中国恒大新能源汽車、スウェーデン子会社NEVSを売却へ=ロイター”. ロイター通信. (2021年10月18日) 2023年5月31日閲覧。
- ^ “独Sono Motors、フィンランド工場でのソーラーカー生産でValmet Automotiveと合意”. MARKLINES. (2022年4月7日) 2023年3月22日閲覧。
- ^ “中国恒大EV工場は鉄骨野ざらし 「成長」のからくりは”. 日経ビジネス. (2021年10月4日) 2023年5月31日閲覧。
- ^ “中国恒大系、初のEV量産開始 グループ経営なお不透明”. アジアBiz. (2022年9月16日) 2023年5月31日閲覧。
- ^ “中国「恒大集団」のEV子会社が操業停止の危機”. 東洋経済ONLINE. (2023年4月18日) 2023年5月31日閲覧。
- ^ “サーブのエンジニアが10ヶ月で開発したヒミツの電動GT、エミリーとは?”. TopGear. (2023年5月6日) 2023年5月31日閲覧。
- ^ Jokić, Konstantin (2023年8月25日). “Countdown to Revelation: Unveiling the Enigmatic Buyer of NEVS Emily GT Project and the Resurgence of Trollhättan Production” (英語). 2023年10月18日閲覧。
- ^ “日本でもお馴染みのサーブブランドが消滅。来年からEVのNEVSに”. Clicccar. 2023年10月20日閲覧。
- ^ “Rare 2014 Saab 9-3 Aero Turbo4 Built By NEVS Comes Up For Auction” (英語). Motor1.com. 2023年10月19日閲覧。
- ^ Aničić, Goran (2017年6月10日). “Saab Nevs 9-3 Turbo edition at Saab Car Museum Festival 2017” (英語). 2023年10月18日閲覧。
- ^ Wulfers, Frank (2017年6月12日). “2014 Saab 9-3 Turbo Edition concept car” (英語). SaabWorld. 2023年10月18日閲覧。
- ^ “NEVS Sango autonomous shuttle rises from the ashes of Saab” (英語). autos.yahoo.com (2020年7月4日). 2023年10月19日閲覧。
- ^ Aničić, Goran (2020年7月1日). “PONS by NEVS – The First Generation of Autonomous Vehicles with a Connected User Interface” (英語). 2023年10月19日閲覧。
- ^ Ramsey, Jonathon. “NEVS Emily GT electric sedan developed by ex-Saab engineers finds a buyer” (英語). Autoblog. 2023年10月18日閲覧。
- ^ “Meet Emily, a secret electric GT developed in 10 months by Saab engineers” (英語). Top Gear (2023年5月2日). 2023年10月18日閲覧。
- ^ “NEVS Designed A Convertible ‘GTO’ Version Of The SAAB-Like Emily EV Before It Was Shuttered”. 2023年10月19日閲覧。