カーボンナノホーン
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カーボンナノホーン(carbon nanohorn)は、炭素の同素体の1つ。ナノカーボンの一種で、グラフェン(グラファイトシート)を円錐形に丸めた構造をしている。
CNHと略す。ナノホーンと略すこともある。
グラフェンを円筒形に曲げた構造のカーボンナノチューブ (CNT) に似ており、後述するように実際には部分的にCNT構造を取るため、CNTに含められることもある。
発見
[編集]1998年、NECの飯島澄男らが発見した。飯島はCNTの発見者でもある。
構造
[編集]モデル的な構造
[編集]円錐部分は六員環からなり、平面のグラフェン構造を曲げた構造をなす。頂点には5つの五員環が互いの間に六員環を挟んで存在し、直径2~3 nmのフラーレン構造の一部をなす。
頂点の五員環の数は、幾何学的には1つ~5つのいずれでも円錐形を作ることができるが、実際に得られるのは5つのものである。これに対し、CNTの端の五員環は(片方で)6つ、フラーレンの五員環は12である。
実際の構造
[編集]実際のカーボンナノホーンは、特殊な形状で得られる。
多数のカーボンナノホーンが頂点を外側に向けて集まった、直径100 nm前後の集合体(カーボンナノホーン粒子)として得られる。この形はしばしばウニに例えられる。
各々のカーボンナノホーンは、ある程度広がると、五員環により内側へと曲がり、5 nm前後の、CNTと同じ円筒構造に移行する。そのため実際は、カーボンナノホーンで端を閉じられたCNTだと言える。なお、(CNTと同様に)円錐・円筒部分にも多少の五員環や七員環が存在し、不規則に曲がったり凸凹したりしている。
製法
[編集]レーザー剥離法で製造される。
室温・常圧のアルゴンガス中で、純度100%のグラファイトに、波長10.6 μmの二酸化炭素レーザーをパルス照射する。
CNTより条件が易しく、大量生産が容易である。
利用
[編集]質量あたり表面積が極めて高いため、吸着剤、触媒担持体として高い能力を持つ。燃料電池の電極材料やガス吸蔵材として実用化に最も近いナノカーボンとして注目されている。