ニュージェント男爵
ニュージェント男爵(ニュージェントだんしゃく、英: Baron Nugent)は、イギリスの貴族爵位。アイルランド貴族で2度、連合王国貴族で1度創設され、いずれも廃絶している。
歴史
[編集]アイルランド王国出身でグレートブリテン庶民院議員を務めたロバート・クラッグス=ニュージェント(1702–1788)は1767年1月19日にアイルランド貴族であるクレア子爵とウェストミーズ県カーランズタウンのニュージェント男爵(Baron Nugent of Carlanstown, co. Westmeath)に、1776年7月21日にニュージェント伯爵に叙された[1]。ニュージェント伯爵位に特別残余権(special remainder)が規定されていたものの、クレア子爵とニュージェント男爵には規定されていなかった[1]。ロバートは息子に先立たれており、1788年に死去するとクレア子爵とニュージェント男爵位は廃絶、ニュージェント伯爵位は特別残余権に基づき初代バッキンガム侯爵ジョージ・ニュージェント=テンプル=グレンヴィル(1753–1813)[2]。バッキンガム侯爵の申請により、バッキンガム侯爵夫人メアリー・エリザベス(1758–1812)は1800年12月26日にアイルランド貴族であるウェストミーズ県カーランズタウンのニュージェント女男爵に叙された[3]。この爵位にも特別残余権が規定されており、長男より次男ジョージ・ニュージェント=グレンヴィル(1789–1850)が優先して爵位を継承するという内容だった[3]。1812年にメアリー・エリザベスが死去すると、ジョージが特別残余権に基づき爵位を継承したが、彼は男子をもうけず、1850年に死去すると爵位は廃絶した[4]。
陸軍軍人のテレンス・エドマンド・ガスコイン・ニュージェント(1895–1973)は1960年8月22日に連合王国貴族であるノーフォーク州ウェスト・ハーリングにおけるニュージェント男爵(Baron Nugent, of West Harling, co. Norfolk)に叙されたが、後継者がおらず1代で廃絶した[5]。
ニュージェント男爵(1767年)
[編集]- 初代ニュージェント伯爵、初代クレア子爵、初代ニュージェント男爵ロバート・クラッグス=ニュージェント(1702年 – 1788年)
ニュージェント男爵(1800年)
[編集]- バッキンガム侯爵夫人、初代ニュージェント女男爵メアリー・エリザベス・ニュージェント(1758年 – 1812年)
- 第2代ニュージェント男爵ジョージ・ニュージェント=グレンヴィル(1788年 – 1850年)
ニュージェント男爵(1960年)
[編集]- 初代ニュージェント男爵テレンス・エドマンド・ガスコイン・ニュージェント(1895年 – 1973年)
出典
[編集]- ^ a b Cokayne, Doubleday & Howard de Walden 1936, p. 793.
- ^ Cokayne, Doubleday & Howard de Walden 1936, pp. 793–794.
- ^ a b Cokayne, Doubleday & Howard de Walden 1936, p. 795.
- ^ Cokayne, Doubleday & Howard de Walden 1936, pp. 795–796.
- ^ Cokayne & Hammond 1998, p. 830.
参考文献
[編集]- Cokayne, George Edward; Doubleday, Herbert Arthur; Howard de Walden, Thomas, eds. (1936). The Complete Peerage, or a history of the House of Lords and all its members from the earliest times (Moels to Nuneham) (英語). Vol. 9 (2nd ed.). London: The St. Catherine Press. pp. 793–363.
- Cokayne, George Edward; Hammond, Peter W., eds. (1998). The Complete Peerage, or a history of the House of Lords and all its members from the earliest times (Addenda & Corrigenda) (英語). Vol. 14 (2nd ed.). Stroud: Sutton Publishing. p. 830. ISBN 978-0-7509-0154-3。