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ネスビットの不等式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ネスビットの不等式英語: Nesbitt's inequality)は、以下の不等式である。アルフレッド・ネスビット(Alfred Nesbitt)の名を冠する

ただし、a, b, c は正の実数

証明

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ネスビットの不等式はシャピロの不等式n = 3 の場合である。

証明1:相加調和平均の関係式

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相加調和平均の関係式をに用いる。

整理して、

証明2:並べ替え不等式

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を仮定すると

を得る。

,

と定義する。並べ替え不等式より、この2列のドット積は、2列がともに単調増加あるいは単調減少であるときに最大値をとる。 今、2列は単調減少数列になっている。2つのベクトルを循環的に置き換えたものとして、

辺辺足して、ネスビットの不等式を得る。

証明3:平方和

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任意の実数a, b, cについて、恒等式

が成り立つから、正の実数a, b, cにおけるネスビットの不等式を得る。

備考:すべての有理不等式は、平方和の恒等式に変換することで証明可能である。詳細はヒルベルトの第17問題を参照。

証明4:コーシー=シュワルツ

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2つのベクトル

に関するコーシー=シュワルツの不等式

を証明1と同様にして変形することで題意の不等式を得る。

証明5: 相加相乗平均の関係式

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のようにラヴィ変換施して、相加相乗平均の関係式を用いることにより、

を元に戻して、

整理すると、ネスビットの不等式を得る。

証明6:Tituの補題

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ティトゥの補題はコーシー=シュワルツの不等式をn個の実数(xk)の列と、n個の正の実数(ak)の列に関する不等式に換言したものである。

とすると、

証明7:斎次性

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不等式の左辺が斎次的であることから、 としても一般性を失わない。 ラヴィ変換を施して、

とすれば、不等式は に帰着する。これは、と変形できるが、ティトゥの補題より、成立が確認できる。

証明7:イェンセンの不等式

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として、関数を考える。この関数は区間内で凸であるから、イェンセンの不等式より、

整理して、

証明9

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について、不等式を証明して、 を考えることにより、右の不等式が示せる。

実際に であるから不等式が成立する。

証明10:ムーアヘッドの不等式

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証明9の右の不等式は、におけるムーアヘッドの不等式そのものである。

証明11

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不等式を変形して

この左辺は、

となるので、不等式が成立する。

出典

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外部リンク

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