コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ネダ川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ネダ川
Νέδα ποταμός
ネダ川 2006年8月2日撮影
プラタニア英語版近くのネダの滝。
延長 31 km
流域面積 278 km2
水源 リカイオン山英語版
河口・合流先 キパリシア湾英語版
イリア県ザカロ英語版メッシニア県トリファリア英語版
北緯37度22分30秒 東経21度40分58秒 / 北緯37.37500度 東経21.68278度 / 37.37500; 21.68278
流域 ギリシャの旗 ギリシャ ペロポネソス
テンプレートを表示
ネダの滝。

ネダ川: Νέδα Ποταμός, : Neda river)は、ギリシャペロポネソス半島西部を流れる川である。古典ギリシア語ではネダー川とも表記される。川の名前はギリシア神話ニンフネダに由来しており[1][2]、ギリシャでも珍しい女性の名前を冠した川となっている。

地理

[編集]

ネダ川は古くから北のイリア県と南のメッシニア県を隔てる天然の境界となっている[3][4][5][6]。水源はメッシニア県北部のネダ村近く、リカイオン山英語版の南麓にあり、西に向かって約31キロ流れたのち、キパリシア湾英語版に流れ込む。流域には古代のアルカディア地方の都市ピガリア英語版があり[6][7]、ピガリアから2.2キロほど離れたネダ川と支流のリマクス川の合流する地点に女神エウリュノメの神域があった[8]。ネダ川では峡谷、平野、滝、洞窟といった様々な景観を見ることが出来る。ネダ渓谷へのアクセスは川の水位が低くなる夏の間だけ可能であり[9]、その豊かな自然はオリーブイチジクプラタナスオークヒイラギなどの樹木で彩られている。ネダ川には小さな淵を持つ3つの滝があり[10]、その中でも特にプラタニア英語版近くのネダの滝は美しいことで有名である。

神話

[編集]

ストラボンによると、女神レアゼウスを出産した折に、産湯に使うため、ネダ川の源流となる泉をリカイオス山麓に湧出させたという[6]パウサニアスによるとお産の穢れは支流のリマクス川に流された[11]。またパウサニアスはネダ川の名前についてゼウスを養育したニンフの1人ネダに由来すると伝えている[1][2]

石橋

[編集]

ネダ川はオスマン・トルコ時代に建設された複数のアーチ状の石橋が架かっている。これらの石橋は精巧で美しく、古くからメッシニアとイリア両県の山間部の村落をつなぐ連絡通路として機能し、現在はネダ川流域の観光やアウトドア・アクティビティの見所の1つとなっている。その反面、これらの石橋はいずれも老朽化によって崩壊の危機に瀕しており、修復のための詳細な調査を必要としている[12][13]。ネダ川の最も有名な石橋はプラタニアのもので、夏になると多くの観光客がネダ川の滝を訪れるために石橋を利用する。この石橋は早くも1881年にライプツィヒで出版されていた芸術雑誌『ヘスペロスギリシア語版』(1881年-1889年)で取り上げられている[12]。マヴロマティウ(Μαυροματίου)の石橋は最も印象的なものの1つで、メッシニア県のクーベラ(Κούβελα)とイリア県のドラゴギ(Δραγώγι)間の道路がある2つの峡谷を結びつけている。しかし石橋までの道路は未舗装であり、橋自体の損傷も大きく、現在では放棄されている[12]

備考

[編集]

近年、リカイオン山を中心とするアルカディア県、メッシニア県、イリア県にまたがる広範囲な地域の文化と自然の保護を目的とするパラシオ文化遺産公園(Parrhasian Heritage Park)を設立する構想が立ち上がっており、その中にネダ川も含まれている[14][15]

脚注

[編集]
  1. ^ a b パウサニアス、4巻33・1。
  2. ^ a b パウサニアス、8巻38・3。
  3. ^ パウサニアス、4巻20・2。
  4. ^ パウサニアス、4巻36・7。
  5. ^ パウサニアス、5巻6・3。
  6. ^ a b c ストラボン、8巻3・22。
  7. ^ パウサニアス、8巻41・1。
  8. ^ パウサニアス、8巻41・4。
  9. ^ Νέδα: Χορεύοντας με τις Νύμφες”. Liberal. 2022年6月4日閲覧。
  10. ^ ΑΝΑΚΑΛΥΠΤΩΝΤΑΣ ΦΥΣΙΚΕΣ ΟΜΟΡΦΙΕΣ ΠΕΡΙΒΑΛΛΟΝΤΙΚΟΣ ΤΟΥΡΙΣΜΟΣ, Ποταμός Νέδα”. Δήμος Τριφυλίας. 2022年6月4日閲覧。
  11. ^ パウサニアス、8巻41・2。
  12. ^ a b c Τα γεφύρια της Νέδας”. Gargalianoionline. 2022年6月4日閲覧。
  13. ^ Απροστάτευτο και αφημένο στην τύχη του το οικοσύστημα της Νέδας”. Αποκαλύψεις. 2022年6月4日閲覧。
  14. ^ Notable Locations”. The Parrhasian Heritage Park. 2022年6月2日閲覧。
  15. ^ Το Παρράσιο Πάρκο πολιτιστικής κληρονομιάς στην ορεινή Αρκαδία”. Καφενείο Μεγαλόπολης. 2022年6月6日閲覧。

参考文献

[編集]