ノルマン・ハウンド
ノルマン・ハウンド(英:Norman Hound)とは、フランスのノルマンディー地方原産のセントハウンド犬種である。やや著名なイギリス原産のセントハウンド犬種、タルボット・ハウンドの原種でもある。
歴史
[編集]10世紀ごろ、ベルギーから連れて来られたセント・ヒューバートが先祖である。それと土着のセントハウンドを掛け合わせることにより作出された。
嗅覚や体力が優れていて、貴族によってパックで鹿のセントハント(嗅覚猟)に使われていた。しかし、1頭の鹿を追跡して追い詰めるまでに約8時間かかり、消極的な性格であまりしつけの飲み込みも良くなく、動きも緩急であったためあまり人気が出なかった。
11世紀になると嗅覚の鋭さと見栄えのよさから本種はイギリスに輸出され、大幅な能力改善のための改良が行われてタルボット・ハウンドが作出された。この子孫の繁栄とは対照的に、ノルマンハウンド自体はどんどん頭数を減らしていった。1763年には絶滅寸前となり、その後1840年代ごろに絶滅してしまった。
特徴
[編集]筋肉質の体つきのセントハウンドである。先細りのマズルと脚は長く、耳は肩まで伸びた長い垂れ耳、尾はサーベル形で飾り毛のない垂れ尾。コートはスムースコートで、毛色はブラック、レバー、ミルク、ホワイトなどの単色か、その中のいずれかの2色の組み合わせである。体高76cm前後の大型犬で、性格はおっとりしていて大人しく、控えめで温和であった。現代の家庭犬としては最適な性格であるといえるが、闘争心や狩猟本能の薄さから当時はあまり受けが良くなかった。協調性に優れ、人懐こいがしつけの飲み込みは悪かったとされる。嗅覚と状況判断力、粘り強さはその分他の犬種よりも格上であったと伝えられている。吠え声は大きくよく響き、仲間同士の連絡に役立っていた。運動量は多いが、走り回ることよりゆったりとにおいを探しながら散策を楽しむことの方が多かったようである。
参考文献
[編集]- 『デズモンド・モリスの犬種事典』デズモンド・モリス著書、福山英也、大木卓訳 誠文堂新光社、2007年