ノート:アイディア・表現二分論/草案20190831
アイディア・表現二分論(あいでぃあ・ひょうげんにぶんろん、別称: アイディアと表現の二分法理、英語: Idea-expression dichotomyまたは英語: Idea-expression divide)とは、知的財産権に関する概念であり、創作物や発見などを産業財産権 (特許権や商標権などの総称) と著作権のどちらで保護すべきかを切り分ける考え方の一つである。アイディア・表現二分論は、産業財産権の対象が「アイディア」そのもの (思想、概念や事実発見などを含む) とする一方、著作権の対象はアイディアの「表現」であると捉える法理である。アイディア・表現二分論は、国際的にも確立している、著作権制度の根底を成す原則といえる。
また、一括りにアイディアや表現と言っても、すべてが法的に保護されるわけではなく、一般社会によるアイディア利用の自由が優先し、特許権や著作権の権利者による独占が制限されることがある。さらに、創作物や発見の中には、それがアイディアなのか表現なのか、完全に分離するのが難しいものも存在する。その際には、アイディア・表現二分論から派生した「マージ理論」(英語: Merger doctrine) や「ありふれた情景の理論」(フランス語: Scènes à faire) が適用される。
定義と意義
[編集]著作権法は創作物の「表現」のみを保護し、「アイディア」あるいは「思想」を保護しない。これは、著作権という制度の基本かつ大原則である[1]。例えば、何かのアイディアを記した論文があったとする。このとき、その論文に記されたアイディアを他者が利用したとしても、著作権法がその利用を制限することはない[2]。このような、アイディアと表現を分けて考え、表現のみを保護する考え方をアイディア・表現二分論[3]や思想・表現二分論[4]などと呼ぶ。
アイディア・表現二分論は、国際的にも広く受け入れられている原則である[5]。知的財産権に関する国際条約のTRIPS協定では、9条2項において、著作権の保護範囲について次のように規定している[6]。
- Copyright protection shall extend to expressions and not to ideas, procedures, methods of operation or mathematical concepts as such.
- 著作権の保護は、表現されたものに及ぶものとし、思想、手続、運用方法又は数学的概念自体には及んではならない。(外務省訳[7])
この規定は、著作権に関する国際条約のWIPO著作権条約でも踏襲されている[8]。
コンピュータ・プログラムの一つであるインターネットの検索エンジンを例にとると、プログラムのアルゴリズムや基本設計、つまり検索キーワードに基づき、どのサイトを検索結果に含める・含めないかや、検索表示順を決めるロジックは「アイディア」であり[9]、新たに発見するものであることから、当局に申請すれば特許が認められうる。しかし、その検索エンジンの使い方を示したフローチャートなどの説明文書は、アイディアに基づく「表現」でしかない[9]。仮にその検索エンジンAを第三者が不正盗用し、類似の検索エンジンBを創作した場合、何をどこまで盗用したのかによって、特許権と著作権のどちらを (または両方を) 侵害したことになるのかが異なることから、裁判で適用される法律も変わってきてしまう。
アイディア・表現二分論が指す「アイディア」という言葉は、一般的な意味とは少々異なることに注意が必要である。例えば、フィクション作品のかなり詳細で具体的な設定を考え出すことも日常的には「アイデアを思いついた」などと言うが、一定以上に詳細で具体的な設定はアイディア・表現二分論における「アイディア」ではなく「表現」に該当する[3]。例えば米国著作権法第102条では、アイディアに並んで、「手続き」「過程」「方式」「操作方法」「概念」「原理」「発見」について著作権による保護を否定している[10]。また、創作物をアイディア・表現で二分するとき、創作物が表現している「事実」それ自体はアイディアに含まれる[11]。すなわち、事実それ自体は万人の共有物であり、著作権法が保護の対象とすることはない。この原則も、国際的に受け入れられている原則である[12]。
アイディア・表現二分論が著作権に適用される根拠の一つは、アイディアのような抽象的なものまで特定の人物あるいは法人に独占させると、表現活動を阻害することになり得るためである[3][13]。アイディアは表現に先立ち、表現を生み出す元である。そのため、アイディアを万人が利用可能な状態に置くことが、多様な表現の創出が社会全体で活性化することに繋がる[14]。これは、例えば日本国著作権法が目的とする「文化の発展」と適合する[8]。一方で、特定の具体的表現を独占させたとしても、通常は一つのアイディアから無数の具体的表現が可能なので、著作権法が表現活動を不当に妨げることにはならないと考えられる[14]。また、後述するように、実際の著作権制度が与えている保護が、アイディアのような抽象的なものを保護するには強力過ぎるという点がある[15]。
「公共性」の高低によってアイディア・表現二分論を整理する考え方もある。発明や創作物を、公共性が高い順に「抽象的アイディア」「具体的アイディア」「アイディアの『表現』」の3階層に分類する。公共性が最も高い抽象的アイディア (たとえば化学の基礎知識) は、社会利用を促進する観点から、アイディア自由の原則が適用され、特許権や著作権での法的保護は認められない。しかし、それが具体的なアイディア (化学知識に基づいた新薬の開発) になると、申請条件を満たしていれば特許が認められ、新薬の開発者を動機づけるため、特許保有者以外は一定の期間、その新薬を製造・販売できなくなる。さらにその新薬に関する科学論文や、新薬を飲んだ患者の体験本は、アイディアの「表現」であることから、その執筆者には著作権が認められる[17]。
なぜ公共性という概念で分類するのかを考察する上で、アイディア・表現二分論が発達している米国の「産業政策理論」と呼ばれる考え方が重要になってくる。これは、モノの発明者や創作者に対し、政府が法律によって独占的な権利を無制限に与えたり、私的な恩恵を与えるのではなく、発明者や創作者を一定の期間に限って動機付け、期限が切れた後はその天才たちの成果物を社会が利用できるようにすることで、公共の利益を達成しようという発想である。さらにその背景には、競争の自由を阻害する市場の独占は悪であり、これに対する警戒心が強いという思想がある[18]。
特許権であれ著作権であれ、権利者に一定の独占を認めている。しかし、その独占の強さに違いがあるため、アイディアと表現を切り分け、過度な独占につながらないよう制御する必要がある。ここでの独占の強さの違いであるが、世界の多くの国々の著作権法では、著作物が創作された時点で、自動的に著作権が発生する「無方式主義」を採用している[註 1]。一方、特許や商標などの産業財産権は、権利者の独占が著作権より強い分、政府当局に申請して許可されなければ、その権利が認められない「方式主義」である。仮にアイディアと表現を明確に切り分けず、容易に権利が認められる著作権を笠にして、アイディアそのものまで広く独占保護を求める者が出てくると、アイディア自由の原則がないがしろにされたり、特許手続の抜け道として著作権保護が悪用されるおそれがある。したがって、アイディア・表現二分論には、著作権で保護される範囲を制限するという側面がある[11]。
ただし、アイディア・表現二分論は著作権制度の重要な規範であるが、創作物のアイディアと表現の線引きは実際には簡単ではない[20]。ある著作物の著作権侵害が問題となったとき、「アイディアの表現」が複製されたのか、それとも「アイディア」のみが複製されたに過ぎないのか、といったことが議論になる[21]。実際の創作物ではアイディアと表現の境界は不明確で、アイディアと表現の綺麗な二分はほとんどできない[22]。抽象的アイディアと具体的表現の間には、表現の抽象度の高低に応じてさまざまな段階があると考えられる[23]。アイディアと表現を線引きできる一般的基準を確立することは困難である[24]。実情としては、それぞれの事案ごとに、その創作物におけるアイディアと表現とは何かを個別に検討しなければならない[25]。
マージ理論
[編集]アイディアと表現を切り分けるのが理想である。しかし、ある表現を使用しなければ、その大元にあるアイディアも使用できないほどに結合 (マージ、merge) が強い場合、アイディア自由の原則と表現の保護という二つの考え方は両立できなくなる。この際、アイディア自由の原則を優先し、著作権による保護は制限されるという考え方がマージ理論 (英語: Merger doctrine)[註 2]である[29]。マージ理論が適用されたリーディング・ケースとしては、後述する1879年のアメリカ合衆国最高裁判決「ベーカー対セルデン裁判」(101 U.S. 99) と、1971年の第9巡回区控訴裁判決「ハーバート・ローゼンタール・ジュエリー対カルパキアン裁判」(446 F.2d 738) が知られている。
ありふれた情景の理論
[編集](狭義の) マージ理論を発展させたものとして、「ありふれた情景の理論」(フランス語でScènes à faire、英語圏でもフランス語がそのまま使用される) がある。マージ理論はアイディアと表現が1対1 (ないしごく限られた数) で結合しているのに対し、ありふれた情景の理論は1対Nであり、かつNの中でもお決まりの表現が一つに定まるケースである。このような場合、お決まり、つまり平凡な表現は著作権保護されないという考え方である[30]。ありふれた情景の理論に関するリーディング・ケースとしては、後述する1988年のアメリカ合衆国第9巡回区控訴裁判決「データイースト対エピックス裁判」(862 F.2d 204) がある。
ここで注意すべきは、単に平凡な表現だからと言って、それだけを理由に法的に保護されないわけではないことである。アイディア自由の原則がまず優先的にあり、表現の保護によって大元となるアイディアまで利用を制限されてはならないからこそ、(狭義の) マージ理論もありふれた情景の理論も導き出されている[30]。
なお、ありふれた情景の理論は、文学や映像などの芸術性や物語性を主に対象とし、「混同法理」はコンピュータ・プログラムなどの実用的な著作物を対象として使い分けるべきとの主張もあるが[31]、両者は密接に関係し、法廷では混同法理のこともありふれた情景の理論と呼ばれることが多い[31]。
各国の適用状況
[編集]アメリカ合衆国
[編集]アイディア・表現二分論は、合衆国法典第17編 (17 U.S.C.) に収録された、米国著作権法上の第102条(b)項で明文化されている。しかし米国では立法府による制定法より、司法府による判例法に重きを置いていることから、著作権法上で明文化される以前から、アイディア・表現二分論は司法判断で用いられてきた。
- ベーカー対セルデン裁判 (Baker v. Selden, 101 U.S. 99 (1879))
- 会計の簿記に関する書籍を巡って争われた裁判であり、1879年の最高裁判決文は多くに引用されている。セルデンは自著数冊の中で、簿記の改良手法について解説している。しかし、著作は商業的なヒットには至らなかった。セルデンの書から数年後、ベーカーが類似の簿記手法について記し、こちらは全米広域にわたって好調な売れ行きを記録した。セルデンの死後、相続人である妻がベーカーを相手取って著作権侵害で提訴したのが本件である。一審のオハイオ地方裁は、二者の著作物が酷似していることから、著作権侵害を認めて終局的差止命令を出した。しかし最高裁では、セルデンの簿記手法そのものに著作性はなく、簿記手法を表現した書籍にのみ著作性を認めた。また、簿記手法に独占的権利を主張するには、著作権法ではなく特許法の範疇で議論すべきと判示した[32]。
- 同裁判ではまた、「薬の組成や使用方法について書かれた論文や、耕作用具の作成と使用方法について書かれた論文などは、著作権法の対象となる。しかしその論文に書かれた内容の新規性 (誰が最初に発見したか) と、著作権はまったくの無関係である。そして新規性は特許庁によって審査された上で、独占性が認めなければならない。このような審査手続を経ずに独占性が認められると、他者にとって不意打ちとなってしまう」との主旨を述べている[33][34]。
- ハーバート・ローゼンタール・ジュエリー対カルパキアン裁判 (Herbert Rosenthal Jewelry Corporation v. Kalpakian, 446 F.2d 738 (9th Cir. 1971))
- 1971年の第9巡回区控訴裁判決である。原告・被告ともに宝飾メーカーであり、原告ハーバート・ローゼンタールは、宝石に金をあしらったミツバチ型の宝飾ピンを著作権登録済みであった。被告カルパキアンが類似デザインのピンを商品化したことから、ハーバート・ローゼンタールが著作権侵害で提訴した。裁判所は、カルパキアンは自然界のミツバチを研究してデザインしており、両社とも実物のミツバチに似てはいるものの、カルパキアンがハーバート・ローゼンタールを真似たわけではないとして、類似性の訴えを棄却した[35]。
- この判決では、特許権と著作権の違いについても言及されている。被告には、原告の商品の「アイディア」から学ぶ自由があるものの、アイディアの「表現」を盗むことはできないと指摘した。その上で、このケースではアイディア (ミツバチ型のピンを作る発想) とその表現 (出来上がったピンのデザイン) が不可分であることから、表現を模倣しても著作権侵害に当たらないと判示した[35]。これはベーカー対セルデン裁判でも判示されたように、アイディアと表現が結合していて切り離せない場合、表現に市場独占権を与えてしまうと、特許権で保護されるべきアイディアにまで影響が及んでしまう。しかし、特許権なしに市場を独占する権利を著作権者に与えるために、連邦議会は著作権法を制定しているわけではないため、ミツバチ型ピンのデザインを模倣しても著作権侵害には当たらないとされる[29]。
- データイースト対エピックス裁判 (Data East USA, Inc. v. Epyx, Inc., 862 F.2d 204 (9th Cir. 1988))
- ありふれた情景の理論のなかでもルック・アンド・フィールに関連する、1988年の第9巡回区控訴裁判決である。日本のデータイースト社はゲームセンターのアーケードゲームや家庭用ゲームに作品を提供するゲームメーカーである。1984年に日本で「空手道」をリリースし、米国を含む日本国外では「カラテチャンプ」(Karate Champ) の名称で流通していた。翌年1985年には、イギリスのシステムⅢソフトウェア社が「International Karate」をリリースし、米国市場向けの開発および販売は、ライセンス契約に基づいてカリフォルニア州企業のエピックス社が担っていた。1986年、海軍バージョンの「World Karate Champion」を発売した。白と赤の空手着を身にまとった対戦相手、主審による勝者宣言、対戦ごとに異なる背景シーン、ボーナス・フェーズなどの設定が似ているとして、データイーストがエピックスを提訴した。一審では著作権侵害を認め、終局的差止命令を出したが、二審の控訴裁ではこれを覆している。その理由として、与えられたアイディアから必然的に発生する標準的な表現にまで、著作権の保護を与えられないとしている[36][37]。
- ハーパー & ロー対Nation誌裁判 (Harper & Row v. Nation Enterprises, 471 U.S. 539 (1985))
- 出版大手ハーパー & ロー (現ハーパーコリンズ) がフォード元大統領の未発表回想録の出版権を獲得したものの、雑誌『Nation』が引用して先行報道した争いである[38]。最高裁は1985年、元原稿から逐語的に引用されたのは、計20万語のうちわずか300語だったが、その内容が決定的な箇所だと指摘した。また、「著作権におけるアイディア・表現二分論は、事実の自由な伝達を許す一方で、著作者の表現を保護することによって、憲法修正第1条と著作権法との定義上のバランスをとる」と判示した[39]。
- メイザー対スタイン裁判 (Mazer v. Stein, 347 U.S. 201 (1954))
- 実用品デザインの著作権保護を巡るリーディング・ケースとして知られる。本件以前は、実用品デザインを著作権法で保護できるのか、それとも意匠特許法でしか保護されないのか、判然としなかった。本件では、卓上ランプを模倣したとして著作権侵害が問われた。原告の卓上ランプの台には、バリ島のダンサー男女の像が用いられていたことから、実用品の機能面としてのランプには著作権性はないが、ダンサー像には著作権性があるとして、最高裁は1954年、著作権侵害を認めた。「特許とは異なり、著作権は公開された技術に対して排他的権利を与えるものではない。保護が与えられるのは思想の表現に対してのみであって、思想そのものに対してではない」と判示している[40]。さらに最高裁は、美しい流線型のチェアは著作権保護が認められないと例示している。その違いであるが、実用性の表現と芸術性の表現が分離できるか否かである。本件における卓上ランプの場合は、ランプの柄の部分にダンサーの像がついており、そのダンサー像だけ取り出して純粋美術としての立像を創作できることから、著作権保護されると判示された[41]。この物理的な分離性について別の例を挙げると、英国車ジャガーのボンネットについている、ジャガーのマスコット彫刻は分離可能なため、著作権保護されるとも説明されている[42]。
- スター・アスレティカ対ヴァーシティ・ブランズ裁判 (Star Athletica, LLC v. Varsity Brands, Inc., 580 U.S. 15-866 (2017))
- スポーツ・アパレル企業同士の訴訟である。メイザー判決が物理的な分離性について言及したのに対し、本件では概念的な分離性が問われた。チアリーディングのユニフォームデザイン (縞・ジグザグ・逆さV字模様など) が似ているとして大手ヴァ―シティ社がスター社を提訴した。これに対しスターは、実用品向けのデザインのため著作権は発生しないとして、マージ理論とフェアユース (公正利用) で抗弁したものの、最高裁はヴァーシティのデザイン独創性を認め、抗弁を棄却した。
- この判決では、ユニフォームの装飾デザインと、衣類繊維は物理的に分離できないものの、概念的に分離可能であるとし、その具体的な判断基準を5点示した。(1) 著作権法第102条が定めるところの「絵画・図形・彫刻の著作物」に該当するか、(2) 第101条の定義で定められた、実用的デザイン (useful article) か、(3) その実用的側面とは何か、(4) デザインを見る者が (1) の特徴と (3) の側面を分離して識別できるか、(5) さらに分離識別できるだけでなく、独立して存在できる特徴を有しているか、の5点である[42]。
- モリシー対P&G裁判 (Morrissey v. Procter & Gamble Co., 379 F.2d 675 (1st Cir. 1967))
- 第1巡回区控訴裁が1967年に下したこの判決は、「混同法理」のリーディング・ケースである。混同法理とは、大元のアイディア (システム、プロセス、操作方法を含む) を表現する方法が事実上1つしかない場合、アイディアと表現は「混同した」とみなされ、著作権保護は認められないとする解釈である。混同法理は、先述のベーカー対セルデン裁判の判示に依拠する。ベーカー対セルデン裁判では、アイディアを利用するにあたって、作品の複製を必要とする場合は、その複製行為は著作権侵害にあたらないとしている。一方で、複製せずともアイディアの解釈だけで済むならば、複製は著作権侵害となる[43]。
- モリシーは販売促進用の宝くじの企画を運営していたが、その運用方法がP&G主催の宝くじと類似しているとして提訴した裁判である。その運用方法とは、応募者が氏名、住所、社会保障番号などを記入する必要があるというものである[44][45]。販促用の宝くじのように、既にくじの引き方というアイディアが枯渇しているものにまで独占的な権利を与えてしまっては、社会的な損失になると考えられている[43]。
- ウォーカー対タイム・ライフ・フィルムズ裁判 (Walker v. Time Life Films Inc., 784 F.2d 44 (2d Cir. 1986))
- ありふれた情景の理論の判例である。1976年出版・ウォーカー著『Fort Apache』が、1981年映画『アパッチ砦・ブロンクス』 (原題: Fort Apache, The Bronx) に盗用されたとして提訴した。両作とも、黒人と白人警官の死亡事件で始まり、闘鶏、飲酒、部品を盗まれた車、売春、ネズミが登場する。第2巡回区控訴裁は1986年、これらのシーンはニューヨーク州サウス・ブロンクスでたびたび報道されている事実であり、その設定に著作物性はないとした[46]。
- ゲイツ・ラバー対バンドー化学裁判 (Gates Rubber Company v. Bando Chemical Industries, Ltd., et al, 9 F.3d 823 (10th Cir. 1993))
- 機械用ベルト製造の競合同士の争いである。同業界では全米で主力のゲイツ社は、個々の機械に合ったベルト製品を適切に選んで効率的に販売するため、さまざまな変数を考慮して計算できるソフトウェアを開発し、合衆国著作権局に著作権登録を済ませていた。ところが、このソフトウェアに関する詳細設計やソースコードなどを元ゲイツ従業員が持ち出し、転職先のバンドー (日系企業の米国支部) で類似ソフトウェアを開発した。これを受け、不正競争防止法違反、企業秘密の不正流用および著作権侵害でゲイツがバンドーを提訴した[47]。本件では著作権法上の実質的類似性を検証する上で、抽象化・排除・比較テスト (別称: 3ステップ・テスト) の手法を確立させたとして知られている[48][49]。
- 第10巡回区控訴裁は1993年、ハードウェアの規格と機械的仕様、ソフトウェアの規格と互換性要件、コンピュータメーカーの設計規格、ターゲット業界の慣行や需要、コンピュータ産業におけるプログラミングの慣行は、コンピュータプログラムにおいては保護されない「ありふれた情景の理論」に該当すると判示した[47]。
- Oracle対Google裁判 (Oracle America, Inc. v. Google, Inc., 2019年1月時点で係争中)
- 企業買収によってJava APIの権利を獲得したOracleが、同技術をモバイル用OSのAndroidに利用されたとして、Googleを特許権および著作権侵害で提訴し、約1兆円相当の損害賠償を求めた裁判である。一審では陪審と裁判所で著作権性を認めるかで意見が分かれたが、二審では著作権侵害を認めている。2019年1月、Googleは最高裁に上訴している[50][51][52][53]。
- ウィリアムス対ブリッジポート・ミュージック裁判 (Williams v. Bridgeport Music, Inc.)
- ルック・アンド・フィールに関する判例である。2013年8月、 ロビン・シック、ファレル・ウィリアムス、T.I.は、彼らの曲である「ブラード・ラインズ」に関してマーヴィン・ゲイの家族及び相続財産から訴訟を起こされた。ゲイの家族は、「ブラード・ラインズ」がマービン・ゲイの曲である "Got to Give It Up"の「フィーリング」と「音」とをまねたものだと主張していた(シックは、この曲を「ブラード・ラインズ」に影響を与えた作品をして名前を挙げていた)[54] [55]。
- 2015年3月、裁判所は、同じコード、歌詞など著作物性のある要素を共有していないにもかかわらず、「ブラード・ラインズ」はそのフィーリングと音とをまねることで "Got to Give It" の著作権を侵害したと判定した[56][57]。その後の2019年1月には、最終的に約500万米ドルで賠償金の金額が確定した[58]。
欧州連合
[編集]欧州連合 (EU) では、加盟各国の著作権法の保護水準を揃える目的から、著作権に関する数々のEU指令が出されている。EU指令が出されてから一定期間以内に、国内著作権法を必要に応じて改正するなどの義務をEU加盟国は負っている。著作権関連のEU指令の中で、コンピュータ・プログラムの法的保護に関する指令 (91/250/EEC) の第1.2条では、コンピュータ・プログラムの何らかの要素の基礎となる思想及び原理(操作系の基礎となるものを含む)を著作権から明示的に除外している[59][60]。
- SAS Institute対ワールド・プログラミング裁判 (SAS Institute Inc v. World Programming Ltd)
- ワールド・プログラミング社のソフトウェア製品WPSがSASの製品に類似しているとして、SASは製品およびマニュアル類の著作権侵害で提訴した。リバース・エンジニアリングによってSAS製品を解読したとSASは主張していた[61]。
- 本件はイングランド・ウェールズ高等裁判所が担当したが、司法判断にあたり、EU法の最高裁にあたる欧州司法裁判所[要リンク修正] (CJEU) に意見を求めている。これに対し、CJEUは次のように述べている。「コンピュータプログラムの機能を著作権で保護できることを認めれば、思想を独占することが可能となり、技術の進歩及び産業の発展に対してマイナスになるであろう」[62]。
イギリス
[編集]ありふれた情景の理論が想定するシチュエーションにおいて、イギリス及びほとんどのコモンウェルス諸国では、表現であっても保護されないか、保護されるのは文字通りの丸写しのみに非常に限定されている[63]。
- ドノヒュー対アライド新聞社裁判 (Donoghue v. Allied Newspapers Limited)
- 共同著作者の定義と、アイディア・表現二分論が問われた裁判である。プロのジャーナリストS. T. フェルステッドが、当時世界的に活躍していた競馬騎手のステファン・ドノヒューに対してインタビューを実施し、新聞「The News of the World」にドノヒューの特集記事が複数掲載された。掲載前に、記事の内容すべてにドノヒューは合意をしている。さらにフェルステッドは、焼き直してコンパクト化した上で、別の新聞「Guides and Ideas」への記事掲載を試みた。しかし、この編集著作物についてはドノヒューは事前に感知しておらず、新聞社に対して出版差止を求めた裁判である。本件では、インタビューを受けたドノヒューが共同著作者として認められるかが争点となった[64]。
- 1938年、ファーウェル判事は「アイディアは著作権では保護されない」と述べている。つまり「物語であれ、写真であれ、戯曲であれ、素晴らしい作品を自分のものだと思う者がいたとする。しかし、その者が第三者にそのアイディアを伝えただけで、作品の制作はその第三者によってなされたのであれば、アイディアの主が著作者として著作権を主張することはできない」との理由からである[65][64]。
オーストラリア
[編集]- ヴィクトリア・パーク・レーシング対テイラー裁判 (58 CLR 479 at 498)
- ヴィクトリア・パーク競馬場は高いフェンスで覆われていたが、私人のテイラーは自身の所有する土地に台を建て、無料で競馬レースが観戦できるようにした。その結果、競馬場の入場者と入場料収入が減少したため、運営会社のVPR社が不法侵入罪で提訴した。
- Latham 裁判長は1937年、たとえ損害が発生するとしても、景観には所有権はないとした。さらに、仮に競馬レースがテレビ放送された場合、著作権法上の公衆送信権に該当するとした。その上で、ある人がバスから転落しようが、ある馬が競馬レースで勝利しようが、最初にこれら事実を報道した人は、他の人が同じ事実を公表することを著作権法を用いて阻止することはできないと判示した[66][67]。
日本
[編集]日本では、マージ理論は、アイディア・表現二分論からの帰結ではなく、もう一つの著作物要件である創作性を根拠において理解することもある[68]。すなわち、あるアイディアを表現する場合に同一または類似の表現とならざる得ないのならば、そこに著者の創作性が発揮される余地はなく、創作性が欠如していることから著作物ではないとする[68]。しかしいずれにせよ、マージ理論を創作性の延長上で捉える考え方でも、米国著作権法に由来する元来の考え方でも、実際の著作権保護の範囲に大差はないといえる[69]。
日本の判例において、アイディア・表現二分論やマージ理論が判旨に現れたものには、以下のようなものがある。
- 万年カレンダー事件(大阪地裁昭和59・1・26判)
- アイディアの独創性が著作権法における表現とは異なることを明確にした判例の一つである[70][71]。原告は、1917年から2084年までのある年月日の曜日を調べることができる特殊なカレンダーを考案・制作し、実用新案権を取得した。調べたい年月日の年と月をもとに別の索引表を調べると、ある色が決まる。そして、数種類の色付きカレンダーの内、その色に対応するカレンダーを見ると調べたい年月日の曜日を知ることができるという手法である[70]。被告は、色彩や文字の一部は異なるが、曜日特定の手法や特定可能な年の範囲は同一であるカレンダーを製造・販売した。これに対して、原告が著作権侵害と実用新案権侵害を訴えた事件である[71]。
- 判決では、実用新案権侵害は認めたが、著作権侵害は認めなかった[72]。判決では、日本国著作権法第10条1項が著作物として例示する美術あるいは図表の著作物に該当するかが検討され、いずれの面からも原告のカレンダーは著作物に該当しないと結論付けた[71]。判決は「(前略)本件において原告が著作物性を有すると主張するもの(中略)が、(中略)万年カレンダーの構成及びその標識体に色彩を採用した着想(アイデア)そのものに帰着するところ、法はかかる着想(アイデア)そのものには著作物性を与えていないために他ならないからである。したがつて、カレンダーとは別に索引表を設ける考案が実用新案権の対象となることは別として、本件カレンダーに著作物性を認めることはできない。」と述べ、アイディアが著作物性(著作物となり得る性質)を与えないことを述べた上で、原告のカレンダーの著作物性を否定した[72]。
- アイディアそのものを著作権法は保護しないという前提を念頭に置いた判例といえる[71]。原告のカレンダーのアイディアが独創的であるかどうかと無関係に、そのアイディアに立って実際の表現物を作ろうとすれば、誰でも同一または類似の表現物にならざるえないと考えられ、その点からも判決は妥当といえる[70]。
- 脳波数理解析論文事件(大阪高裁平成6・2・25判)
- 脳波に関する数理モデルについての研究成果がある研究者(原告)ともう一人の研究者(被告)を含む共同研究の形で発表された後、そこから派生した研究成果の論文を被告が原告の了解を得ないまま投稿し、原告を著者として含まない形で学術雑誌に掲載され、原告が著作権侵害を訴えた事件である[73]。原告の主張は明瞭でない点もあるが、その主張において「数理科学の世界では、専門著作物性が、形式的異同ではなく、数理科学における学問的意義により決定されている以上、そこでの著作権侵害は、その学問的実質により判断されなければならない。そこでの学術論文は、表現形式や表現方法には格別の意味もなく、一般に、そこに盛られた科学的思考が、著作権による保護を受ける。」などと述べ、学術論文におけるアイディアの重要性と著作権保護の必要性を主張した[73][74]。
- 判決では、この主張に応える形で、「ところで、数学に関する著作物の著作権者は、そこで提示した命題の解明過程及びこれを説明するために使用した方程式については、著作権法上の保護を受けることができないものと解するのが相当である。一般に、科学についての出版の目的は、それに含まれる実用的知見を一般に伝達し、他の学者等をして、これを更に展開する機会を与えるところにあるが、この展開が著作権侵害となるとすれば、右の目的は達せられないことになり、科学に属する学問分野である数学に関しても、その著作物に表現された、方程式の展開を含む命題の解明過程などを前提にして、更にそれを発展させることができないことになる。このような解明過程は、その著作物の思想(アイデア)そのものであると考えられ、命題の解明過程の表現形式に創作性が認められる場合に、そこに著作権法上の権利を主張することは別としても、解明過程そのものは著作権法上の著作物に該当しないものと解される。」と述べ、アイディアは著作物ではないことを判示した[73][74]。
- 本判例は、技術的思想ないし学術的知見がアイディアに属することを示した一種であり、著作権法の基本原則に関する判決として意義を持つ[75][73]。他にも、特に学術論文に関する判例では、アイディアのみが共通するに過ぎないことから著作権侵害を否定したものは比較的多い[73]。
- 城の定義事件(東京地裁平成6・4・25判)
- 日本の城に関する書籍を出版した著者と会社(原告)が、その書籍の模倣を含む書籍を出版した会社を著作権侵害で訴えた事件である。判決では、一部は著作権侵害が認められ、一部では認められなかった。著作権侵害が認められなかった記述が、「城とは人によって住居、軍事、政治目的をもって選ばれた一区画の土地と、そこに設けられた防御的構築物をいう」という、原告の著者が考案した城を定義する一文である[76]。
- 判決は、定義文について「原告が長年の調査研究によって到達した、城の学問的研究のための基礎としての城の概念の不可欠の特性を簡潔に言語で記述したもの」であり、同時に「原告の学問的思想そのもの」とした。そして、「本件定義のような簡潔な学問的定義では、城の概念の不可欠の特性を表す文言は、思想に対応するものとして厳密に選択採用されており、原告の学問的思想と同じ思想に立つ限り同一又は類似の文言を採用して記述する外はなく、全く別の文言を採用すれば、別の学問的思想による定義になってしまう」と述べ、件の定義文を著作物として認めることはできないと判示した[76]。
- 本判例は、学術定義をマージ理論の観点から著作物保護を否定した判例といえる[76][26]。問題となった定義文は学問的思想そのものであった。同様の「情報量がきわめて小さく、ある考え方の骨子に相当するといわざるをえないもの」は、著作権法上のアイディアと見なされると考えられる[77]。
- 会社パンフ事件(東京高裁平成7・1・31判)
- 編集著作物の著作権侵害が争われた事件である。会社案内パンフレットを作り変える予定だったある会社(被告)に、広告企画・制作の会社(原告)がラフ案を示したが、被告は金額が高いことを理由に採用しなかった。その後、被告は別の会社に依頼してパンフレットを完成させたところ、そのパンフレットは原告のラフ案に似た物であった。これに対して、原告が被告を複製権の侵害で訴えた[78][79]。原告のラフ案と被告のパンフレットには、具体的な文章や写真は異なるものの、同じ計23ページから成り、各ページの内容のテーマは共通し、各ページのレイアウト、各写真・イラストから受ける印象はよく似た印象を与えるものだった[80]。
- 本判例は、編集著作物におけるアイディアと表現の分別判断の貴重な事例の一つといえる。アイディア・表現二分論にもとづき、編集著作物における素材の選択方針や編集方法自体はアイディアの一種とみなされ、著作権保護の対象ではない。具体的な素材の同一性・類似性のみならず、配列の同一性・類似性も編集著作物の侵害として含める場合には、アイディア自体の保護とならないように注意を要する[79]。一審では、このパンフレットという編集著作物における「素材」と見なせる、各ページにおける具体的な文章や写真が異なることから、著作権侵害を否定した[80]。
- しかし二審の判決では、パンフレット中の具体的な文章や写真は異なっていても、「両会社案内は、記事内容の配列及び各種記事に対する配当頁数の同一という基礎的な共通性に立脚した上で、同一頁の同一箇所におけるイメージ写真の選択及び特徴的イメージ写真(3、4頁)の強度の類似性並びに同一箇所における余白ないし白地部分の活用といった両会社案内を特徴づける構成の類似性からみて、具体的な素材の選択及び配列に強度の共通性がある」と述べ、この共通性は単なるアイデアの共通性ではないと判断し、被告のパンフレットは原告の複製権を侵害していると認めた[79]。ただし、個別のページだけであれば、同程度の類似性があってもアイディア自体の共通に留まったであろうとも推定される。計23ページに亘って共通性が連続したことが、アイディアではなく表現の共通であるという判断に妥当性を与えたと考えられる[80]。
関連項目
[編集]註釈
[編集]- ^ 著作権の基本条約であるベルヌ条約で無方式主義を採用しており、ベルヌ条約の締結国は2019年6月時点で世界180ヶ国以上に上る[19]。
- ^ 日本語では、混同理論[26]、融合理論[27]、融合法理[28]などとも呼ぶ。他のカナ転写としてはマージャー理論[26]もある。
- ^ 鉛筆削りはTed Arnold Ltd. v. Silvercraft Co. (259 F.Supp 733 (S.D.N.Y. 1956))、貯金箱はRoyalty Designs, Inc. v. Thrifticheck Serv. Corp. (204 F.Supp 702 (S.D.N.Y. 1962))、繊維製品はPeter Pan Fabrics, Inc. v. Martin Weiner Corp. (274 F.2d 489 (2nd Cir. 1960)) などが挙げられる。
出典
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参考文献
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関連文献
[編集]- 米国著作権法の判例法理 マージ理論 (日本語) - 山本隆司 (1997年著)。上述の米国の主要判例の多くをカバーして解説しており、同作者の2008年書籍にも一部転載されている。