ノート:ウルグアイの歴史
「労働人口の1/5が治安組織の要員」という記述の誤りについて
[編集]こんにちは、初版作成者です。9年前に私がこの項目を立項した際に、
さらに、労働人口の1/5が治安組織の要員という異常な警察国家体制の下で密告が奨励され、左翼系、あるいは全く政治活動に関係のない市民への弾圧が進んだ[66]。
と書いたのですが、少し前に参考文献に挙げたエドゥアルド・ガレアーノ/大久保光夫訳『収奪された大地──ラテンアメリカ五百年』新評論、東京、1986年9月、24-30頁を読み直したところ、
……ウルグアイでは、隣人を密告しないことは罪である。大学に入学したとき学生は、大学構内で「学問の目的と無関係の活動」をするすべての者を密告すると文書で誓約する。学生は自分の面前で起きたすべての挿話的事件について共同の責任を負う。夢遊病者の社会に関するプロジェクトでは、すべての市民は自分自身と他の人々の警察官にならなければならない。しかしながら、その体制は、当然、疑い深い。ウルグアイでは、警察官と兵士は合計すると一〇万人を数えるが、それに加えて、一〇万人の密告者が存在する。スパイは街頭やカフェやバスのなかで、また工場や中高校、事務所や大学で働いている。生活するのに経費がかかるとか、生活が苦しいとかいって声高に不満を口にする者は、刑務所送りになるのがおちである。そういう人は「軍の道徳律に反する罪」を犯したことになり、その代価は三年ないし六年の刑務所暮らしによって払わねばならない。
エドゥアルド・ガレアーノ/大久保光夫訳「新版への序」『収奪された大地──ラテンアメリカ五百年』新評論、東京、1986年9月、29-30頁より引用。
とある記述があり、このガレアーノの記述(軍、警察と密告者を合計すると20万人)だけでは、「労働人口の1/5が治安組織の要員」という記述は導き出せないことに気が付きました。恐らく執筆当時、何かの年鑑で、このガレアーノの「新版への序」が書かれた1978年頃(確か1980年代初めだったはず)のウルグアイの労働人口が約100万人だったという記述を目にしたので、それとの関係でこう書いた記憶があるのですが、肝心のウルグアイの労働人口が約100万人だと書かれた出典の存在を思い出せず、この度探したところ発見できなかったので、この記述を正確なものに(治安機関の要因10万人と密告者10万人)書き直したいと思い、今回久々にログイン致しました。
というのも、先日、数年前のムヒカ・ブームの際に出版された本を読んでいたところ、
労働人口の五分の一を治安組織の要因とした警察国家体制を築いて密告を奨励。弾圧は、左翼系はもちろん、政治活動に関係のない市民にも及んでいた。
佐藤美由紀『信念の女、ルシア・トポランスキー――ホセ・ムヒカ夫人激動の人生』双葉社、東京、2017年4月9日第1刷発行、86頁より引用。
という、どこかで目にしたことのある記述を目にすることになり、何だったか思い出してみると、自分が20代だった頃に書いたこの記事が先行の記述だと気付き、少し引っ掛かる思いをしつつ慌てて文献を調査し直した結果、誤りが発見し、戦々恐々としております。
この件についてノートで議論し、その結果に基づいて近いうちに記述を改めようかと思い、今回再びWikipediaにログイン致しました。
不正確な記述を書き、さらにそれを10年近く放置していたことをお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした。