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ノート:セントレジャーステークス

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創設期の「レース名」

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1776年9月24日の「第1回」の情報。(正確には、のちに「第1回セントレジャーとみなされることになるレース」)

  • いわゆるレース名、「ホニャララステークス」みたいな固有名詞は存在しません。「無名の」というのは、文字通り、特別な名前をつけられていない、ということであって、「名前が皆に知られていない」という比喩的表現ではないです。当時はまだレース名に固有名詞をつける習慣はなく、馬でさえも固有名詞を持たないものが多数でした。(だから個体識別のために「ダーレーアラビアン」(ダーレー氏所有のアラブ馬、の意味)みたいな呼び方をしたわけです。)

告知

  • “An Authentic Historical Racing Calendar of all the Plates 1709-1785”,William Pick, 1785では、次のように表現されています。
  • Sweepstales of 150gs. for three-year olds ; colt 8st. fillies 7st.12lb. one two-mile heat, was won by Lord Rockingham's br. filly, by Sampson
  • 和訳すると、150ギニーのスイープステークス、3歳馬限定。牡馬の負担重量は8ストーン、牝馬は7ストーン12ポンド。2マイルの1回勝負。勝ったのはロッキンガム卿の青鹿毛の牝馬。父馬はサンプソン。
  • 勝馬は、レース時点では固有名詞を与えられておらず(当時としてはごく普通)、のちに「アラバキュリア」と命名されたことが伝わっています。
  • ちなみに翌日のドンカスターカップは「The Gold Cup value 100gs. 」(価値100ギニーの金杯競走)これが後世に「ドンカスターカップ」と呼ばれるようになるレース。第1回は1766年。
  • “Baily's Racing Register, from the earliest records to the close of the year 1842”,Baily Bros. ,1845 では次のように書かれています。なお同書は、古い部分はPick1785を下敷にしていると言われていますが、オリジナル部分もあります。(刊行時期が60年ほど後年だという点に留意してください)
  • A Sweepstakes of 25gs, for three yrs. old colts, 8st, and fillies , 7st 12lb, two miles (6 subs.) was won by
Ld.Rockingham's br.b.f. by Sampson, beating five others.
  • 和訳すると、25ギニーのスイープステークス、3歳馬限定。負担重量は、牡馬8ストーン、牝馬7ストーン12ポンド。距離2マイル。登録馬6頭。勝ったのは
  • ロッキンガム卿の青鹿毛/青毛の牝馬で父馬はサンプソン。他の5頭を破る。
  • 賞金の表記が異なっていますが、Baily1845は、「1頭の登録料が25ギニー」(a sweepstakes of 25gs. each)と解釈されます。25×6頭=150ギニーです。
  • 「A Sweepstakes of 150gs.」というのは、不定冠詞の「a」がついていることからわかるとおり、「賞金150ギニーの競走(賞金は1着馬が総取り)」というだけのものです。同じ年に、多数の競馬場で、「A Sweepstakes of xxxgs.」が行われています。
  • 「スイープステークス」は、賞金形態を表しており、「各馬から集めた登録料を、1着馬が総取り」という意味です。(ほかには、1対1で馬主が賞金を賭けるマッチレース、競馬場の地元が優勝杯を提供するカップレース、地元民が集めたお金を賞金とするパース競走(パースは財布のこと)、地元有力者なんかが賞金を出すプレート競走、などがあります。(いまの日本の「ステークス」という語は、単なる「ナントカ競走」の「競走」程度の意味しかなく、賞金を馬主が出し合う的な性格は皆無です。)
  • このほか手元には“The History of the St.Leger Stakes , 1776-1901”,Joseph Smith Fletcher, 1902, という書物があります。全500ページぐらい。同書でも要するに同じことが書かれています(当然詳細ではありますが)。同書ではレース名は「A Sweepstakes of 25gs. each, for three-year olds; colts, 8st ; fillies, 7st 12lb. two miles.(6 subs)」とあり、「一頭につき出馬登録料25ギニーのスイープステークス」(以下略)とあるだけです。
  • 同書には、この競走は初回から「the Cup」(=Gold Cup=ドンカスターカップ)よりもずっと有名(much more famous)だった、とあります。「第1回」の施行は1776年ですが、「1776年にそういうレースをやるよ」という告知自体は何年も前からするわけで(そうしておかないと登録馬が集まらないし)。「有名」なのは、「えっ!?3歳みたいな幼馬を!?2マイルみたいなめっちゃ短距離で!?しかも一回勝負?!」ていう、当時としては超非常識な企画だから。
  • ドンカスター競馬場史(洋書)は、面倒なので今回確認してません・・・--柒月例祭会話2023年10月3日 (火) 16:54 (UTC)[返信]

ドンカスターカップの馬齢

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『イギリス文化と近代競馬』p.32あたりには、たしかに「1766年の第1回ドンカスターカップには6歳馬と7歳馬が出た」旨書かれています。が、これは「ドンカスターカップが6・7歳馬用のレースだった」ということではないです。

1766年9月25日の同レースは、

  • The Gold Cup value 80l.for horses, &c. five-year old 7st.10lb, six-year olds 8st.7lb, and aged 9st. four-miles heat.
  • (和訳)80ポンドの値打ちの金杯を争う競走。牡馬。負担重量は、5歳馬は7ストーン10ポンド、6歳馬は8ストーン7ポンド、長齢馬は9ストーン。距離は4マイルのヒート競走。
  • で、実際出走したのは、6yo、長齢、6yo、長齢、の4頭。結果的に「6歳馬と7歳馬」になっただけかど。(ここでいうagedの2頭が実際何歳だったかまでは面倒なので調べていません)
  • 「長齢」というのは、「その馬が○歳になってやっと一人前になった」ことを意味しています。何歳からを「長齢」とするかは、時と場所によって違うかと・・・(同じイギリス国内でも、競馬場によって違ったりしていたし、そもそも馬齢を+1する時期も競馬場によって違っていて、普通は「春」に+1するんですが、ニューマーケットだけは春開催の日程次第で年によって馬齢+1するタイミングがズレたりする。)。ここでは、記述から秋のドンカスターは7歳以上をagedと扱っていたことが読み取れます。--柒月例祭会話2023年10月3日 (火) 17:14 (UTC)[返信]