ノート:ドデシルベンゼン
ドデシルベンゼンの構造について
[編集]界面活性剤の原料に用いられるドデシルベンゼンについては有機化学の教科書には出ていないので、大学で有機化学を専攻した方でもほとんどご存知ないと思います。私が現役時代に得た知見を述べてみます。私はリタイアしているので手元に資料が無く、記事を書く積りはありませんが、どなたか記事化する助けになると思い。界面活性剤の専門書には書いてあるはずです。
界面活性剤の原料に使用されるドデシルベンゼンの構造は記事のChemboxに書いてあるような構造ではありません。実際分析してみると、ベンゼン環はアルキル鎖の端でなく、途中にぶら下がっている構造であることがわかります。名前で云えば 2-Phenyldodecane,3-Phenyldodecane ~ 6-Phenyldodecane で、末端に付いたもの、つまり 1-Phenyldodecane は含まれていません。
また、側鎖の炭素数は、12 だけでなく 8 ~ 18 位の広い範囲に分布しています。平均すると 12 位になるので慣習的にドデシルベンゼンと呼ばれています。また、原料のパラフィンを塩素化する際、一分子に二個の塩素が入ったものが少量できるので、一分子中に二個のフェニル基が付いたものが少量できます。しかし、界面活性剤の原料としてはほとんど障害にならないので、特に分離除去はしません。ガスクロにかけると、炭素数毎のグループになって出てきます。一つのグループでは、フェニル基の位置がアルキル鎖の中央に近いものほど早く流出するので、同定は比較的容易です。
以前使われていた分枝型のドデシルベンゼンのアルキル基源にはプロピレン四量体 (Propenetetramaer) が使われていました。このタイプのドデシルベンゼンをガスクロにかけると、多数のピークが得られ、個々のピークのMSスペクトルを取っても皆ほとんど同じパターンになるので、構造的な情報は得られません。個々の成分の構造を追究しても何の意味も無いので研究はまったく行われていません。
分枝状のものは「ハードタイプ」直鎖状のものは「ソフトタイプ」と呼びますが、この場合のハード、ソフトの意味は、排水として環境水中に排出された場合、微生物による分解され易さを意味します。微生物による分解され易さは、生分解性 (Biodegradability) と呼び、界面活性剤の重要な評価ファクターです。--Tatsubou(会話) 2015年11月22日 (日) 06:41 (UTC)