ノート:重力圏

重力圏

　複数の重力天体がある場合に、そのうちの特定の１天体の及ぼす重力が他の天体の重力よりも卓越する領域を、その天体の重力圏という。

　例えば太陽と地球の場合、地球の質量比はおよそ太陽の３３万分の一、重力は距離の二乗に反比例するから、質量比の平方根に１ＡＵ（＝１５０００万km)を掛けて、地球重力圏の半径はおよそ２６万kmとなる。 月の軌道半径は約３８万kmであるから、月は地球を中心に公転してはいるが、地球の重力圏の外にあることになる。 （このため月は地球の衛星というよりは、地球と軌道を共にする惑星とも見ることができ、地球－月の系は、「連惑星系」であるとも言われる。）

　このようなことになるのは、地球－月系は太陽の周りを公転しているため（あるいは地球軌道上では太陽からの引力は、軌道速度による遠心力で相殺されているため）、地球中心の座標系から見ると、太陽からの引力はその差分（潮汐力）としてか働かないためである。 このような場合には、月に対する地球と太陽からの重力と潮汐力（距離の３乗に反比例する）の比を考えたほうが好都合であり、これを「作用圏」と呼ぶ。

作用圏の半径は近似計算によれば質量比の２／５乗に比例し、太陽に対する地球の場合９３万kmとなり、月は地球の作用圏の十分内側にあることが解る。

> 月は地球を中心に公転しているが、地球の重力圏の外にあることになる。

> 月は地球を中心に公転しているが、

という文章について「月は地球と月の共通重心の周りを公転している」と書き改めるべきではなかろうか。