ノート:DIN Sync
- その背景
シンセサイザーを自動演奏されることが一般的になってきた1980年代には、レコーディングの現場ではテープに同期用の信号を音声として録音し、その音声を読み出しながら多重録音する方法が確立された。まずはMTRの1つのトラックに同期信号を録音し、2トラック目には別の音色のシンセサイザーを自動演奏させて録音する。この時に1トラック目の同期信号を自動演奏装置に読み込ませていた。同様に3トラック目、4トラック目というように同期信号を使えば1つの自動演奏装置によって多重録音が可能であった。これが最初の同期信号の一般的な使われ方だった。この同期信号を送受信できる機材を複数使う場合などは、録音された同期信号が無くとも相手に直接同期信号を送ることによってテンポの同期は可能である。しかし、これら楽器(または自動演奏装置)自体が高価だったため、普及しなかった。もっぱら、多重録音用に使われていたのである。 これが変わり始めるのが、プログラム可能なリズムボックスが出現したことによってであった。
高価な楽器(または自動演奏装置)を2つ購入するスタジオは殆ど無かったためリアルタイムでの同期演奏の必要性はなかったが、自動演奏用のコンピューターMC-8と、プログラム可能なリズムマシンTR-808は、完全に別の楽器であったためスタジオにおいて両者が揃うこととなった。 この2つの楽器は、同じ会社の製品だったためシンクロ信号を同期に使うことができた。
- 初期の同期方法
Sync同期を行う場合、受信側の楽器を外部同期に設定してスタート状態にする。この時点では楽器自身のクロックが切られているので演奏がスタートすることはない。この状態で親機(送信側)の演奏をスタートさせると、Sync信号が出力され、それをクロックとして受信側の楽器が演奏されていく。
二つの別の楽器を同期演奏できるかどうかは、その両者は当然のように同時演奏の必要性が出てきた。この場合、どちらかの自動演奏装置のクロックを相手に送り、相手の機材はそのクロックに合わせて動作させられれば良い。
このクロックのみの信号はSync信号と呼ばれ
ようになり、リズムマシンなどの独自の自動演奏装置が増えてくると、同時に演奏させる要求が出てきた。特に