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ハイイロアザラシ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ハイイロアザラシ属から転送)
ハイイロアザラシ
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 食肉目 Carnivora
亜目 : イヌ型亜目 Caniformia
下目 : クマ下目 Arctoidea
階級なし : 鰭脚類 Pinniped(階級未定)
: アザラシ科 Phocidae
: ハイイロアザラシ属 w:Halichoerus
: ハイイロアザラシ H. grypus
学名
Halichoerus grypus Fabricius, 1791
和名
ハイイロアザラシ
英名
Gray Seal

ハイイロアザラシ(灰色海豹、Halichoerus grypus)は食肉目鰭脚類アザラシ科ハイイロアザラシ属に属するアザラシである。

ハイイロアザラシ属(灰色海豹属)はアザラシ科に属するの一つであり、ハイイロアザラシ1種で構成される。

生息地

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大西洋の東西両側に棲息する。

北大西洋の東側であるイギリスアイルランドでは沿岸や沿岸近くの営巣地(コロニー)で子育てを行う。特に大きな営巣地としては、ノーサンバーランド沖のファーン諸島(約6,000頭)、スコットランドの北の沖合いのNorth Ronaダブリン沖のLambay諸島などが知られている。ハイイロアザラシはブリテン諸島に棲息する哺乳類としては最も大きく、雄では体長は2.5mから3.3m、体重は最大で300kgに達する。雌は雄に比べてかなり小さく、典型的な体長は1.6mから2m、体重は100kgから150kgである。ブリテン諸島の北部や西部の海岸では良く観察されるが、南東部の海岸ではゼニガタアザラシの方がより多く観察される。

一方、北大西洋の西側に関してであるが、ハイイロアザラシはアメリカニュージャージー州以北の北アメリカ大陸の大西洋側海岸で一般的に見られるアザラシである。カナダに関しては、セントローレンス湾ニューファンドランド島やその周辺海域やケベック州などで良く見られる。アメリカに関しては、ニューイングランド沖(特にメーン州マサチューセッツ州)で1年中見られる他、若干少なくなるが中部大西洋に位置する州でも見られ、バージニア州あたりまで見られる。冬の間は沿岸の岩場、小島、浅瀬などに集まり、浜辺で休息している光景が良く見られ、まるで大きな灰色のバナナのように見える。春になると、離乳した直後や1歳程度の仔アザラシが迷子になった挙句、無残にも海岸に打ち上げられている光景もしばしば見られる。

出産と成長

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出産の季節は、東大西洋では秋(9月から11月)、西大西洋では冬(1月から2月)である。産まれたばかりの仔アザラシは、密集した柔らかく白い毛が生えて小さくしわしわであるが、母親の濃厚なミルクを飲むことによって、急速に成長し太った樽状の身体になっていく。生まれて1ヶ月程度で、赤ちゃんの毛は抜けて、大人と同じ撥水性の密集した毛に生え変わり、自分で餌となる魚類を捕るために海に入るようになる。

生態

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タラなどの魚を餌としていると長年考えられてきたが、近年の目撃報告や解剖結果から、ネズミイルカやゼニガタアザラシなどの魚以外のより大きな生物を捕食していると考えられるようになってきた[1]。また、研究者によって共食いすることが観察されている[2]

生息数増加の問題

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近年、北大西洋の西側ではハイイロアザラシの生息数が増加している。カナダではハイイロアザラシを駆除する要望が出されたが、現時点[いつ?]では実施される予定はない。

アメリカにおいても同様に生息数が増加しているが、数年来、海棲哺乳類保護条令(Marine Mammals Protection Act)により保護されており、ハイイロアザラシに危害を加えることは依然として違法である。条令が実施される前は、メーン州にわずかな数の営巣地(コロニー)が見られるのみであった。しかし、今日では、ニューヨーク州ニュージャージー州近くの海岸でも増加しており、営巣地はどんどん南下している。アメリカにおいても、近いうちにアザラシ猟が解禁されるということはなさそうである。

日本沿岸での観察記録

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2006年に秋田県雄物川河口で観察された小型のアザラシが、その形状から幼年期のハイイロアザラシであるといわれている。上記にあるように、一般的にハイイロアザラシは日本沿岸には生息しないため、たいへんめずらしい観測例である。通称「おもちゃん」。

注釈

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  1. ^ 「イルカ襲う、つぶらな瞳の無慈悲なアザラシ」 - NATIONAL GEOGRAPHIC
  2. ^ アザラシが子アザラシを食べる、「共食い」現場を論文に詳述”. natgeo.nikkeibp.co.jp. 2020年10月7日閲覧。