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ハドロサウルス形類

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ハドロサウルス形類
Hadrosauromorpha
生息年代: 中生代後期白亜紀, 96.7–66 Ma
ゴビハドロスの骨格図
ゴビハドロスの骨格図
地質時代
後期白亜紀
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 鳥盤目 Ornithischia
階級なし : ゲナサウルス類 Genasauria
階級なし : 新鳥盤類 Neornithischia
階級なし : 角脚類 Cerapoda
亜目 : 鳥脚亜目 Ornithopoda
階級なし : イグアノドン類 Iguanodontia
階級なし : ドリオ形類 Dryomorpha
階級なし : 堅拇指類 Ankylopollexia
階級なし : 棘胸骨類 Styracosterna
階級なし : ハドロサウルス型類 Hadrosauriformes
上科 : ハドロサウルス上科 Hadrosauroidea
階級なし : ハドロサウルス形類 Hadrosauromorpha
学名
Hadrosauromorpha
Norman2015 vide Norman, 2014
和名
ハドロサウルス形類[1]
[2][3][4]

ハドロサウルス形類[1](はどろさうるすけいるい、学名 Hadrosauromorpha)は、圧縮された手の骨と母指を持つ基盤的分類群とそれらを欠く派生的分類群へハドロサウルス上科を二分するため2014年にデイヴィッド・B・ノーマン英語版が定義した、イグアノドン類に属する鳥脚類の分岐群。Probactrosaurus gobiensisよりもEdmontosaurus regalisに近縁な全ての分類群として定義されている。このため、系統解析の結果によって含まれる分類群が異なる。

分類

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ハドロサウルス形類はヒプセロスピナス英語版の系統分類の議論において2014年にデイヴィッド・B・ノーマン英語版が初めて文献中で使用した。2014年の論文において、ノーマンはハドロサウルス形類の典拠として別の著書である Hadrosaurs のとある1つのチャプターを参照した[2]。しかし実際のところ、当該の書籍は2014年でなくより遅い2015年に出版されたものであった[5]PhyloCodeの第19条の4に従い、分岐群のオーサーシップはNorman (2015)、定義のオーサーシップはNorman (2014)となる[6]

定義

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Norman (2014 and 2015)によりハドロサウルス形類はProbactrosaurus gobiensisよりもEdmontosaurus regalisに近縁な分類群として定義されている[2][5]。この定義に対しミッキー・モーティマーは異議を唱えており、PhyloCodeに従ってハドロサウルス形類のタイプ属たるハドロサウルスを定義に含めなければならないと主張した[7]。この定義により、Norman (2015)はハドロサウルス形類にハドロサウルス科のみならずテティスハドロスバクトロサウルスも内包されると考えた[5]。Norman (2014)はハドロサウルス形類により多くの分類群を内包させており、Norman (2015)で含められた分類群の他にレヴネソヴィアギルモレオサウルスおよびテルマトサウルスを包含させた。Norman (2015)では、テルマトサウルスはハドロサウルス科の中に位置付けられていた[2]

Xing et al. (2014)による別の系統解析では、ノーマンの解析においてハドロサウルス形類から除外されていてエオランビアプロトハドロス英語版が他の多数の分類群と同様に彼の定義に含まれるものとして扱われた[3]

系統

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ハドロサウルス形類のグループではさまざまな異なる系統解析が実施されている[3]。Norman (2014)の解析は105個の異なる形態形質と27個の選択した鳥脚類の分類群が使用された。ノーマンの特定の分岐群の定義を用いて、彼の系統解析の結果を以下に示す[2]

ハドロサウルス型類 (アルティリヌス + エドモントサウルス)

アルティリヌス

エオランビア

エクイジュブス

プロバクトロサウルス

ハドロサウルス形類

テティスハドロス

レヴネソヴィア

バクトロサウルス

ギルモレオサウルス

テルマトサウルス

真ハドロサウルス類

ノーマンの定義は分類にさらなる混乱をもたらす不必要な変更であるとしてミッキー・モーティマーから強く批判されている[7]。Madzia et al. (2020)のような他の系統解析の結果では、ハドロサウルス形類はステムハドロサウルス類の長い段階の中間的位置に位置付けられており、またユーラシアの分類群からなる大規模グループを除き、以前の解析で見られたような大規模グループが再現されなかった[8]

ハドロサウルス上科

モレラドン英語版

マンテリサウルス

エクイジュブス

ボーロン英語版

オウラノサウルス

ジンゾウサウルス

シュウーロン

アルティリヌス

コシサウルス

ゴンポクアンサウルス

バティロサウルス英語版

プロア英語版

ラーチャシーマサウルス英語版

ペネロポグナトゥス英語版

シリンドホルナ英語版

ズオユンロン英語版

プロバクトロサウルス

ハドロサウルス形類

エオランビア

ジンタサウルス英語版

ジェヤワティ

プロトハドロス英語版

ダトンロン英語版

テティスハドロス

レヴネソヴィア

ナンヤンゴサウルス

バクトロサウルス

ギルモレオサウルス

オルトメルス英語版

タニウス

シャングヘンロン

プレシオハドロス英語版

シュアンミャオサウルス英語版

ハドロサウルス科

定義

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ハドロサウルス形類から定義上除外されているプロバクトロサウルスの骨格

Norman (2014)が重要と考えた多数の差異に基づき、プロバクトロサウルスはハドロサウルス形類の外群として選択された。具体的な差異として、歯骨歯冠が非対称でありかつ多数の垂直方向の稜を持つこと、上角骨に孔が存在すること、方形骨頬骨との関節部においてより発達した窪みを持つことが挙げられる。これらの特徴はより派生的なハドロサウルス形類の頭蓋骨に見られない。また、前上顎骨前前頭骨に接し、口蓋外翼状骨と頬骨との接触が小さい[2]

四肢に関連する部位においては、ハドロサウルス形類の肩甲骨はJ字型でなく、張り出した突起を持つ。前肢の下部の骨はハドロサウルス形類とプロバクトロサウルスのいずれにおいても細長く、より頑強な祖先と異なる。しかし、プロバクトロサウルスは小型かつ円錐形の母指を持つという基盤的な状態を呈しており、これはイグアノドンヒプシロフォドンといったより初期の鳥脚類と共通する。母指の喪失は手根骨の減少や、手の骨の可動性の低下にも寄与する。プロバクトロサウルスの腸骨はbrevis shelfを欠くハドロサウルス形類のものよりも角ばる。またハドロサウルス形類の大腿骨体は真っ直ぐであり、足の骨は先端を切ったような形状をなすことが確認されている[2]

脚注

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  1. ^ a b 幸光, 冨田; 孝亘, 對比地; 春生, 三枝; 直樹, 池上; 廉, 平山; 英夫, 仲谷 (2020). “恐竜類の分岐分類におけるクレード名の和訳について”. 化石 108: 23–35. doi:10.14825/kaseki.108.0_23. https://www.jstage.jst.go.jp/article/kaseki/108/0/108_23/_article/-char/ja/. 
  2. ^ a b c d e f g Norman, D.B. (2014). “On the history, osteology, and systematic position of the Wealden (Hastings group) dinosaur Hypselospinus fittoni (Iguanodontia: Styracosterna)”. Zoological Journal of the Linnean Society 2014: 1–98. doi:10.1111/zoj.12193. 
  3. ^ a b c Xing, H.; Wang, D.; Han, F.; Sullivan, C.; Ma, Q.; He, Y.; Hone, D.W.E.; Yan, R. et al. (2014). “A New Basal Hadrosauroid Dinosaur (Dinosauria: Ornithopoda) with Transitional Features from the Late Cretaceous of Henan Province, China”. PLOS ONE 9 (6): e98821. doi:10.1371/journal.pone.0098821. PMC 4047018. PMID 24901454. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4047018/. 
  4. ^ Ramírez-Velasco, A.A.; Benammi, M.; Prieto-Márquez, A.; Ortega, J.A.; Hernández-Rivera, R. (2012). “Huehuecanauhtlus tiquichensis, a new hadrosauroid dinosaur (Ornithischia: Ornithopoda) from the Santonian (Late Cretaceous) of Michoacán, Mexico”. Canadian Journal of Earth Sciences 49 (2): 379–395. doi:10.1139/e11-062. 
  5. ^ a b c Norman, D.B. (2015). “Iguanodonts from the Wealden of England: do they contribute to the discussion concerning hadrosaur origins?”. In Evans, D.C.; Eberth, D.A.. Hadrosaurs. Indiana University Press. pp. 10–43. ISBN 978-0-253-01385-9 
  6. ^ Chapter VIII. Authorship of Names and Definitions. Article 19”. The PhyloCode. 1 September 2017閲覧。
  7. ^ a b Mortimer, M. (2014年). “Norman's nomenclature's notoriously negative”. The Theropod Database Blog. 1 September 2017閲覧。
  8. ^ Daniel Madzia; John W.M. Jagt; Eric W.A. Mulder (2020). “Osteology, phylogenetic affinities and taxonomic status of the enigmatic late Maastrichtian ornithopod taxon Orthomerus dolloi (Dinosauria, Ornithischia)”. Cretaceous Research 108: Article 104334. doi:10.1016/j.cretres.2019.104334. 

関連項目

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