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ハートビート (坂本龍一のアルバム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『ハート・ビート』
坂本龍一スタジオ・アルバム
リリース
レーベル ヴァージン・ジャパン
プロデュース 坂本龍一
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 6位(オリコン
  • 坂本龍一 アルバム 年表
    ビューティ
    1989年
    ハート・ビート
    1991年
    スウィート・リヴェンジ
    1994年
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    ハート・ビートHeartbeat)は、1991年10月21日に発表された坂本龍一の9作目のオリジナル・アルバム。または、このアルバムに収録されている曲。

    解説

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    本作では、ハウス(ハウス・ミュージック)のリズム・手法が大胆に取り入れられているが、「皆がハウスを聴くのは、1小節に4分音符で4つ打たれるバスドラムのビートを、心臓の鼓動(=ハート・ビート)の様な安定したリズムと捉えた一種の胎内回帰願望である」というコンセプトがある。

    アルバムジャケットは、オレンジを基調とした坂本のどアップのポートレート。CDの初回特典として、ブックレットが特製折り紙仕様になっていた(糊付けされて完全に開く事が出来ない為、ブックレットとしては見辛いものだった)。

    収録曲

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    1. Heartbeat
      • 作詞:ジェフリー・コーヘン / 作曲:坂本龍一、富家哲
      仮タイトルは「バルトーク」。最初のデモを聴いた富家哲がミックスまで担当した。当初、ネナ・チェリーにヴォーカルを依頼したが、「坂本の映画音楽は好きだが、この曲はやりたくない」と断られている。坂本自身が選曲したベスト・アルバム『US』に納めたかったが、収録時間の関係で割愛された。
    2. Rap the World
      ラップディー・ライトのディミトリーによるロシア語で、内容は「積極的にコミュニケーションをとりましょう」というもの。サンプリングで使われている“So You make the time now”と“We play the game for each other”はラジオで流れていた別々のCMから抽出した。また、ジミ・ヘンドリックスの「third stone from the sun」のイントロ付近をループして使っている。
    3. Triste
      • 作詞:マルコ・プリンス、FFF、坂本龍一 / 作曲:坂本龍一
      ピアノを適当に弾いたあと、いいところだけ取ってミックスした即興の曲[1]。坂本がフランス語のラップを入れてみたいと考えていたところ、レコーディング初日に偶々隣のスタジオにいた、ビル・ラズウェルがプロデュースしていたFFFのマルコ・プリンスがフランス語でラップができるということでその場で録った曲。テーマは湾岸戦争。戦死した息子の骨を拾いに旅に出た父親に対し、「爆弾の熱で溶けてしまっているので無駄だよ」と呼びかける内容である。三菱地所のCMで使用された。
    4. Lulu
      • 作曲:坂本龍一
      最初にあったイメージは映画『危険な関係』のサントラ音楽。サックスラウンジ・リザーズジョン・ルーリーであるが、あくまでハウス的な素人っぽいニュアンスで演奏している。他にもアート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズが演奏。スウィングはリズムマシンで実現し、ピアノはサンプリングしたものを使用している。
    5. High Tide
      朝の5時に浮かんだメロディを元に作った曲。バート・バカラックのアレンジとコード進行に似ていたため、仮タイトルは「バカラック」だった。歌詞は坂本から「海の見える風景」として依頼された鈴木慶一が「湘南」「東京湾」のイメージとして作成。海外版やリミックス版には英語バージョンが収録されており、こちらはアート・リンゼイが作詞し、地中海グライダーで飛行しているイメージの内容となっている。
    6. Song Lines
      • 作曲:坂本龍一
      のちに、1991年ペドロ・アルモドバルの映画『ハイヒール』のメインテーマの元となった曲。
    7. nuages
      ボーカルアルジェリア出身でパリ在住の教師であるフーリア・アイシ。彼女にニューヨークに来てもらって録音した。彼女が子供の頃、お婆さんに歌ってもらった伝統的なアラブの歌。内容は帰らない弟を思って呼び掛ける歌で湾岸戦争の影響がある。
    8. Sayonara
      • 作詞:鈴木慶一 / 作曲:坂本龍一
      アルバムと同時発売されたシングル。あえて坂本自身を邦楽アーティストとしてイメージさせるために作成した。タイトルは、最も外国人に知られている日本語が「さよなら」だろうと考え、作曲前につけられた[2]。作詞は若いアーティストを採用するつもりだったが、結局残った高橋幸宏高野寛、鈴木慶一の中で一番青い印象のある鈴木の歌詞が使われた。
    9. Borom Gal
    10. Epilogue
      • 作曲:坂本龍一
      シェルタリング・スカイ』のサントラを作っている時、ベルナルド・ベルトルッチとの摩擦によるストレス解消のため、即興キーボードを弾いた際、コンピュータに録っておいた曲が原型。サントリーのCMで使用された。「スウィート・リヴェンジ」というタイトルも考えたが、それは次のアルバムのタイトルとした。イエロー・マジック・オーケストラのアルバム『テクノデリック』に同名の曲が収録されているが、別のものである。
    11. Tainai Kaiki
      • 作詞:アート・リンゼイ、坂本龍一 / 作曲:坂本龍一
      すべて即興で演奏されており、その上にピグミーやケージの声をかぶせている。ヴォーカルはアート・リンゼイ。海外盤はデヴィッド・シルヴィアンがメロディと作詞を担当している。

    出典

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    1. ^ アルバム『US』より。
    2. ^ 月刊カドカワ』1992年1月号、角川書店