バク
バク科 | |||||||||||||||||||||||||||
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アメリカバク Tapirus terrestris
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保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||||||||
ワシントン条約附属書I[注釈 1] | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Taipiridae Gray, 1821[2] | |||||||||||||||||||||||||||
タイプ属 | |||||||||||||||||||||||||||
Tapirus Brisson, 1762[2] | |||||||||||||||||||||||||||
タイプ種 | |||||||||||||||||||||||||||
Tapirus terrestris (Linnaeus, 1758)[2] | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
バク科[3] | |||||||||||||||||||||||||||
属 | |||||||||||||||||||||||||||
バク(獏)は、奇蹄目に含まれるバク科(バクか、Tapiridae)の構成種の総称。現生種はすべてバク属(バクぞく、Tapirus)に分類される。
名称
[編集]英名 tapir (テイパー。ただしタピーアのように発音する人もいる)。ほか原産地(中南米および東南アジア)を除く世界の多くの言語では「タピル」(tapir)に近い名で呼ばれ、これらは全てブラジル先住民の話すトゥピ語 tapi'ira に由来している。
例外は日本語および中国語・韓国語で、近代以降分類学的な文脈でこの動物が知られるようになった際に、伝説上の動物「獏」(貘)の名を中国古書より借用し、これが定着した。日本語に関していえばキリンなどに類似の経緯である。
なお、古書に見る「獏」が実際にマレーバクを意味したものであったかどうかについては諸説あるが、古書における記述は分類学も記録メディアも存在しない中で雑駁とした伝説や伝聞を書きとめたものに過ぎない。体色の類似からジャイアントパンダとの混同もあったという。獏も参照されたい。
分布
[編集]北アメリカ大陸(メキシコ南部が北限)、南アメリカ大陸、東南アジア[3]
形態
[編集]最小種はTapirus kabomani[4]。成獣の体長は1.7-2m程度。体型は流線型で、薮の中を進むのに適している[3]。肩よりも腰の方が高い[3]。皮膚は分厚く、ヤマバクを除いて体毛は少ない[3]。ヤマバクは長い体毛で被われ、寒さから身を守るのに役立つと考えられている[3]。頸部に鬣状に体毛が伸長する種もいるが、これは捕食者から頸部を守る役割があると考えられている[3]。マレーバクは体色が前部と後部が黒・胴体中央部が白だが、これも夜間では体が分断されたように見え輪郭がつかめず捕食者から身を守る役割があると考えられている[3]。ブタのような体つきをし、ゾウの鼻のような口吻をもつ。
吻端は鼻と上唇があわさり、その先端に鼻孔が開口する[3]。眼は小型で眼窩の奥の方にあり、薮の中で眼が傷つきにくくなっている[3]。四肢は短く頑丈[3]。前脚が後脚よりも長いという特異な骨格構造を持つ。これは主な生息域には薮が多く、背丈の長い草を掻き分けて走ることに適した形状であるとされる。前肢の指は4本、後肢の趾は3本[3]。前肢の4本目の指は小型で高い位置にあり、柔らかい地面を移動する時にのみ用いられる[3]。指趾は蹄状になっているが、接地面は球状[3]。奇蹄目はその名が示すとおり、通常奇数の指をもつが、バクの各脚の指の数は、前脚が4本、後脚が3本である。
幼獣の体色は赤褐色で、白い斑点や筋模様が入る[3]。この体色も薮の中では保護色になると考えられている[3]。
分類
[編集]分子系統によると、奇蹄目の現生3科のうちバク科とサイ科が姉妹群で、ウマ科はやや離れている[5][6]。
以下のうち現生種の分類・英名はGrubb(2005)に、和名はMacKinnon・祖谷訳(1986)に従う[2][3]。
- †ヘスペラレテス Hesperaletes
- †Hesperaletes borineyi
- †Hesperaletes walshi
- †モタピルス Miotapirus
- †Miotapirus harrisonensis
- †プロタピルス Protapirus
- †Protapirus obliquidens
- †Protapirus simplex
- バク属 Tapirus
- †Tapirus webbi
- †Tapirus simpsoni - 最大のバク属。
- †Tapirus johnsoni
- †Tapirus priscus
- †Tapirus arvernensis
- †Tapirus augustus
- †Tapirus polkensis
- †Tapirus haysii
- †Tapirus veroensis
- Tapirus bairdii ベアードバク Baird's tapir
- Tapirus indicus マレーバク Malayan tapir
- Tapirus kabomani カボマニバク[4] アメリカバクと別種と判明したため新設
- Tapirus pinchaque ヤマバク Mountain tapir
- Tapirus terrestris アメリカバク South American tapir
生態
[編集]主に森林に生息する[3]。夜行性傾向が強い[3]。水辺を好み、採食や避暑・外部寄生虫から身を守るなどの理由から水中で過ごすことも多い[3]。幼獣を連れた母親以外は、主に単独で生活する[3]。危険を感じると水中へ逃げ込む[3]。
繁殖様式は胎生。周年繁殖する[3]。交尾前の儀式的な行動として、お互いに鳴き声を交し合う[3]。雌雄は互い違いの向きになり、お互いの陰部の臭いをかぎながら回り始める[3]。回るのが早くなると共に互いの耳介や脇腹・四肢に噛みついたり、吻端で腹を突く[3]。1回に1頭の幼獣を産む[3]。
人間との関係
[編集]皮革が利用されることもあり、手綱や鞭の原料とされることもある[3]。
森林伐採や農地開発・ダム建設などによる生息地の破壊、食用や皮革用・スポーツハンティングなどの狩猟により生息数が減少している種もいる[3]。
鶴見川水系を地図上にあらわすとバクの形に似ているので、バクが鶴見川のキャラクターとなっている。
画像
[編集]-
ヤマバク
-
ベアードバク
-
マレーバク
-
バク
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ アメリカバクはワシントン条約附属書II
出典
[編集]- ^ Appendices I, II and III<http://www.cites.org/>(accessed[リンク切れ] December 17, 2015)
- ^ a b c d Peter Grubb, "Order Perissodactyla," Mammal Species of the World, (3rd ed.), Volume 1, Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 629-636.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae Kathy MacKinnon 「バク」祖谷勝紀訳『動物大百科 4 大型草食獣』今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編、平凡社、1986年、44-45頁。
- ^ a b Mario A. Cozzuol, Camila L. Clozato, Elizete C. Holanda, Flávio H. G. Rodrigues, Samuel Nienow, Benoit de Thoisy, Rodrigo A. F. Redondo, Fabrício R. Santos, "A new species of tapir from the Amazon," Journal of Mammalogy, Volume 94, Issue 6, 2013, Pages 1331-1345.
- ^ Tougard, Christelle; Delefosse, Thomas; Hänni, Catherine; Montgelard, Claudine (2001), “Phylogenetic Relationships of the Five Extant Rhinoceros Species (Rhinocerotidae, Perissodactyla) Based on Mitochondrial Cytochrome b and 12S rRNA Genes”, Mol. Phylogenet. Evol. 19 (1): 34–44
- ^ Price, Samantha A.; Bininda-Emonds, Olaf R. P. (2009), “A comprehensive phylogeny of extant horses, rhinos and tapirs (Perissodactyla) through data combination”, Zoosyst. Evol. 85 (2): 277–292