バジェステル=モリナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
バジェステル=モリナ
訓練用の.22口径版
バジェステル=モリナ
種類 自動式拳銃
製造国 アルゼンチンの旗 アルゼンチン
設計・製造 イスパノ=アルゼンチン
年代 1938年-1953年
仕様
口径 .45、.22
銃身長 127mm
使用弾薬 .45ACP弾 .22LR弾
装弾数 7発
作動方式 ショートリコイル(.45)、ブローバック(.22)
全長 288mm
重量 1,130g
発射速度 セミオート
歴史 
関連戦争・紛争 第二次世界大戦
製造数 108,000以下
テンプレートを表示

バジェステル=モリナスペイン語: Ballester-Molina)は、アルゼンチン自動式拳銃イスパノ=アルゼンチンHispano Argentina Fábrica de Automotores Sociedad Anonima)が製造した。

開発[編集]

アルゼンチン警察に採用されていたシステマ・コルト M1927[注 1]を、安価に代替する目的で開発された。

その目的から、デザインは既存のM1927と類似したものとなった。弾倉、リコイル用のスプリング銃身、バレル・ブッシングは互いに流用が可能であった。他のパーツも外見は同様であるが、流用はできなかった。部品の多くが流用できるものの、バジェステル=モリナは、メーカー名のHAFDASAを冠して知られる銃となった。また、1940年までは、バジェステル=リガウ(Ballester-Rigaud)と呼ばれ、当初の刻印は"Pistola Automatica Calibre .45 Ballester-Rigaud, Modelo DGME 1938."であった[1][注 2]

機構[編集]

ショートリコイル機構を持つ自動式拳銃である。シングルアクショントリガーは、M1911のスライド式ではなく、回転軸を中心とするものであった。撃鉄の安全装置は手動レバーのみであり、握ると解除されるグリップセーフティーは備えていない。グリップは当初は製であったが、後にプラスチックに変更されている[1]

配備[編集]

アルゼンチン陸軍1938年に採用した。その後1940年-42年にかけてイギリスに輸出されている。

アルゼンチン銃器雑誌「Magnum」が、2007年9月に発表したところによると、イギリス向けの輸出品は、自沈した装甲艦アドミラル・グラーフ・シュペー」ので製造されたとする伝説は真実であるとした。また、専門家である"Alejandro Gherovici"は、イギリス向けのレンドリースによる鉄が、アルゼンチンに送られたものにより製造されたとしている[1]。 イギリスでは第8軍特殊作戦執行部に配備され、生産数は10,000-15,000と見られている。特に特殊作戦執行部向けには、占領地や敵地でイギリス製の装備の使用を避けるために用いられた。イギリス向けのものには、Bから始まる12000-21000のシリアルナンバーが割り当てられた。

バリエーション[編集]

訓練用の22口径モデルが存在する。外見は刻印を除き酷似しているが、機構は威力の低いリムファイア弾に適したブローバック式となっている。この型の生産数は少数に留まっている。また、銃身を延長したものも存在している[2]

採用国[編集]

[編集]

  1. ^ M1911を、コルト社の技術支援の下でライセンス生産したもの
  2. ^ HAFDASAのデザイナーは、後にチーフデザイナーとなるフランス人Rorice Rigaudと、後に最高経営責任者となる経営者の親族カルロス・バジェステル・モリナ(Carlos Ballester Molina)

出典[編集]

  1. ^ a b c Ballester-Molina Service Pistol”. 2012年11月15日閲覧。
  2. ^ ブエノス・アイレスの博物館の展示品

参考文献[編集]

  • Hogg, Ian; Gander, Terry Jane's Guns: Recognition Guide London and New York City: HarperCollins Publishers. Fourth Edition, 2005. ISBN 0-00-718328-3.[1]
  • Arbones, Jorge E. "Magnum" Buenos Aires, Argentina magazine: "Ballester Molinas Peronistas y Ballester Molinas Inglesas," September 2007

外部リンク[編集]