バックパス・ルール
バックパス・ルール (英語: back-pass rule) は、サッカーの競技規則第12条に記されている規則である[1]。
概要
[編集]バックパス・ルールは、同じチームに属するサッカー選手がゴールキーパーへと「意図的に」ボールを「蹴った」場合もしくはスローインのボールをゴールキーパーへと戻した場合に、ゴールキーパーがそのボールを手で扱うことを禁止した規則である[2]。
バックパス・ルールでは反則を犯した選手はバックパスを出した選手ではなく、ボールを手で扱ったゴールキーパーとなる。従って、ゴールキーパーがバックパスを手で扱った場所から対戦相手に間接フリーキックが与えられる。ただ、バックパス・ルールの反則を犯してフリーキックが与えられるという実例は少ない。
バックパス・ルールは以下の3つの節から成り立っている。
- ゴールキーパーと同じチームに属する選手によりボールが蹴られた(足でのプレー、膝、太腿、脛は含まない)際に、
- ゴールキーパーが直接ボールを手で扱う(間に他の選手のボールへの関与が一切ない場合、「手で扱う」行為にはボールに手で触れる行為、片手もしくは両手による捕球行為を含む)行為が行われた場合、
- この行為は審判により、ゴールキーパーへの意図しないミスキックとしてではなく故意かつ意図的なプレーであるとみなされる。
バックパス・ルールには非常に重要な例外がある。プレーヤーが頭部、胸部、膝によってゴールキーパーにバックパスを送った場合はゴールキーパーはボールを手で扱うことができる。また、同じチームに属する選手が故意ではなくボールをゴールキーパーに戻す場合でもゴールキーパーはボールを手で扱うことができる。例えば、ディフェンダーがボールをクリアする際にキックミスなどでボールがゴールキーパーの方向へと転がった場合などである。この場合はゴールキーパーはボールを手で扱うことができる。
バックパスはアイルランド代表GKパット・ボナーの時間稼ぎ行為が話題となった1990 FIFAワールドカップ終了後、時間稼ぎのプレーや、過度に守備的なプレーを減らすため1992年に導入された[3]。また、リヴァプールFCのブルース・グロベラーは一度ボールを手でキャッチし、ボールを手から離した後少しドリブルをし、相手選手が接近してきた場合に再度ボールを手で扱い時間稼ぎをするといったプレーを頻繁に用いるゴールキーパーとして知られていた。これを防ぐため、バックパス・ルールと同時にこの行為を防ぐ目的を意図したルールが導入されており、一度手から離したボールを他のプレーヤーを介さずに手で扱うことを禁止している。このルールを破り反則を犯した場合も間接フリーキックが与えられる。
2011年11月にバックパス・ルールの反則を取られ滑稽なゴールを決められた後、ストーク・シティの代表ピーター・コーツは「競技規則のあの部分は実際には全く機能していない。私はゴールキーパーへのバックパスでフリーキックが与えられた場面を最後に見た時期を覚えていない。至極当然のように無視されてきたように思う」と述べた[4]。
脚注
[編集]- ^ “Laws of the Game”. fifa.com (2009年7月4日). 2012年1月23日閲覧。
- ^ “Laws of the Game - 2010/2011, p. 33; 112”. fifa.com. 2012年1月23日閲覧。
- ^ “The History of the Laws of the Game - From 1863 to the Present Day”. fifa.com. 2012年1月23日閲覧。
- ^ “Peter Coates criticises Howard Webb's display at Bolton”. BBC Sport. (2011年11月9日) 2013年1月23日閲覧。