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バリオバーン (シドニー・ライトレール)

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バリオバーン > バリオバーン (シドニー・ライトレール)
バリオバーン(シドニー・ライトレール)
シドニー・ライトレール2100形電車
2104(2013年撮影)
基本情報
製造所 アドトランツ
製造年 1996年
製造数 7両(2101 - 2107)
運用開始 1997年
運用終了 2015年
投入先 シドニー・ライトレール英語版インナーウエスト・ライトレール
主要諸元
編成 5車体連接車、両運転台
軸配置 Bo′+2′+Bo′
軌間 1,435 mm
電気方式 直流750 V
架空電車線方式
最高速度 80 km/h
起動加速度 1.2 m/s2
車両定員 着席60人
立席157人
(乗客密度4人/m2時)
車両重量 36.0 t
全長 28,020 mm
全幅 2,650 mm
全高 3,350 mm
床面高さ 350 mm
290 mm(扉部)
(低床率100 %)
台車 独立車輪式台車
車輪径 630 mm
主電動機 誘導電動機
主電動機出力 45 kw
出力 360 kw
備考 主要数値は[1][2][3][4][5]を参照。
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この項目では、かつてオーストラリアシドニー路面電車ライトレール)であるシドニー・ライトレール英語版で使用されていた超低床電車バリオバーンについて解説する。1997年に開通したインナーウエスト・ライトレールへ向けて7両が導入されたが後継車両の導入に伴い2015年に営業運転を終了し、1両を除いて解体された[1][2][3][6]

概要

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オーストラリアの大都市・シドニーには1879年から営業運転を開始したスチームトラム牽引の客車列車による路面軌道を始祖とする路面電車が存在し、1950年代には290 kmにも及ぶ大規模な路線網が存在していた。だが、モータリーゼーションの進展の中で自家用車路線バスへの急速な置き換えが進んだ結果、1961年2月25日をもってシドニーから路面電車は一旦姿を消した[7][8]

その後、石油危機や環境問題への意識の高まりを受けて路面電車の見直しが進み、シドニーでも都市の再開発に合わせて輸送力が高い路面電車(ライトレール)を復活させる動きが始まり、ABBグループの鉄道部門であるABBトランスポーテーション(→アドトランツ)を主体とした企業グループによって、建設・運営組織となるシドニーライトレール(Sydney Light Rail、SLR)が設立された。そして、同社がアドトランツ[注釈 1]へ向けて発注を実施したのが、同社が開発した超低床電車のバリオバーンであった[10][1][4]

バリオバーンは台車がないフローティング車体を挟んだ連接式路面電車車両で、台車に車軸が存在しない独立車輪式台車を用いる事で車内の段差をなくし、車内全体の床上高さを抑えた100 %低床構造を実現させているのが特徴である。そのため、前後車体に設置されている動力台車は各車輪の外側に主電動機が設置され、継手によって直接動力が伝えられるハブモーター駆動が採用されていた。座席は2 + 2人掛けのクロスシートを基本としていたが、車幅を2,650 mmと広く取っている事から通路の幅を広く取る事が可能となっていた[1][4][11]

車両番号は「2101」から始まっていたが、これはシドニー市電最後の車両となったR1形・2087(1953年製)の続番とした事が理由である[1]

運用

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1996年から製造が行われ1997年から納入が始まった車両は、同年8月11日から始まった試運転を兼ねた無料運転に使用された後、8月31日に実施されたライトレールの開業式典を経て翌9月1日から営業運転を開始した。開通に備えて導入された車両は7両(2101 - 2107)であったが、そのうち2106は2013年に発生した脱線事故で損傷し廃車・解体された。それ以外の6両は以降も営業運転に使用されたが、新型車両のウルボス3が導入された事に伴い、2015年に営業運転から撤退した[1][12]

引退後は全車両とも売却が検討されていたものの買い手は現れず、3年半もの間屋外に留置された後にほとんどの車両が解体された。しかし、ラストナンバーの2107のみ解体を逃れ、2018年10月シドニー路面電車博物館英語版へと搬入された。それ以降は他車の部品も用いた修復作業が実施されており、将来的には動態保存運転が計画されている。ただし、2020年時点で冷房装置や制御装置を始めとした車両自体の修復のみならず、博物館の保存路線の分岐器架線がバリオバーンの構造と適合していない事など施設側の都合もあり、乗客を乗せない短距離の走行のみ許可されている状況である[2][3][13]

脚注

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注釈

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  1. ^ アドトランツはABBトランスポーテーションとAEGの鉄道部門が合併し1996年に発足した企業である[9]

出典

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  1. ^ a b c d e f 服部重敬 1998, p. 82.
  2. ^ a b c Sale of Variotram light rail vehicles - TfNSW 2015/009”. Transport for NSW (2015年5月15日). 2020年9月29日閲覧。
  3. ^ a b c Sydney Variotram 2107 arrives at Loftus”. Sydney Tramway Museum. 2020年9月29日閲覧。
  4. ^ a b c Sydney Inner West Light Rail Construction and Extension, Australia”. Railway Technology. 2020年9月29日閲覧。
  5. ^ Harry Hondius (2002-7/8). “Rozwój tramwajów i kolejek miejskich (2)”. TTS Technika Transportu Szynowego (Instytut Naukowo-Wydawniczy „SPATIUM” sp. z o.o): 38. http://yadda.icm.edu.pl/yadda/element/bwmeta1.element.baztech-article-BGPK-0379-2650/c/Hondius.pdf 2020年9月29日閲覧。. 
  6. ^ Sydney Light Rail”. Transdev. 2020年9月29日閲覧。
  7. ^ 服部重敬 1998, p. 79.
  8. ^ 服部重敬 1998, p. 80.
  9. ^ 服部重敬「特集 新潟トランシス」『路面電車EX 2017』第10巻、イカロス出版、2017年10月20日、44頁、ISBN 978-4802204231 
  10. ^ 服部重敬 1998, p. 81.
  11. ^ Variobahn”. Stadler. 2012年9月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月29日閲覧。
  12. ^ “Sydney’s light rail extension opens”. Trolley wire (South Pacific Electric Railway) 55 (2): 22. (2014-5). ISSN 0155-1264. https://www.sydneytramwaymuseum.com.au/tramway/wp-content/uploads/bsk-pdf-manager/337_-_Trolley_Wire_-_May_2014_219.pdf 2020年9月29日閲覧。. 
  13. ^ Variotram FAQ”. Sydney Tramway Museum (2020年7月). 2020年9月29日閲覧。

参考文献

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  • 服部重敬「シドニーで路面電車復活! オーストラリア路面電車最新事情」『鉄道ファン』第38巻第8号、交友社、1998年8月1日、79-86頁。