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バンダイホビーセンター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
バンダイナムコホールディングス > BANDAI SPIRITS > バンダイホビーセンター
バンダイホビーセンター

バンダイホビーセンター(BANDAI HOBBY CENTER)は、静岡市葵区にあるBANDAI SPIRITS(旧:バンダイホビー事業部)の事業所兼工場2006年3月1日に旧静岡工場(静岡ワークス)より移転、稼働を開始した。

同社が販売している『ガンダムシリーズ』のプラモデルガンプラ)の、国内唯一の製造拠点である。

概要

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バンダイホビー事業部は元々静岡市清水区にあった静岡ワークスでプラモデルの設計・製造を行っていた。静岡ワークスは当初今井科学の模型工場であったが、今井科学の経営悪化に伴い1969年に同社より建物設備を買い取り、サンダーバードや昆虫等のプラモデル製造を開始。1980年からはガンプラの製造を開始し、以後バンダイのプラモデル事業の最重要拠点として稼働してきた。

2004年、ホビー事業部の佐々木克彦(現ホビー事業部 ホビーセンター長)がホビーセンター建設構想を社内で取りまとめ会社に提案した。提案の目的は、拠点の集約化を行って生産・改善(例えばクレームに対応した改善など)等のスピードアップを図るとともに、社員のコミュニケーションを深めることであった。提案は承認され、翌2005年日東紡静岡工場跡地である現在地を静岡県土地開発公社より取得、建設が開始される。

2006年2月、バンダイホビーセンターが竣工し静岡ワークスの移転と同時にそれまで別建物だった成形工場、金型工場といった製造工場を全て集約した。併せて製造ラインもほとんどが自動化され、製造効率の向上が図られている。

建物内にある製造ラインには東芝機械(現・芝浦機械)と共同開発した、世界で唯一の4色多色射出成形[1]が17台配備され稼働している。この多色射出成形技術はバンダイの特許となっている。ちなみにこの成形機が1/60プラモデルとして販売された[2]。また高性能な光造型機など新たな機材も導入されている[3]

バンダイナムコグループの再編に伴い、2018年4月1日に、バンダイから新会社「BANDAI SPIRITS」へ移管された[4][5][6][7]

現在はBANDAI SPIRITSが展開するプラモデルの企画・開発・試作・製造をこの建物内で一貫して行っている[8]。なお単色の成形は近隣の協力会社に委託されることもある[3]

特徴

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国内唯一のガンプラ製造拠点として、『機動戦士ガンダム』の世界観を随所に取り入れている。一例として、建物外壁の高さは初代ガンダムの(設定上の)高さと同じであり、壁面には同作品に関わるエンブレムやイラスト等が掲出されている。製造ラインにおいても、プラモデルの部品を製造する射出成型機はホワイトベース(3台のみ黒い三連星を模したドム[9])、自動搬送機はザクシャア専用ザクを模した装飾がそれぞれ施されている[10]

従業員は全員地球連邦軍の軍服を模した作業服を着用しており(企画設計は白系、工場勤務は紺系[9])、袖には社内の役職に応じて11種類設定された階級章や、技能指導者を示すワッペンが付けられている[3]

他にもガンダムへのこだわりが徹底しており、同作品のファンや特にガンプラの愛好者からは「ガンプラの聖地」と呼ばれることもある。またアニメ『ケロロ軍曹』に登場する「ガンプラ工場」は、静岡ワークスやバンダイホビーセンターがベースとなっている(ただし作品中に登場する建物はフィクション)。

世界観へのこだわりだけでなく、環境対策にもこだわった造りとなっており、壁面に太陽光発電パネルが埋め込まれて施設の電力の一部を賄っているほか、雨水や地下水の再利用システム、ゼロ・エミッションの実践など徹底して環境負荷低減に取り組んでいる。

施設の一部は見学できるようになっており、1階エントランスには1979年からホビー事業部で発売したプラモデルの展示コーナー、2階は実際の製造ラインが見学できる通路や店舗の陳列サンプルが設置されているプロモーションルーム、過去の貴重な資料が展示されているアーカイブコーナー、3階は実際に従業員が勤務している事務室や試作用の光造型機「エデン」などを見ることができる。見学は日時、定員指定の完全予約制であるため、毎回見学希望者が多数に上り抽選になるほどの人気となっていた[11]。COVID-19の影響により、2019年10月から工場見学は中止しており、2024年時点でも再開していない[12]

2008年5月17日 - 18日に開催された第47回静岡ホビーショーに合わせてパブリックビューイングと題し、2日間限定で初めて1階および2階の一部の見学コースが一般開放された。翌年の2009年5月16日 - 17日も第48回静岡ホビーショーに合わせて一般開放されたが、2010年以降は行われていない。

2015年時点での生産能力は1日で1万個の商品とされる[3]

2018年現在、ガンプラの金型は全て保管されており、最初の製品であるガンダムの金型も良好な状態が保たれている[9]

新館

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2020年12月1日からバンダイホビーセンター敷地内で稼働した工場。成形建屋。多色成形機6台を増設、建設計画時(2019年)の約1.4倍の生産が可能となる[13]

新工場(予定)

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BANDAI SPIRITSはより安定的な生産体制確保を目的とし、2022年4月28日に隣接する約4,506坪の土地を取得、2024年稼働開始予定で新工場建設を決定している[14]

敷地

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2020年11月 新館新設時点

  • 全体敷地面積:12,261㎡
  • 延床面積:「本館」8,767㎡(3階建て)・「新館」1,488㎡(平屋)
  • 従業員数:133名(請負含め従事者:167名)(2020年11月現在)
  • 多色成形機台数:35台(電動25台/油圧10台) ※グループ会社貸与含む

アクセス

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脚注

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  1. ^ 通常、一般的に射出成形機は1つの金型で1色しか成形できないが、多色射出成形機は特殊な金型と複数の樹脂注入口を設けることで、複数色の樹脂を色分けされた1つの部品として成形することができる。通常、一般的に多色射出成形機で一度に成形できるのは2色までだが、バンダイでは独自の技術により1つの金型で一度に4色の成形が可能となっている。
  2. ^ ガンプラじゃなくて「ガンプラを作る機械」のプラモ
  3. ^ a b c d バンダイホビーセンター徹底取材第1弾! 応募者殺到! 大人気の工場見学リポート!!”. ファミ通. 2021年12月26日閲覧。
  4. ^ 子会社の組織再編についてバンダイナムコホールディングス 2018年2月9日
  5. ^ バンダイナムコグループ中期計画(2018年4月~2021年3月) CHANGE for the NEXT 挑戦・成長・進化バンダイナムコホールディングス 2018年2月9日
  6. ^ バンダイナムコグループ再編、バンダイナムコアミューズメント設立。バンダイビジュアルはランティスと統合されバンダイナムコアーツにGame Watch 2018年2月9日
  7. ^ バンダイナムコグループ主要会社の機構改革及び執行役員・部長職人事についてバンダイナムコホールディングス 2018年2月21日
  8. ^ 外箱および説明紙の印刷・梱包・出荷は静岡市内にある複数の委託会社で、営業・プロモーションは東京都台東区の本社で行っている。
  9. ^ a b c 「プラモデル工場 売上躍進のヒミツ」 - 探検バクモン
  10. ^ バンダイ こどもひろば - バンダイホビーセンター
  11. ^ 2009年9月以降工場見学の申込み受付は中止されていたが、2010年6月15日付で再開された。
  12. ^ 2019年10月からの見学受付に関するお知らせ”. BANDAI SPIRITS. 2024年5月9日閲覧。
  13. ^ ガンプラをはじめとしたプラモデル生産能力を強化!バンダイホビーセンター新館が12月1日より稼動!電ホビ 2020年12月1日
  14. ^ 「バンダイホビーセンター」新工場建設計画について」株式会社バンダイナムコホールディングス 2022年4月28日

外部リンク

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座標: 北緯34度59分20.8秒 東経138度24分41.9秒 / 北緯34.989111度 東経138.411639度 / 34.989111; 138.411639