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バンプ・アヘッド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『バンプ・アヘッド』
MR. BIGスタジオ・アルバム
リリース
ジャンル ハードロック
レーベル アトランティック・レコード
プロデュース ケヴィン・エルソン
チャート最高順位
MR. BIG アルバム 年表
ロウ・ライク・スシ II
1992年
バンプ・アヘッド
1993年
ロウ・ライク・スシ?
1994年
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バンプ・アヘッド』(Bump Ahead)は、アメリカハードロックバンドMR. BIGスタジオ・アルバムである。

概要

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前作『Lean Into It』から2年5ヶ月ぶり、3作目となるスタジオ・アルバム。

「To Be With You」の大ヒットによって一躍人気を博して以降、レコード会社からの大きなプレッシャーを受けながら、このアルバムを制作した。1993年4月にレコーディングは終了しており、6月にリリースされる予定だったが、完成品を聴いた会社側から「このアルバムには『To Be With You』のような強力なバラードがない。このままでは出せない」と突き返されてしまい、大量のバラード曲のデモ制作を余儀なくされた。音楽雑誌のインタビューも、受けている段階での差し替えとなった。このため、実際のアルバムの内容と、掲載済みのインタビューやライナーノーツとの内容が若干異なっている。結果、キャット・スティーヴンスの「ワイルド・ワールド」のカバーを追加収録するなど、新たに数曲を差し替えた上で、9月にようやくリリースに漕ぎ着けた。アルバムの完成度は高く、シンセサイザーストリングスを大胆に導入した曲もあり、音楽性の広がりを感じさせる作品となっている。

アルバム・タイトルは、前作「LEAN INTO IT」や「HEY MAN」と同様パットの発案でつけられたもの。パットが、サンフランシスコ図書館で道路のマンホールから男性が頭だけを覗かせているというユニークな写真を偶然見つけ、それを他のメンバーに見せたところ、ビリーが「bump ahead」と発したことがきっかけ。ちなみにbump aheadという言葉は「Look out!(気をつけろ!)」という意味と「もう一歩前進しろ」というダブル・ミーニングでもある。また、次作「HEY MAN」のタイトルも、既にこのアルバム制作時点で考案されている。

ポールによると、ブライアン・アダムスとのツアーに出る前の段階で「What’s It Gonna Be」「Mr. Gone」、そしてアウトテイクとなった「Stand By Me」は既にデモを録り終えていたという。

差し替えにおける追加収録曲として、最終的にはキャット・スティーヴンスのカヴァー「Wild World」が選ばれたが、ほかに候補として「Hold Your Head Up」や「Some Kind Of Wonderful」(この曲はHEY MANツアーにおけるドラムソロで披露されたこともあった)、SLEEZE BEEZのナンバーなども挙がっていた。また差し替え前のインタビューで語られていたオリジナル曲「Stand By Me」「Next Time Around」は、差し替えに当たって削除されている(「Next Time Around」「Hold Your Head Up」はのちに再結成後の4thベストアルバム「NEXT TIME AROUND」に収録された)。

後に、ライブ・アルバム「JAPANDEMONIUM」に収録された新曲「Seven Impossible Days」は、レコード会社からやり直しを命じられたことにポールがショックを受けたことを歌にしたもの。エリックは「たまにはこういうこともある、流れに乗ることも時には必要なんだからそんなに落ち込むな」とポールを慰めたそうだが、ポールにとってはかなり心に傷が残る出来事だったようだ。

ポールは差し替え前に受けたインタビューで、その時点では収録される予定だった(後にお蔵入りになった)曲についても解説している。まず「Stand By Me」は、実はポールが初めて12弦ギターを購入した際に考えついたリフを基に書いた曲だとのこと。曲の原型は、前作「LEAN INTO IT」で既に出来上がっており、その時点で他のメンバーにも聞かせたが、結局その際はアルバムへの収録は見送られ、今回パットと2人で改めてアレンジを施して完成したとのこと。

もう1曲のアウトテイク「Next Time Around」は、バンド結成時点で既にあった曲で、ポールの記憶によると、バンドとして初めてのギグの1曲目としてこの曲を演奏し、さらに初のサウンドチェックの際もこの曲を演奏したという。この曲はコーラスがかなりの比重を占める曲だが、バンド結成当初はまだバックヴォーカルを取りながら楽器を演奏することにさほど慣れておらず、当初は収録を見送っていたものの、その後コーラスに大分自信がついたので、今回収録することにしたと語っている。また、曲のイントロではポールとビリーでタッピングを行っているが、これはEL&Pの「Karn Evil 9」のイントロに入っているキーボードソロをギターで再現しようと試行錯誤しているうちに、タッピングのアイディアを思いついたとのこと(ちなみに「Karn Evil 9」はポールのギター教則ビデオ「GUITARS FROM MARS 2」でも取り上げており、ポールが歌いながらギター演奏を行っている)。

デビュー20周年の2009年に、再結成&ジャパン・ツアー記念エディションとしてリマスタリング&ボーナス・トラック収録で、日本で再発売された。

収録曲

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  1. コロラド・ブルドッグColorado Bulldog (4:14)
  2. プライス・ユー・ガッタ・ペイPrice You Gotta Pay (3:55)
  3. プロミス・ハー・ザ・ムーンPromise Her The Moon (4:07)
    バラード・ベストアルバム『Deep Cuts』ではリメイクされている。
  4. ワッツ・イット・ゴナ・ビーWhat's It Gonna Be (3:54)
  5. ワイルド・ワールドWild World (3:27)
    ロンドン出身のシンガー・ソングライターキャット・スティーヴンスカバー
  6. ミスター・ゴーンMr. Gone (4:35)
  7. ザ・ホウル・ワールズ・ゴナ・ノウThe Whole World's Gonna Know (3:53)
  8. ナッシング・バット・ラヴNothing But Love (3:58)
  9. テンパラメンタルTemperamental (4:55)
  10. エイント・シーン・ラヴ・ライク・ザットAin't Seen Love Like That (3:31)
  11. ミスター・ビッグMr. Big (4:16)
    バンド名の由来となったイギリスロックバンドFreeのカバー。
  12. ロング・ウェイ・ダウンLong Way Down (3:48)
    ボーナス・トラック (日本盤のみ)。
  13. エイント・シーン・ラヴ・ライク・ザット (アーリー・ヴァージョン)
    2009年の再発盤によるボーナス・トラック。
  14. ミスター・ビッグ (デモ・ヴァージョン)
    2009年の再発盤によるボーナス・トラック。