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バーバリライオン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
バーバリーライオンから転送)
バーバリライオン
1898年の絵
保全状況評価
EXTINCT IN THE WILD
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 食肉目 Carnivora
: ネコ科 Felidae
: ヒョウ属 Panthera
: ライオン P. leo
亜種 : バーバリライオン P. l. leo
学名
Panthera leo leoLinnaeus, 1758
和名
バーバリーライオン
英名
Barbary Lion
Atlas Lion
Nubian Lion

バーバリライオンPanthera leo leo)は、食肉目ネコ科に属するライオンの一亜種で、アフリカ北部(マグリブ。現在のリビアからモロッコにかけて)に生息していた野生絶滅種。別名アトラスライオン。腹や背中にまで達する厚く長いたてがみが特徴的である。

剥製の大きさはオスは全長2.35~2.8m、メスは全長2.5m。頭骨は30.85~37.23cmでこの記録だけ見ると並のライオンと変わらない。19世紀のハンターの主張では、バーバリライオンは最大のライオンであり、野生のオスの体重は270kg~300kgの範囲にあったと言われるが具体的数値の情報に乏しい[1][2][3]。バーバリライオンは他の哺乳類と逆に野生個体よりも飼育個体のほうが小型化する傾向にあった。これは飼育していたローマ帝国や当時の動物園などが使い捨てとして劣悪な飼育環境で飼育していた事に起因する。他のライオンとは違い、山間の森林を好む。古代古典上で見られるガエトゥリライオンは、特徴がバーバリライオンに似た印象を持つ。

絶滅

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Sultan the Barbary Lion, New York Zoo, 1897

古くから人間の活動が盛んであった地中海周辺では、バーバリライオンの雄姿は見世物として重宝された。カエサルは400頭、ポンペイウスは600頭のバーバリライオンを戦勝パレード用にローマに連れてきたという。競技場で剣闘士と戦わされたともいう。

ローマ帝国が衰亡した後も、人間の活動域の拡大に伴ってバーバリライオンの生息地は減っていった。そして近代にはいると、娯楽としての狩猟と動物園用の捕獲がさらにバーバリライオンを追いつめた。アルジェリアチュニジアからは1891年に姿を消し、モロッコでは最後の野生個体が1922年に射殺され絶滅したというのが通説となっていた。

しかし、後の調査によってアルジェリアモロッコに小規模の個体群が1960年代まで生存していた可能性が示唆されている。[4]

再発見

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ラバト動物園のバーバリライオン。2020年撮影。

その後の調査で1996年に再発見され、2007年に1頭生息しているのが確認された[5]。(しかし、これは純血種のバーバリライオンではない)また、混血種の飼育下繁殖は現在でも行われており、フランスの動物園で50頭ほど飼育されている[6]

その後、原産地のモロッコのムハンマド5世の私的動物園で、かつて献上品として捕獲されたバーバリライオンの血統を色濃く受け継ぐライオン達が飼育され続けており、全世界で確認されている個体数の半数にあたる32頭の個体群が生き残っていた事実が判明。2012年に首都ラバトに開園したラバト動物園にて、繁殖の取り組みが行われている。また動物園開業直後には3頭の子ライオンが誕生するという明るいニュースが伝えられた[7]

Alfred Edward Peaseによって撮影されたモロッコのバーバリライオン (1893年)

エピソード

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フランスの国立自然史博物館に展示されている雌雄一組の標本

脚注

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  1. ^ Mazák, V. (1970). “The Barbary lion, Panthera leo leo (Linnaeus, 1758); some systematic notes, and an interim list of the specimens preserved in European museums”. Zeitschrift für Säugetierkunde 35: 34−45. 
  2. ^ Hemmer, H. (1974). “Untersuchungen zur Stammesgeschichte der Pantherkatzen (Pantherinae) Teil 3. Zur Artgeschichte des Löwen Panthera (Panthera) leo (Linnaeus, 1758)”. Veröffentlichungen der Zoologischen Staatssammlung 17: 167–280. https://archive.org/stream/verfentlichungen171974zool#page/n215/mode/2up. 
  3. ^ Mazák, J. H. (2010). “Geographical variation and phylogenetics of modern lions based on craniometric data”. Journal of Zoology 281 (3): 194–209. doi:10.1111/j.1469-7998.2010.00694.x. 
  4. ^ Black, S. A.; Fellous, A.; Yamaguchi, N.; Roberts, D. L. (2013). “Examining the Extinction of the Barbary Lion and Its Implications for Felid Conservation”. PLOS ONE 8 (4): e60174. doi:10.1371/journal.pone.0060174. PMC 3616087. PMID 23573239. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3616087/. 
  5. ^ BBC NEWS Africa
  6. ^ 希少なバーバリライオンの子ども、順調に生育
  7. ^ アトラスライオンを絶滅から救え、ラバト動物園の挑戦
  8. ^ バーバリライオンと明記されてないが舞台の場所と「黒いライオン」という表現から、これを指していると分かる。

関連項目

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