パイサ
パイサ(paisa、ヒンディー語: पैसा、グジャラート語: પૈસા、マラーティー語: पैसे、ネパール語/ヒンディー語: पैसा、ウルドゥー語: پیسہ)、ないし、ポイシャ(poysha、ベンガル語: পয়সা)、バイシャ(アラビア語オマーン方言: بيسة)は、いくつかの国々における通貨の補助単位。この言葉は、金や富に関する熟語に組み込まれている。インド、ネパール、パキスタンでは、現行のパイサは、1ルピーの 1⁄100 である。バングラデシュでは、1ポイシャ (poysha) が1タカの 1⁄100である。オマーンでは1バイサ (baisa) が1オマーン・リアルの 1⁄1000 である。
語源
[編集]「パイサ」という言葉は、サンスクリット語の「パダームシャ (padāṁśa)」に由来しており、その意味は「足」ないし「4分の1」を意味する「パダ (pada)」と「部分」を意味する「アムシャ (aṁśa)」から、「4分の1とされた部分」といったものであった[1][2]。別の説では、この言葉は、スペイン語のペソやペセタの元にもなった、ポルトガル語の「ペサ (pesa)」から変化したものだとする。ペサは、植民地時代のケニヤでも用いられていた。ビルマ語で金銭を意味する俗語「パイッサン(paiksan、ပိုက်ဆံ)は、ヒンディー語のパイサに由来するとされる[3]。
歴史
[編集]1950年代までのインドとパキスタンでは、さらに1847年までのイギリス領インド帝国では、1パイサは3ピー、1⁄4アナ、すなわち、1⁄64 ルピーであった。貨幣単位の十進化を経て、パイサはルピーの1⁄100とされ、しばらくの間「ナヤ・パイサ (naya paisa)」(「新パイサ」の意)と呼んで、1ルピーの 1⁄64であった従来のものと区別をした。
用語法
[編集]ヒンディー語、ベンガル語、ダリー語(アフガン・ペルシア語)、ウルドゥー語などにおいては、この言葉は、金銭、ないし、現金を意味する。アラビア海をまたぐようにインド、アラブ地域、東アフリカを結んでいた中世の交易ルートを通して、インド亜大陸やアラブの通貨に関する用語法が広がった[4]。「ペサ (pesa)」は、スワヒリ語など東アフリカの諸言語において金銭を意味するが、これは中世にまで遡るものである[4]。この古来の用語法の事例としては、ケニアの携帯電話を用いた送金サービスである M-Pesa(「mobile pesa」すなわち「モバイル・マネー」の意)などがある。
定義
[編集]- バングラデシュ:1 ポイシャ = 1⁄100 タカ(既に流通していない)
- インド:1 パイサ = 1⁄100 ルピー(既に流通していない)
- ネパール:1 パイサ = 1⁄100 ルピー
- オマーン:1 バイサ = 1⁄1000 リアル
- パキスタン:1 バイサ = 1⁄100 ルピー(2014年10月1日からのデノミネーションによる)[5]
ギャラリー
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100 オマーン・バイサ札(裏面)
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100 オマーン・バイサ札(1990年)
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50 バングラデシュ・ポイシャ硬貨(2001年)
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50 バングラデシュ・ポイシャ硬貨(2001年、裏面)
脚注
[編集]- ^ "paisa". Free Merriam-Webster Dictionary. Merriam-Webster. 2015年2月3日閲覧。
- ^ “pada”. spokensanskrit.de (version 4.2). 2015年2月3日閲覧。
- ^ Myanmar-English Dictionary. Myanmar Language Commission. ISBN 1-881265-47-1
- ^ a b Jeffreys, M. D. W. (1953). “Cowry: Ndoro”. NADA: The Southern Rhodesia Native Affairs Department Annual (Government of Southern Rhodesia) (30) 2015年2月3日閲覧. "...currency terms pesa, upeni, mali, khete, tickey all derive from Hindu or Arabic currency terms still in use in what was once called the Erythraean Sea"
- ^ “Pakistani Coins”. State Bank of Pakistan. 2020年11月19日閲覧。