パトモス島の聖ヨハネ (バルドゥング)
ドイツ語: Johannes auf Patmos 英語: St. John the Evangelist on Patmos | |
作者 | ハンス・バルドゥング |
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製作年 | 1511年ごろ |
種類 | 板上にテンペラと金 |
寸法 | 87.3 cm × 75.6 cm (34.4 in × 29.8 in) |
所蔵 | メトロポリタン美術館、ニューヨーク |
『パトモス島の聖ヨハネ』(パトモスとうのせいヨハネ、独: Johannes auf Patmos、英: St. John the Evangelist on Patmos)は、ドイツ・ルネサンス期の画家ハンス・バルドゥングが板上に油彩で描いた絵画で、本来、三連祭壇画の右翼パネルをなしていた[1][2][3]。バルドゥングがアルブレヒト・デューラーの工房から独立して約5年後の1511年ごろに制作されたと記録に記されている[1][2]。1983年に、さまざまな基金、財団、個人からの援助で購入されて以来[1][2]、ニューヨークのメトロポリタン美術館に所蔵されている[1][2][3]。
作品
[編集]福音書記者で使徒の聖ヨハネは、ローマ皇帝ドミティアヌスによってエーゲ海の小島パトモス島に追放される[4]が、そこで神の啓示を得て、「ヨハネ黙示録」を記したと伝えられる[5][6]。
ヨハネは明るい赤色の衣服を身に着け、画面左上部にいる「黙示録の女」の幻影 (ヨハネ黙示録12:1-6) を見ながら[4][5][6]、膝の上で「黙示録」を執筆している[1][2]。画面下部左側にいる鷲はヨハネの象徴である[1][2]。幻影の女性は幼子イエス・キリストを抱いた聖母マリアとして表されており、鮮やかな青色の衣服を纏い、雲に縁取られたマンドルラ (アーモンド型の光背) の中に登場している[3]。「黙示録」の幻視は、ハンス・メムリンク、デューラーなどの北方の画家たちに人気のある主題であった[3]。
本作が右翼パネルをなしていた三連祭壇画の中央パネルは、クリーブランド美術館に所蔵されている『聖グレゴリウスのミサ』であった。また、左翼パネルは、ナショナル・ギャラリー (ワシントン) 所蔵の『聖アンナと聖母子、洗礼者聖ヨハネ』であった[3]。
本来の祭壇画
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ハンス・バルドゥング『聖アンナと聖母子、洗礼者聖ヨハネ』 (ワシントン・ナショナル・ギャラリー)
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ハンス・バルドゥング『聖グレゴリウスのミサ』 (クリーブランド美術館、米国オハイオ州)
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ハンス・バルドゥング『パトモス島の聖ヨハネ』 (メトロポリタン美術館、ニューヨーク)
脚注
[編集]参考文献
[編集]- マーク・ポリゾッティ発行人兼編集責任者『メトロポリタン美術館ガイド』、メトロポリタン美術館、2012年刊行 ISBN 978-4-904206-20-1
- ヴァルター・ボージング『ヒエロニムス・ボス 天国と地獄の間で』、TASCHEN、2007年刊行 ISBN 978-4-88783-308-1
- 岡部紘三『図説 ヒエロニムス・ボス 世紀末の奇想の画家』、河出書房新社、2014年刊行 ISBN 978-4-309-76215-9
- 有川治男・重延浩・高草茂編集『NHK ベルリン美術館1 ヨーロッパ美術の精華』、角川書店、1993年刊行 ISBN 4-04-650901-5