コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

パブリック・イメージ・リミテッド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
パブリック・イメージ・リミテッド
2013年の再結成ライブの様子
基本情報
出身地 イングランドの旗 イングランド ロンドン
ジャンル
活動期間
レーベル
公式サイト PiL Official
メンバー
旧メンバー #旧メンバーを参照

パブリック・イメージ・リミテッド (Public Image Ltd) は、ジョン・ライドン1978年に結成したイングランドロックバンドである[6]。略称はPIL

来歴

[編集]

1978年、ライドンはセックス・ピストルズを脱退してレゲエの本場ジャマイカで3週間の休暇を過ごした後[注釈 1]、レゲエ好きの友人ジャー・ウォブルザ・クラッシュの元ギタリストのキース・レヴィンに声を掛けてPILを結成した。ドラマーのジム・ウォーカーはオーディションによって雇われた[7]

1978年12月、ファースト・アルバム『パブリック・イメージ』をヴァージンから発表。

1979年11月、セカンド・アルバム『メタル・ボックス』を発表。ドラマーのウォーカーは制作開始時には既に在籍しておらず、ドラムはデービッド・ハンフリー、リチャード・デュダンスキー、ウォブル、レヴィン、マーティン・アトキンスによって演奏された。このアルバムはヒットチャートの上位にランクインし、音楽的なユニークさからも彼等の代表作とされている。発表直後、ウォブルが意見の相違のためバンドを脱退。彼の最初のソロ・アルバムは、『メタル・ボックス』の音源を無断流用したものだった。またアトキンスも一旦解雇となる。

1981年4月、メンバーはアトキンスを呼び戻し、新しいベーシストを迎えることなく、『フラワーズ・オブ・ロマンス』を発表[注釈 2]

長いブランクを挟み、ライドンとレヴィンは『Commercial Zone』を録音。しかしリリース直前に意見の相違によりレヴィンが脱退し、同録音を自主制作盤として発表。PIL(ライドンとアトキンス)はその別バージョンといえる『ジス・イズ・ホワット・ユー・ウォント』(1984年7月)を発表。

その後、PILはライドン中心の流動的なプロジェクトとなり、『ALBUM』(1986年2月)を発表。『HAPPY?』(1987年9月)以降はパーマネントなバンド編成となり、『ザット・ホワット・イズ・ノット』(1992年2月)を最後に活動を休止。2009年12月のイギリス・ミニツアーで活動を再開した。

2012年5月に『ディス・イズ・PiL』を発表。ライドンは20年間リリースが無かったことについて「自分の意志でそうしたわけではない」「レコード会社との契約が邪魔して取りかかれなかった。待ってタイミングを計るしかなかったんだ」と発言している[8]

2022年11月、ライドンのかつての盟友だった創設メンバーのレヴィンが病没[9]

メンバー

[編集]

現在のメンバー

[編集]
  • ジョン・ライドン (John Lydon) - ボーカル、その他諸々 (1978年-1992年、2009年- )
  • ブルース・スミス (Bruce Smith) - ドラム、バック・ボーカル (1986年-1990年、2009年- )
  • ルー・エドモンズ (Lu Edmonds) - ギター、サズ(SAZ)※リュート属の撥弦楽器、キーボード、バック・ボーカル (1986年-1988年、2009年- )
  • スコット・ファース (Scott Firth) - ベース、キーボード、バック・ボーカル (2009年- )

旧メンバー

[編集]
  • キース・レヴィン (Keith Levene) - ギター、キーボード、その他諸々(1978年-1983年) ♰RIP.2022
  • ジャー・ウォブル (Jah Wobble) - ベース(1978年-1980年)
  • ジム・ウォーカー (Jim Walker) - ドラム(1978年)
  • ヴィヴィアン・ジャクソン (Vivian Jackson) – ドラム (1979年)
  • デービッド・ハンフリー (David Humphrey) – ドラム (1979年2月)
  • リチャード・デュダンスキー (Richard Dudanski) – ドラム (1979年4月-9月)
  • カール・バーンズ (Karl Burns) – ドラム (September 1979年)
  • マーティン・アトキンス (Martin Atkins) - ドラム(1979年-1980年、1982年-1985年)
  • スチュ・ニュー (Steve New) – ギター (1980年 2010年没)
  • ケン・ロッキー (Ken Lockie) – キーボード (1982年)
  • ピート・ジョーンズ (Pete Jones) – ベース (1982年-1983年)
  • ジョン・マクゴー (John McGeoch) – ギター (1986年-1992年 2004年没)
  • アラン・ディアス (Allan Dias) – ベース (1986年-1992年)

その他の協力者

[編集]
  • デイヴ・クロウ (Dave Crowe) - 秘書 (1978年-1981年)
  • ジャネット・リー (Jeannette Lee) - 映像作家 (1979年-1983年)

ディスコグラフィ

[編集]

スタジオ・アルバム

[編集]
ピストルズ時代のR&Rを拒絶したジャーマンロック的なサウンド。ライドンのボーカル・スタイルも高くいななくようなものに変わっている。
  • 『メタル・ボックス』 - Metal Box (1979年)
45回転LP3枚組が、文字通り金属製のボックスに入った形で発売されたアルバム(映画のフィルムケース、あるいは地雷にも似た円盤状のボックス)。ジャー・ウォブルの地を這うようなベースと、キース・レヴィンのギター、ライドンの声が絡み合う。曲順を変更して通常の33回転LPの2枚組としたレギュラー・バージョン『Second Edition』も出ている。
ベースレス編成になったことで民族音楽に接近、呪術的なドラムサウンド。
  • 『ラブソング』This is not a love song を2テイク、Blue Water、Public Image (78年)の4曲構成のLPサイズ45回転のシングル。このテイクは次のアルバムには収録されなかった。
  • 『ジス・イズ・ホワット・ユー・ウォント』 - This Is What You Want... This Is What You Get (1984年)
『コマーシャル・ゾーン』の曲の再演では大胆にディスコサウンドを取り入れた。
ビル・ラズウェルがプロデュースしたハードなサウンド。坂本龍一スティーヴ・ヴァイジンジャー・ベイカー[10][注釈 4]が参加。
  • 『HAPPY?』 - Happy? (1987年)
マガジンポップ・グループなどの元メンバーが集まったバンド編成となる。サウンド的にはポップ路線。
  • 『9/ナイン』 - 9 (1989年)
前作を引き継いだポップ路線の第2弾。ペット・ショップ・ボーイズニュー・オーダー等のプロデューサーとして知られるステファン・ヘイグがプロデュース。
  • 『ザット・ホワット・イズ・ノット』 - That What Is Not (1992年)
一部メンバーが入れ替わったポップ路線の第3弾。セックス・ピストルズの曲をサンプリングに使っている。
  • 『ディス・イズ・PiL』 - This Is PiL (2012年) ※旧邦題『This is PiL - 伝説をぶっとばせ』
  • 『ホワット・ザ・ワールド・ニーズ・ナウ…』 - What The World Needs Now (2015年)

ライブ・アルバム

[編集]
パリ公演。観客に向かい、"Shut up!" と冷たく言い放つライドン。初期PILの貴重な記録。
初来日公演を記録したライブ盤。45回転LP2枚組でリリースされた。ドラムのマーティン・アトキンス以外はセッション・ミュージシャンを起用し、演奏は評判が悪かったが、アルバムとしてはヒットした。
  • AliFE (2009年)
  • Live at the Isle of Wight Festival 2011 (2011年)
  • 『ロックパラスト1983』 - Live at Rockpalast 1983 (2012年)
  • Live at O2 Shepherd's Bush Empire (2015年)

コンピレーション・アルバム

[編集]
  • Commercial Zone (1983年) ※自主制作盤
  • 『グレイテスト・ヒッツ・ソー・ファー』 - The Greatest Hits, So Far (1990年)
初のベスト盤。内容はレヴィン脱退後である後期の曲が中心。
  • Box (1990年) ※ボックス・セット
  • Plastic Box (1999年)
全シングルのAB面と代表曲を集めたボックスセット。
  • Public Image/Second Edition (2003年) ※2in1再発
  • Gold (2012年)
  • 『ザ・パブリック・イメージ・イズ・ロットン(ソングス・フロム・ザ・ハート)』 - The Public Image is Rotten - Songs from the Heart (2018年)

日本公演

[編集]
  • 1983年 初来日公演・7月1日 中野サンプラザ ※VHS『Live in Japan '83』、DVD『PiL日本’83』として映像化。
6月21日 中野サンプラザ6月24日 名古屋市公会堂6月25日 大阪厚生年金会館6月27日28日7月1日2日 中野サンプラザ7月4日 京都会館7月5日 中野サンプラザ

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ ヴァージン・レコードリチャード・ブランソン社長も同行していたという。
  2. ^ 渋谷陽一がこのアルバムをラジオ番組で紹介した際、「来日したときジョン・ライドンに和太鼓のレコードをプレゼントした。かれはそれを興味深く聴いていたそうで、その影響が感じられる」と語っている。
  3. ^ タイトルは記録媒体によって異なる。LPは『ALBUM』、CDは『コンパクト・ディスク』等。
  4. ^ ラズウェルに招かれて、トニー・ウィリアムスとドラムスを分担した。

出典

[編集]
  1. ^ a b c d Deming, Mark. Public Image Ltd. | Biography & History - オールミュージック. 2021年6月3日閲覧。
  2. ^ Reynolds, Simon (July 1996). “Krautrock”. Melody Maker. http://reynoldsretro.blogspot.com/2013/03/krautrock-melody-maker-july-1996-by.html 2021年6月3日閲覧。 
  3. ^ McCormick, Neil (2015年9月10日). “John Lydon: 'Robin Williams was my kindred spirit'”. The Telegraph. ISSN 0307-1235. https://www.telegraph.co.uk/music/artists/john-lydon-interview-robin-williams-influence/ 2021年6月3日閲覧。 
  4. ^ Stokes, Paul (2009年9月7日). “John Lydon revives PiL for winter shows – ticket details”. NME. 2021年6月3日閲覧。
  5. ^ Szemere, Anna (1998). Pop Culture, Politics, and Social Transition. University of California, San Diego. p. 243. https://books.google.com/books?id=S0rwXCPPCRYC 
  6. ^ Public Image Ltd.”. thequietus.com. 2019年3月14日閲覧。
  7. ^ Silvia Pingitore (2020年5月7日). “Interview with post-punk legend Jah Wobble about music, Sid Vicious, star signs, Brexit and everything else you can think of” (英語). the-shortlisted.co.uk. 2022年4月3日閲覧。
  8. ^ PILが20年ぶり新作をリリース! ジョン・ライドン「オーディション番組は音楽をバカにしてる」@niftyミュージック 2012年5月30日
  9. ^ ザ・クラッシュとパブリック・イメージ・リミテッドの創設メンバー、キース・レヴィンが逝去”. Udiscovermusic.jp (2022年11月13日). 2022年11月13日閲覧。
  10. ^ Baker, Ginger; Baker, Ginette (2010). Ginger Baker: Hellraiser. Bonnier Books. p. 234. ISBN 978-1-84454-966-5 

外部リンク

[編集]